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13話 魔導超越者の初陣(バトル回)
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「女の尻を追っ駆けるとる奴は威勢がいいのう」
ゼンじいが横からヒョッコリ現れる。
「いえ、俺は……」
「誤魔化さんでええわい。ボーナス取ったら好きなモンでも買うてやれ」
そう言うゼンじいの目は、やる気に満ち溢れている。
「さあやるぞ! 気合入れんかい皆の衆!」
『おおおおおおおお!』
「ゼンじい。妙に張り切ってない?」
「何を言うか。わしゃいつも通りじゃ」
ヴェイナーは「怪しいわね」と言って、胡散臭げにゼンじいを見る。
「賭けてるでしょ?」
「賭けらいでか! ギャンブルは人生の活力よ!」
「ハイハイ。そうね」
「ワシが魔力枯渇で倒れるまでは、止めてくれるなよヴェイナー? 今日は魔法使い共に《魔力回復》を掛け続けにゃならんのでな」
「止めないわよ。止めたら暴れそうだし」
「ワシの邪魔をする奴は地獄の果てまで追い込んでやるからな!」
「だから邪魔なんてしないって。ゼンじいとは一蓮托生だろうしね。どうせ超大穴のウチに賭けてるんでしょ?」
「分かり切った事を訊くな。当然、我等が《鷹の眼》が最優秀ギルドに選ばれるに全財産ブッ込んどるわ」
「うへぇ。相変わらずの狂いっぷりね」
ゼンじいは「フン」と言って口角を上げる。
「ヴェイナー。ワシとお前の利害は一致しておる。手を抜くなよ?」
「全力でやるに決まってんでしょ。ほら行くよゼンじい」
「おうともよ! いざ戦場じゃ!」
「行くぞ野郎ども!」
『おおおおおおおお!』
ギルドメンバー達は、街の外へと向かって突き進む。
「スッゲェ―数のワイバーンだな」
「腕が鳴るぜ」
「毎年のことながら壮観ね」
遠方には千体超えのワイバーンの群れがいた。
『皆さーん。ワイバーンが来る前に、攻撃態勢を整えてくださいねー』
冒険者総括協会の女性職員が、拡声魔法を使って注意事項を伝達していく。冒険者総括協会は、冒険者ギルドの取り纏め組織だ。
街の城壁近辺には、どんどんと物資が運び込まれていく。強弩や投石器や攻城兵器等の大型武器もあれば、手槍や弓のような人力に頼る普通の武器もあった。
通常それらは、上空を飛ぶワイバーンには届かない。なので様々な付与魔法や身体強化魔法を使って、標的まで届くようにしてやる必要がある。
「《身体能力強化》」
「《射程延長》」
補助系の魔法が使用可能な者は、次々に魔法を発動させていた。彼等は忙しく動き回っており、まるで鉄火場のような状況だ。
『使い魔を使役される方は、味方の射線上に入らないように注意してくださーい』
着々と準備は進んで行く。
「どうライル? 気負わずにいけそう?」
「大丈夫ですよヴェイナーさん」
力を失う前のライルは修羅場も経験している。緊張で身体が震えるような事は無い。
「落ち着いてるならいいわ。無理だけはしないように。怪我の元よ」
「はい。あの、ヴェイナーさん」
「何?」
「ワイバーンは将来の脅威に成り得るんですよね?」
「なるわ。国内のワイバーン被害は年々増えてるし。今日撃ち漏らした個体が、いつかアンタやティリアちゃんを襲うかもよ?」
「……分かりました」
ライルは深刻な顔で頷いた。
『それでは、攻撃開始!』
女性職員の声を合図に一斉攻撃が始まった。そこかしこで魔法の光が輝き、物理的な武器も次々に空へと放たれていく。
(ティリア様の障害は排除する!)
ライルは呼吸を整えると、詠唱しながら魔法の印を切る。
「《印詠省略》」
古代上位魔法だ。しばらくの間、魔法の発動に印や詠唱が不要となる。
「《魔法混合創成》」
こちらは魔法の融合を可能にする古代上位魔法だ。
そしてライルは魔法を次々と重ね合わせていく。
《威力増幅》
《身体能力低下》
《特殊防御解除》
《氷属性付与》
《魔法分裂》
《自動追尾》
(身体が燃えそうだ)
魔法を追加していく度に、ライルの体内を流れる魔力が膨大になっていく。
「《雷光の射手》」
攻撃の核となるのは、古代においても最上位となる雷魔法だ。
ライルの左手には神々しい弓が、右手には光の矢が現れる。その矢には氷属性を含む諸々の追加効果が付与されており、凄まじい魔力が圧縮融合されていた。
ライルは矢をつがえて弓を弾き絞り、
「滅せよ!」
高らかな声と共に矢を放った。雷光となった矢は瞬時にワイバーンの群れへと到達し、数千本の光に分かれて一斉に貫く。
直後に雷鳴が轟き、致命傷を受けた数多の個体が落下していった。数十体のワイバーンは辛くも生き残ったが、すぐにその肉体が凍り始める。満足に羽を動かす事も出来ず、成すすべもなく地上へと落下していった。
ワイバーンは傷を負って翼が凍り、いくつものデバフ効果を受けている。そんな状態では、上空からの落下に耐えられるはずもない。全滅だ。
「終わりましたよティリア様」
