聖女の死後は引き受けた ~転生した私、新米女神の生前の身体でこっそり生きる~

和成ソウイチ

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【32】大好きですよ

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 ――翌日。
 おそるおそるレギエーラの街に赴いた私たちは、入口で衛兵さんたちに呼び止められた。

「あんたたち! 無事だったか!」

 衛兵さんも無事でよかった。どうやら怪我もなさそう。
 ディル君が後ろで何かしゃべり始める前に、私は尋ねた。

「いったい、何があったんですか?」
「焔人《ほむらびと》だよ。近くの祠に封印されていた奴を、誰かが破壊したんだ」

 衛兵さんが言うには、レギエーラには要塞としていくつか役割があって、そのうちのひとつが、周辺に封印されている強力な魔物の監視なのだそうだ。

「幸い、見知らぬ勇者が討伐してくれたから街の損害は皆無だったが……。おかしい、祠の封印はまだ何百年も有効だったはずなのに――おや、お前たち、どうした?」
「イエ、ナニモ」
「そうか。何かこの件で見知ったことがあったら、教えてくれ」
「ハイ」

 そう言って街の中に入る。
 私はローブの中でだらだら汗をかいていた。

 ……もしかして、祠の破壊って、あのとき? アルマジロもどきを100メートルぶっ飛ばした……あの?
 ってことは。ってことは。

「何コレ、壮大なマッチポンプじゃん自作自演じゃん! 犯人と勇者の両方になっちゃったよ私! 大騒動だよ! 満貫確定だよ! ああああ、カナディア様に何とお詫びすれば……!」
「昨日もすごくぎこちなかったですもんね、カナディア様への祈り」
「……む、ぐ……!」

 ご苦労されてきたカナディア様を弔うためにも、安全第一平和上等のスローライフを目指していたのに。
 最近、平和な報告ができた記憶がない。
 神界でのカナディア様の評判が地に落ちないか不安だ……。

 背中に暗黒を抱えながらとぼとぼ歩く。
 そんな私に、ディル君がそっと寄り添った。

「主様。俺、主様のポンコツぶりが大好きですよ」
「ディル君……」

 傷に塩塗ってる? めっちゃしみるんだけど?

「それに、あの焔人って奴の封印解除。あれは主様の会心の一撃とは無関係です。俺の鼻にかかりませんでしたから」
「え?」
「いるんでしょうね。全部ぶっ飛ばそうっていう考えの人間が、この街に」

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