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【65】まとめてお座り!
しおりを挟む……けれど、そうは問屋が卸さなかった。
「カナデ様」
冷静なアムルちゃんお父様が今度は手を挙げる。
「彼らの平穏を守ることはまったく問題ないと思うのですが……どうされるのです? 酒造りの方は」
「む」
「このままでは商人やギルドを説得できません」
私は目線を逸らした。
「なにか、別の方法は……ないかしら?」
「方法を探すにしても、約束を違えることには一度、きちんと話をつける必要があるかと」
「むむ……」
アムルちゃんお父様の言い分も一理ある。
それ以前に「勝手に決められた私の意思は?」と思わなくもないけど、まあ、約束は約束だ。火元は私であることに変わりはないわけだし……。
「わかったよ。私がギルドの人たちに謝る。少しずつでもお金を返す方法を探す。アムルちゃんたちに迷惑はかけない」
「カナデ様……」
ま、仕方ない。
敵意のない枯れ木人形を蹂躙するのは気が引けるし、何よりカナディア様の身体を受け継いだ私がするべきことじゃない。
今じゃ遠い昔のように思えるけど、前世じゃ急な仕様変更で各方面に平謝りなんてよくある話だった。
失敗はリカバーすればいいのだ。
『あの……』
そのとき、おずおずと枯れ木人形の魔物が声をかけてきた。
『現代の聖女様には、なにかお困りごとがあるのでしょうか?』
「あ……うん。ちょっとね。でも気にしなくていいよ」
『もしやそれは、我らの住処である水場に関係していること、ですか?』
私は驚いて魔物を見た。
彼(彼女?)は木の両手をこする。
『かつて、我々の住処に迷い込んだ人間が、水場を見て『素晴らしい素材の宝庫だ』と言っていたので。聖女様が起こしになられたのも、それが目的ではないかと』
枯れ木人形は決意したように前のめりになった。
『聖女様のお力になれるのなら、これ以上の喜びはありません。ぜひ、お手伝いさせてください!』
「キターッ!!」
「アムルちゃんお母様お父様ディル君、まとめて『お座り』!!」
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