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実戦
眷属が出たとの報告でサイレンが鳴り、慌ただしく2年生と自衛隊員がホバークラフトで出て行く。これで本州に上陸して、向こうの駐屯地から出動してきた自衛隊員と合流し、眷属の出現ポイントへ向かうという手筈になっている。
それを悠理達1年生は、教室の窓から見送った。
「皆、興奮してるな」
悠理が言うと、均は頷いた。
「まあ、初めてだからね、この学校では。出る方も見送る方も。段々日常になると思うけど」
そう言う均も、興奮して、軽く上気した顔をしている。
「無事に帰って来てくれればいいけど……」
そう言う悠理は、冷たくなって強張る指を、無意識のうちに握り込んだ。
「辛気臭いなあ!戦地への見送りなんて、万歳と旗振りだろ?」
生徒の1人が言って、
「ばんざーい!」
と両手を挙げると、それに合わせて、半分ほどの生徒が万歳を始める。
「第二次世界大戦の映画みたいだな」
均が、我に返ったように言って、生徒達を見回した。
「万歳ねえ」
悠理は不機嫌そうに口元を歪め、緊張と興奮をまとってホバークラフトに乗り込んで行く2年生を見ていた。
2年生達が帰って来たのは、ちょうど午後の授業が終わった頃だった。
強張ったような顔付きの者もいれば、陽気に振る舞っている者もいる。懇意の1年生にだろう、手を振って合図を送る者もいた。
だが大体は、ホッとしたような顔付きをしている。
同じく、安堵したような顔付きの教師と引率の自衛官が、
「着替えたら教室へ集合。30分後だ。急げよ」
と声をかける中、悠理は沖川や西條の姿を探した。
西條は探すまでもなく、目立つし、キャアキャアと騒がれているのでよくわかる。
(ケガもなし、か)
沖川はと探すと、
「保健室で念のためにシップをもらって来いよ。
そこ!装備を乱暴に扱うな!」
といつも通りに生徒に声をかけるのに余念がなさそうだ。
「元気そうだな」
ホッとしながら悠理は言った。急速に静かになって、自分がどれだけ今ドキドキしていたのかに気付いた。
「ん?誰?」
均が訊くのに、悠理は笑った。安心してしゃがみ込んでしまい、それに均も付き合ってしゃがみ込む。
「沖川さん。いつも通り過ぎて、安心するよな」
均も沖川を見て、プッと笑った。
「まあ、良かったよね。あの様子じゃ、大したケガ人も出なかったみたいだし」
「そうだな。落ち込んだりキレたり変に気を使ったりし出したら怖いな」
悠理と均はそう言って笑い出した。
と、2人の上に影が落ちる。
「随分な評価だな、俺は」
「え……あ……沖川、会長」
「お疲れ様です」
沖川が悠理と均を見下ろしていた。
「よう、ただいま!」
沖川と並んでいた西條が、沖川の肩に腕を回しながら、もう片方の手を挙げて笑った。
「西條先輩!お帰りなさい」
均は言って、
「お帰りなさい。2人共ケガも無さそうで良かった」
と悠理も笑う。
「眷属だけだからな。これで手こずるようなら、悪魔になんぞ立ち向かえられんしな」
沖川は冷静にそう言うが、西條に、
「取り敢えずは無事でよかった、ただいま、でいいんじゃねえの?真面目だからなあ、生徒会長さんは」
と言われ、
「お前らが能天気過ぎるから俺がその分考え込むんだろうが!」
と反論するが、嘆息した。
「まあ、いいか」
「とにかく、無事で良かった。沖川さんはほかの生徒をかばってケガしかねないと思ってたから」
悠理が言うのに、沖川は小さく頷いた。
「まあ、自分でも完全に否定できないな」
「自覚してたんですね。
ああ、教室で反省会ですか?シャワー浴びて着替えないと、時間がなくなりますよ」
「ああ。また後で詳しく話してやる」
沖川は悠理にそう言い、西條は
「じゃあな!」
と悠理と均に手を振って、2人で足早に歩いて行った。
別のグループが、
「早くライブラリー解禁にならないかなあ!ゾクゾクする!」
