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16話 最強の冒険者はBランク
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渋るライルを説き伏せて、今日のティリアはギルドまで付いて来ていた。共同生活者として、ライルの職場環境を把握しておく必要があるからだ。
「あら、いらっしゃいティリアちゃん」
「こんにちはヴェイナーさん」
ティリアは美しく微笑んだ。こういう何気ない所作を見ただけで、ティリアが一般人に成りきるのは無理だろうなとライルは思ってしまう。
「まさかティリアちゃんが来てくれるとは思わなかったわ」
「どうしてでしょうか?」
「護衛が過保護だからさ。ほらライル! そのヤバイ目を止めな!」
ライルは威嚇するように周囲を警戒していた。ギルド内には荒くれの冒険者もいる為、ティリアを守らなければいけないと感じたからだ。
しかしそんな事は関係ないと言わんばかりに、若い女達がティリアに迫る。
「わぁ可愛い。ティリアちゃんって言うの?」
「綺麗な子ねぇ」
「冒険者になりたいの? お姉さんが手取り足取り教えてあげようか? そりゃあもう手取り足取りね。ふふふ」
複数の女性が相手では、さすがのライルも簡単には手を出せない。
「サラサラの白銀の髪に紫の瞳。白い肌に美しく整った顔。こんなに綺麗な子、初めて見たわ。お人形みたい」
「ティリアちゃんって、どこの貴族? お忍びで来たんなら街を案内したげよっか? スリルがあって面白い場所もあるよ?」
「えっと、その……」
ティリアは何故こうなるのか分からずに困惑している。
「その子は箱入りのお嬢様なんだからね。手加減してやりなよ」
『はーい』
ヴェイナーへの返事とは裏腹に、女性冒険者達は容赦がなかった。普段凶悪な魔物を相手にしている為、貴族が相手だろうと物怖じしないからだ。
「紅茶でも飲みながら向こうで話そうよ」
「好きなんでしょ紅茶? 貴族の人ってよく紅茶飲んでるもんね」
「美味しいケーキもあるしさ」
「あの、私は貴族ではありません」
「あはははは。そんなの誰も信じないって」
「そうそう。身分なんて誰も気にしないから、隠そうとしなくていいよ」
ティリアは多少なりともショックを受けていた。普通の街娘として振舞っていたつもりだからだ。
「私、ティリアちゃんとライル君の話を聞いてみたい」
「恋の話ね!」
「えっ? えっ?」
そうしてティリアは、成すすべなくギルドの奥へと連れられて行く。
「ティリア様。ご武運を」
ライルはティリアを見送った。
「あの子がいると、ギルドがグッと華やかになるわね。いっそここで働いてもらいたいわ。彼女、計算や帳簿付けが得意なんでしょ?」
「確かに得意ではありますが」
ライルは言葉を濁す。ティリアがやっていた収支計算は国家規模のものだ。権謀術数渦巻く王城では、時に奇抜な手口を使って数値の改竄や不正が行われる。
それらを何度も見破ってきたティリアであれば、冒険者ギルドの机上仕事など余裕でこなしてしまうだろう。
「家の中と違って、ギルドには時として危険もありますし……」
「それは建前で、本音は他の男が近寄って来るのが嫌だから、ギルドで働かせたくないんでしょ? 独占欲ってやつ?」
自覚しているライルは黙ってしまう。
「ここにはティリアちゃんの友達になってくれそうな子達もいるし、頼りになる年配の冒険者もいるわ。1人で家にいるより、充実していて安全だと思わない? それこそ、アンタと一緒にいる時間だって増えるわけだしさ」
ライルもそれは考えていた。家にいてほしいのは確かだが、家に閉じ込めておくのが間違っているのも分かっている。
「即決しなくていいから、一応考えておいて」
「はい」
ライルは、後でティリアの意見も聞いてみようと思った。
「それで話は変わるけど、どうやらアンタの冒険者ランクはBランクになるらしいわ」
「そうですか」
「え? それだけ? 不満はないの?」
ヴェイナーは驚いているが、ライルは特に何とも思わなかった。
「俺は別に高ランクを目指しているわけじゃありませんから。ティリア様が不自由なく暮らせればいいんです。Bランクなら、それが出来るんですよね?」
「ええ。アンタならソロでもやっていけるしね。仲間内でモメて冒険に出られないって事もないし」
ヴェイナーは「意見が纏まらないパーティーは結構多いからさ」と言って苦笑する。
「Bランクのソロで請けられる依頼だけをこなしても、普通に暮らしていく分には困らないわ」
「それなら十分です」
「無欲ねぇ。アンタの力ならSSSランクだっておかしくないのに。人から崇められたいとか、伝説になりたいとか思わないの?」
「全く思いません」
