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【46】おめでとうございます主様
しおりを挟む「ねえ、これどうしたらいいの?」
メラメラと炎のように立ち上る黒いオーラ。素人目でもヤバイことがわかる。
ディル君は「うーん」と顎に手を当て考えている。
「ここまで呪いが凝縮されると、無理矢理浄化するのは難しいかもしれませんねぇ」
「そんなもの手元に置いて、大丈夫なの? 私たち……」
「あ、それは平気です。主様は聖女、俺は神獣。その肩書きは伊達ではありません」
胸を張るディル君。
「でもアムルはそうはいかないでしょうね。うっかり触れたら発狂しそうです」
「ダメだよ!」
「このまま保管してても、漏れ出した呪いのオーラでジワジワ精神が」
「だからダメだって!」
なんてことだ。
アムルちゃんを気持ちよくお迎えするために掃除をしたはずなのに、このままだとアムルちゃんが天国にお迎えされてしまう。
私は呪いの本を見た。
燃やすか? けど、魔王すら呪殺可能って代物。普通に焼けるとは思えない。
ええい、ままよ!
「ハッ!」
気合いの声とともに集中。体内の魔力を総動員する。
掲げた手のひらから魔力を放出。呪いの本に纏わせる。
浄化が無理なら、せめて抑え込む――!
「なるほど。お手伝いします。主様」
ディル君も同じように魔力を放出する。
暴れる子どもを抑え込むように、慎重に、力強く呪いを封じていく。
お願い。悪さしないで!
――しばらく格闘していると、呪いの本に変化が起きた。
黒いオーラがうごうごとうごめき、小さくまとまりだしたのだ。
これ、いける!?
「もう、ちょっと……! ふんっ!」
一段と気合いを込める。
すると、黒いオーラが風船のようにパァンッと弾けた。
「やった……あれ!?」
手応えあり――のはずだったんだけど。
なんだか黒い塊がその場に残ったままだった。
黒い塊? いや、違う。あれは――。
「…………あぅー?」
「子どもができたぁああっ!?」
「おめでとうございます主様!」
「乗るなああああっ!」
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