「俺も早く実戦に出てえ!」
と盛り上がるのを、悠理と均は平静に見ていた。
それを悠理達1年生は、教室の窓から見送った。
「皆、興奮してるな」
悠理が言うと、均は頷いた。
「まあ、初めてだからね、この学校では。出る方も見送る方も。段々日常になると思うけど」
そう言う均も、興奮して、軽く上気した顔をしている。
「無事に帰って来てくれればいいけど……」
そう言う悠理は、冷たくなって強張る指を、無意識のうちに握り込んだ。
「辛気臭いなあ!戦地への見送りなんて、万歳と旗振りだろ?」
生徒の1人が言って、
「ばんざーい!」
と両手を挙げると、それに合わせて、半分ほどの生徒が万歳を始める。
「第二次世界大戦の映画みたいだな」
均が、我に返ったように言って、生徒達を見回した。
「万歳ねえ」
悠理は不機嫌そうに口元を歪め、緊張と興奮をまとってホバークラフトに乗り込んで行く2年生を見ていた。
2年生達が帰って来たのは、ちょうど午後の授業が終わった頃だった。
強張ったような顔付きの者もいれば、陽気に振る舞っている者もいる。懇意の1年生にだろう、手を振って合図を送る者もいた。
だが大体は、ホッとしたような顔付きをしている。
同じく、安堵したような顔付きの教師と引率の自衛官が、
「着替えたら教室へ集合。30分後だ。急げよ」
と声をかける中、悠理は沖川や西條の姿を探した。
西條は探すまでもなく、目立つし、キャアキャアと騒がれているのでよくわかる。
(ケガもなし、か)
沖川はと探すと、
「保健室で念のためにシップをもらって来いよ。
そこ!装備を乱暴に扱うな!」
といつも通りに生徒に声をかけるのに余念がなさそうだ。
「元気そうだな」
ホッとしながら悠理は言った。急速に静かになって、自分がどれだけ今ドキドキしていたのかに気付いた。
「ん?誰?」
均が訊くのに、悠理は笑った。安心してしゃがみ込んでしまい、それに均も付き合ってしゃがみ込む。
「沖川さん。いつも通り過ぎて、安心するよな」
均も沖川を見て、プッと笑った。
「まあ、良かったよね。あの様子じゃ、大したケガ人も出なかったみたいだし」
「そうだな。落ち込んだりキレたり変に気を使ったりし出したら怖いな」
悠理と均はそう言って笑い出した。
と、2人の上に影が落ちる。
「随分な評価だな、俺は」
「え……あ……沖川、会長」
「お疲れ様です」
沖川が悠理と均を見下ろしていた。
「よう、ただいま!」
沖川と並んでいた西條が、沖川の肩に腕を回しながら、もう片方の手を挙げて笑った。
「西條先輩!お帰りなさい」
均は言って、
「お帰りなさい。2人共ケガも無さそうで良かった」
と悠理も笑う。
「眷属だけだからな。これで手こずるようなら、悪魔になんぞ立ち向かえられんしな」
沖川は冷静にそう言うが、西條に、
「取り敢えずは無事でよかった、ただいま、でいいんじゃねえの?真面目だからなあ、生徒会長さんは」
と言われ、
「お前らが能天気過ぎるから俺がその分考え込むんだろうが!」
と反論するが、嘆息した。
「まあ、いいか」
「とにかく、無事で良かった。沖川さんはほかの生徒をかばってケガしかねないと思ってたから」
悠理が言うのに、沖川は小さく頷いた。
「まあ、自分でも完全に否定できないな」
「自覚してたんですね。
ああ、教室で反省会ですか?シャワー浴びて着替えないと、時間がなくなりますよ」
「ああ。また後で詳しく話してやる」
沖川は悠理にそう言い、西條は
「じゃあな!」
と悠理と均に手を振って、2人で足早に歩いて行った。
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「早くライブラリー解禁にならないかなあ!ゾクゾクする!」
「俺も早く実戦に出てえ!」
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