魔導超越者ライルは、冒険者としての初陣を勝利で飾る。
歴史的瞬間に居合わせた者達は、ただただ呆然とするしかなかった。
ゼンじいが横からヒョッコリ現れる。
「いえ、俺は……」
「誤魔化さんでええわい。ボーナス取ったら好きなモンでも買うてやれ」
そう言うゼンじいの目は、やる気に満ち溢れている。
「さあやるぞ! 気合入れんかい皆の衆!」
『おおおおおおおお!』
「ゼンじい。妙に張り切ってない?」
「何を言うか。わしゃいつも通りじゃ」
ヴェイナーは「怪しいわね」と言って、胡散臭げにゼンじいを見る。
「賭けてるでしょ?」
「賭けらいでか! ギャンブルは人生の活力よ!」
「ハイハイ。そうね」
「ワシが魔力枯渇で倒れるまでは、止めてくれるなよヴェイナー? 今日は魔法使い共に《魔力回復》を掛け続けにゃならんのでな」
「止めないわよ。止めたら暴れそうだし」
「ワシの邪魔をする奴は地獄の果てまで追い込んでやるからな!」
「だから邪魔なんてしないって。ゼンじいとは一蓮托生だろうしね。どうせ超大穴のウチに賭けてるんでしょ?」
「分かり切った事を訊くな。当然、我等が《鷹の眼》が最優秀ギルドに選ばれるに全財産ブッ込んどるわ」
「うへぇ。相変わらずの狂いっぷりね」
ゼンじいは「フン」と言って口角を上げる。
「ヴェイナー。ワシとお前の利害は一致しておる。手を抜くなよ?」
「全力でやるに決まってんでしょ。ほら行くよゼンじい」
「おうともよ! いざ戦場じゃ!」
「行くぞ野郎ども!」
『おおおおおおおお!』
ギルドメンバー達は、街の外へと向かって突き進む。
「スッゲェ―数のワイバーンだな」
「腕が鳴るぜ」
「毎年のことながら壮観ね」
遠方には千体超えのワイバーンの群れがいた。
『皆さーん。ワイバーンが来る前に、攻撃態勢を整えてくださいねー』
冒険者総括協会の女性職員が、拡声魔法を使って注意事項を伝達していく。冒険者総括協会は、冒険者ギルドの取り纏め組織だ。
街の城壁近辺には、どんどんと物資が運び込まれていく。強弩や投石器や攻城兵器等の大型武器もあれば、手槍や弓のような人力に頼る普通の武器もあった。
通常それらは、上空を飛ぶワイバーンには届かない。なので様々な付与魔法や身体強化魔法を使って、標的まで届くようにしてやる必要がある。
「《身体能力強化》」
「《射程延長》」
補助系の魔法が使用可能な者は、次々に魔法を発動させていた。彼等は忙しく動き回っており、まるで鉄火場のような状況だ。
『使い魔を使役される方は、味方の射線上に入らないように注意してくださーい』
着々と準備は進んで行く。
「どうライル? 気負わずにいけそう?」
「大丈夫ですよヴェイナーさん」
力を失う前のライルは修羅場も経験している。緊張で身体が震えるような事は無い。
「落ち着いてるならいいわ。無理だけはしないように。怪我の元よ」
「はい。あの、ヴェイナーさん」
「何?」
「ワイバーンは将来の脅威に成り得るんですよね?」
「なるわ。国内のワイバーン被害は年々増えてるし。今日撃ち漏らした個体が、いつかアンタやティリアちゃんを襲うかもよ?」
「……分かりました」
ライルは深刻な顔で頷いた。
『それでは、攻撃開始!』
女性職員の声を合図に一斉攻撃が始まった。そこかしこで魔法の光が輝き、物理的な武器も次々に空へと放たれていく。
(ティリア様の障害は排除する!)
ライルは呼吸を整えると、詠唱しながら魔法の印を切る。
「《印詠省略》」
古代上位魔法だ。しばらくの間、魔法の発動に印や詠唱が不要となる。
「《魔法混合創成》」
こちらは魔法の融合を可能にする古代上位魔法だ。
そしてライルは魔法を次々と重ね合わせていく。
《威力増幅》
《身体能力低下》
《特殊防御解除》
《氷属性付与》
《魔法分裂》
《自動追尾》
(身体が燃えそうだ)
魔法を追加していく度に、ライルの体内を流れる魔力が膨大になっていく。
「《雷光の射手》」
攻撃の核となるのは、古代においても最上位となる雷魔法だ。
ライルの左手には神々しい弓が、右手には光の矢が現れる。その矢には氷属性を含む諸々の追加効果が付与されており、凄まじい魔力が圧縮融合されていた。
ライルは矢をつがえて弓を弾き絞り、
「滅せよ!」
高らかな声と共に矢を放った。雷光となった矢は瞬時にワイバーンの群れへと到達し、数千本の光に分かれて一斉に貫く。
直後に雷鳴が轟き、致命傷を受けた数多の個体が落下していった。数十体のワイバーンは辛くも生き残ったが、すぐにその肉体が凍り始める。満足に羽を動かす事も出来ず、成すすべもなく地上へと落下していった。
ワイバーンは傷を負って翼が凍り、いくつものデバフ効果を受けている。そんな状態では、上空からの落下に耐えられるはずもない。全滅だ。
「終わりましたよティリア様」
魔導超越者ライルは、冒険者としての初陣を勝利で飾る。
歴史的瞬間に居合わせた者達は、ただただ呆然とするしかなかった。
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