「ふーん。でもあたしは、アンタがBランクなのは納得いかないけど」
しかし冒険者総括協会が間違っているわけではない。「ワイバーンを討伐した冒険者はAランクと認定する ※ただし産卵期の討伐はBランク相当とみなす」と規則に定めてあるからだ。
「あら、いらっしゃいティリアちゃん」
「こんにちはヴェイナーさん」
ティリアは美しく微笑んだ。こういう何気ない所作を見ただけで、ティリアが一般人に成りきるのは無理だろうなとライルは思ってしまう。
「まさかティリアちゃんが来てくれるとは思わなかったわ」
「どうしてでしょうか?」
「護衛が過保護だからさ。ほらライル! そのヤバイ目を止めな!」
ライルは威嚇するように周囲を警戒していた。ギルド内には荒くれの冒険者もいる為、ティリアを守らなければいけないと感じたからだ。
しかしそんな事は関係ないと言わんばかりに、若い女達がティリアに迫る。
「わぁ可愛い。ティリアちゃんって言うの?」
「綺麗な子ねぇ」
「冒険者になりたいの? お姉さんが手取り足取り教えてあげようか? そりゃあもう手取り足取りね。ふふふ」
複数の女性が相手では、さすがのライルも簡単には手を出せない。
「サラサラの白銀の髪に紫の瞳。白い肌に美しく整った顔。こんなに綺麗な子、初めて見たわ。お人形みたい」
「ティリアちゃんって、どこの貴族? お忍びで来たんなら街を案内したげよっか? スリルがあって面白い場所もあるよ?」
「えっと、その……」
ティリアは何故こうなるのか分からずに困惑している。
「その子は箱入りのお嬢様なんだからね。手加減してやりなよ」
『はーい』
ヴェイナーへの返事とは裏腹に、女性冒険者達は容赦がなかった。普段凶悪な魔物を相手にしている為、貴族が相手だろうと物怖じしないからだ。
「紅茶でも飲みながら向こうで話そうよ」
「好きなんでしょ紅茶? 貴族の人ってよく紅茶飲んでるもんね」
「美味しいケーキもあるしさ」
「あの、私は貴族ではありません」
「あはははは。そんなの誰も信じないって」
「そうそう。身分なんて誰も気にしないから、隠そうとしなくていいよ」
ティリアは多少なりともショックを受けていた。普通の街娘として振舞っていたつもりだからだ。
「私、ティリアちゃんとライル君の話を聞いてみたい」
「恋の話ね!」
「えっ? えっ?」
そうしてティリアは、成すすべなくギルドの奥へと連れられて行く。
「ティリア様。ご武運を」
ライルはティリアを見送った。
「あの子がいると、ギルドがグッと華やかになるわね。いっそここで働いてもらいたいわ。彼女、計算や帳簿付けが得意なんでしょ?」
「確かに得意ではありますが」
ライルは言葉を濁す。ティリアがやっていた収支計算は国家規模のものだ。権謀術数渦巻く王城では、時に奇抜な手口を使って数値の改竄や不正が行われる。
それらを何度も見破ってきたティリアであれば、冒険者ギルドの机上仕事など余裕でこなしてしまうだろう。
「家の中と違って、ギルドには時として危険もありますし……」
「それは建前で、本音は他の男が近寄って来るのが嫌だから、ギルドで働かせたくないんでしょ? 独占欲ってやつ?」
自覚しているライルは黙ってしまう。
「ここにはティリアちゃんの友達になってくれそうな子達もいるし、頼りになる年配の冒険者もいるわ。1人で家にいるより、充実していて安全だと思わない? それこそ、アンタと一緒にいる時間だって増えるわけだしさ」
ライルもそれは考えていた。家にいてほしいのは確かだが、家に閉じ込めておくのが間違っているのも分かっている。
「即決しなくていいから、一応考えておいて」
「はい」
ライルは、後でティリアの意見も聞いてみようと思った。
「それで話は変わるけど、どうやらアンタの冒険者ランクはBランクになるらしいわ」
「そうですか」
「え? それだけ? 不満はないの?」
ヴェイナーは驚いているが、ライルは特に何とも思わなかった。
「俺は別に高ランクを目指しているわけじゃありませんから。ティリア様が不自由なく暮らせればいいんです。Bランクなら、それが出来るんですよね?」
「ええ。アンタならソロでもやっていけるしね。仲間内でモメて冒険に出られないって事もないし」
ヴェイナーは「意見が纏まらないパーティーは結構多いからさ」と言って苦笑する。
「Bランクのソロで請けられる依頼だけをこなしても、普通に暮らしていく分には困らないわ」
「それなら十分です」
「無欲ねぇ。アンタの力ならSSSランクだっておかしくないのに。人から崇められたいとか、伝説になりたいとか思わないの?」
「全く思いません」
「ふーん。でもあたしは、アンタがBランクなのは納得いかないけど」
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