26 / 42
夏休みの始まり
「節度ある態度を厳守し、特技校の生徒としての自覚を持って過ごすように」
服部が教壇でどうでも良さそうに言う間にも、多くの生徒達は、そわそわとしていた。ほとんど上の空である事は服部にもお見通しではあるが、どうせここで言う内容など、誰にでも想像できるものだ。
「ま、ケガすんな」
その言葉と溜め息で締めくくり、1年生は夏休みに突入した。
ほとんどの1年生は実家へ帰省し、専用の船で島から出て行った。残っているのは、家族が悪魔の襲来などによってもういなくなっているとか、海外や遠い所にいるなどで行きにくいか、そういう者ばかりだ。
均は帰省組で、
「お土産買って来るからな」
と手を振って出て行った。
悠理は図書室へ行こうと部屋を出て、西條に会った。
「よ、悠理。ああ、鈴木は帰省か」
「そうなんですよねえ。食事にオクラとレバーが出た時に困る」
悠理が言うと、西條はプッと吹き出した。
「何だったら俺が引き取ってやるよ。
1人で寂しいだろ。部屋に行ってやろうか?一晩中、喋ったりゲームしたりしようぜ」
西條が言うのに、背後から来た沖川が西條の頭を軽くはたいた。
「お前は休みじゃないだろ。
それと敷島。好き嫌いは直せ。子供じゃないんだから」
キリッとしながらも、目元は笑いをにじませて言う。
「大人でも嫌いなものは嫌いですぅ」
「大きくなれないぜ」
西條が言い、
「いや、あんまりデカくもゴツくもならないかな」
と言い直し、沖川も、
「まあ、それには同意するか」
と言うので、悠理は内心で、
(高3で背は伸びるからな!今に見てろ!)
と叫んだ。
「それより、鈴木という見張りがいないと、キチンと食って寝るのかが心配だな。これは見回りに行くか」
真剣に沖川が言い出す。
「そ、それより、沖川さんも西條さんも、夏休みはいつ?実家に帰るんですか?」
それに、西條は明るく笑った。
「俺の夏休みは、ちょうど市内のお祭りの頃だ。家には帰らないな」
沖川も、
「俺の休みも同じだ。俺もここに残る」
と言う。
「じゃあ、お祭りの日、外出しないか?港の近くの神社で夜店が出るぞ」
「外出はいいが、門限は7時だぞ。夜店は無理だっただろ」
「ああ、そうだった。去年行ったやつがそう言ってたっけ」
西條と沖川はそう言い合う。
3人で喋りながら校舎へ入ると、服部と会った。
服部は悠理を見て複雑そうな顔をし、
「休みでもそうやって学校へ来るのは、勤勉というのか?いや、お前のはなんか違う。良からぬことをしでかしそうで、気が抜けない」
とぶつぶつ言い出す。
「失礼な。せっかくのまとまった自由時間だから、ちょっと調べものをするだけですよ。
で、分析器と顕微鏡とレベル4の密閉実験箱の使用許可を下さい。あと、ゼルカの安定化前の物がいいんですけど、だめなら安定化したやつでいいので、100グラムほど下さい」
服部だけでなく、沖川も西條も目を見開き、そして嘆息した。
「安定化前のゼルカ……ダメに決まってるだろ。何をやろうとしているんだ」
沖川は頭を振り、
「これだから悠理は面白くて好きなんだよな!」
と西條は笑い、服部は、
「担任になってみろ。俺の苦労の一端がわかる」
と溜め息をついた。
夏休みは、始まったばかりだ。
服部が教壇でどうでも良さそうに言う間にも、多くの生徒達は、そわそわとしていた。ほとんど上の空である事は服部にもお見通しではあるが、どうせここで言う内容など、誰にでも想像できるものだ。
「ま、ケガすんな」
その言葉と溜め息で締めくくり、1年生は夏休みに突入した。
ほとんどの1年生は実家へ帰省し、専用の船で島から出て行った。残っているのは、家族が悪魔の襲来などによってもういなくなっているとか、海外や遠い所にいるなどで行きにくいか、そういう者ばかりだ。
均は帰省組で、
「お土産買って来るからな」
と手を振って出て行った。
悠理は図書室へ行こうと部屋を出て、西條に会った。
「よ、悠理。ああ、鈴木は帰省か」
「そうなんですよねえ。食事にオクラとレバーが出た時に困る」
悠理が言うと、西條はプッと吹き出した。
「何だったら俺が引き取ってやるよ。
1人で寂しいだろ。部屋に行ってやろうか?一晩中、喋ったりゲームしたりしようぜ」
西條が言うのに、背後から来た沖川が西條の頭を軽くはたいた。
「お前は休みじゃないだろ。
それと敷島。好き嫌いは直せ。子供じゃないんだから」
キリッとしながらも、目元は笑いをにじませて言う。
「大人でも嫌いなものは嫌いですぅ」
「大きくなれないぜ」
西條が言い、
「いや、あんまりデカくもゴツくもならないかな」
と言い直し、沖川も、
「まあ、それには同意するか」
と言うので、悠理は内心で、
(高3で背は伸びるからな!今に見てろ!)
と叫んだ。
「それより、鈴木という見張りがいないと、キチンと食って寝るのかが心配だな。これは見回りに行くか」
真剣に沖川が言い出す。
「そ、それより、沖川さんも西條さんも、夏休みはいつ?実家に帰るんですか?」
それに、西條は明るく笑った。
「俺の夏休みは、ちょうど市内のお祭りの頃だ。家には帰らないな」
沖川も、
「俺の休みも同じだ。俺もここに残る」
と言う。
「じゃあ、お祭りの日、外出しないか?港の近くの神社で夜店が出るぞ」
「外出はいいが、門限は7時だぞ。夜店は無理だっただろ」
「ああ、そうだった。去年行ったやつがそう言ってたっけ」
西條と沖川はそう言い合う。
3人で喋りながら校舎へ入ると、服部と会った。
服部は悠理を見て複雑そうな顔をし、
「休みでもそうやって学校へ来るのは、勤勉というのか?いや、お前のはなんか違う。良からぬことをしでかしそうで、気が抜けない」
とぶつぶつ言い出す。
「失礼な。せっかくのまとまった自由時間だから、ちょっと調べものをするだけですよ。
で、分析器と顕微鏡とレベル4の密閉実験箱の使用許可を下さい。あと、ゼルカの安定化前の物がいいんですけど、だめなら安定化したやつでいいので、100グラムほど下さい」
服部だけでなく、沖川も西條も目を見開き、そして嘆息した。
「安定化前のゼルカ……ダメに決まってるだろ。何をやろうとしているんだ」
沖川は頭を振り、
「これだから悠理は面白くて好きなんだよな!」
と西條は笑い、服部は、
「担任になってみろ。俺の苦労の一端がわかる」
と溜め息をついた。
夏休みは、始まったばかりだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!