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ベランダにて
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真秀と霙はベランダに並んで、ほとんど星の見えない夜空を何となく見ていた。
「何か、バタバタしちゃって。ごめんね」
「いいや。俺にとってもいずれ義姉になる人の事だしな。気にするな」
アイスコーヒーを飲む。
村上は、取り敢えず実家に無事に帰ったとの連絡をし、大手一流企業の内定を蹴ってプラントハンターとなるために製薬会社の試験を受けたいという事、結婚したいし、子供もできたという事を電話で言うと、
「帰って来い!電話で済ますやつがあるか!」
と父親から一喝され、
「いや、まずは電話で、もちろんちゃんと帰って言うつもりだったよ?」
とおろおろしていた。
川田夫妻と空は、
「お腹が大きくなる前に結婚式を」
「式にはこだわらないけど」
「それより大学はどうするんだ。住む所とか」
「その前に、あちらにご挨拶に伺わないと」
と額を付き合わせて相談していた。
「大変そうだなぁ」
真秀は思わずそう言ったが、霙は仕事の事に捉えたらしい。
「プラントハンター?薬効のありそうな植物を求めて、未開の地とかに行くんでしょ?危ない事がいっぱいありそうよね」
「ああ、それも大変だけど、結婚がだよ。
人生を共有するんだから。夢でも、諦めないといけない事があるかも知れない。お互いがお互いに、少しずつ譲歩して、2人で見られる新しい夢を作って行かないといけないんだろう。それが、結婚ってものなのかな。
それに子供もできれば、責任も増える」
真面目な口調で真秀が言うと、霙は神妙な様子で頷いた。
「そうね。これまで、結婚ってものを、ふわふわと、幸せになれるものって考えてたかも」
「まあ、俺達はお互い、高三になったばかりだからな。実感なんてなくて普通だよ」
「そうね」
笑ってお互いを見た時、急に、距離が気になった。
次いで、色々と、目に入ったものが気になりだした。
(やっぱり男の子だなあ。細く見えても、筋肉があるんだなあ)
(活発で運動神経がいいけど、女の子だな。筋肉がついてても、細いんだ)
(指、長いけど骨ばってるというか、女子と男子って違うんだ)
(髪、さらさらだなあ。
そうだ。今、俺も霙と同じシャンプーの匂いなんだな)
(やっぱり、ハンサムよねえ。もてるんだろうなあ)
(かわいいよなあ。軍曹のほかにも、霙を好きなやつっているんだろうな)
(なんでもできるし、由緒正しい家の若様だし。歯並びだってイケメン仕様だもんね)
(リップだけ塗ってるのかな。きれいなピンクで、つやつやしてて)
気付くと、すぐ目の前に相手の顔があった。
はっとしたが、そのまま、目を閉じ、ゆっくり――。
「はああ!もう、大変だよ」
ガラス窓が開いて川田氏が出て来て、バッと2人は1メートル程飛びのいた。
「ん?何?まさか今度はこっちがケンカしてるんじゃないだろうね」
川田氏が顔色を変えるのに、真秀と霙はぶんぶんと力一杯首を振った。
「そんな事ない!大丈夫よ、お父さん!」
「そう!犬がいて、どこにいったかな、と」
「そう、そうなの。いたんだけど見失って!」
「どれどれ」
川田氏が間に入り、下を見下ろす。
「あ、あれかな?」
指さす先に、犬を連れて散歩している人がいた。
「いたわね」
(何でこのタイミングで出て来るかな、お父さんのバカ!)
「いたいた」
(ケンカ?してないよ。いいところだったんだよ!)
「ははは。ぬいぐるみみたいだなあ。
良かった。霙と真秀君は、バタバタしないで済むようにね。頼むね」
(まさか、お父さん)
(見られてたのか?)
「お、今日の月は満月か」
川田氏を挟んで、真秀と霙は緊張しながら3人で月を眺めていた。
「何か、バタバタしちゃって。ごめんね」
「いいや。俺にとってもいずれ義姉になる人の事だしな。気にするな」
アイスコーヒーを飲む。
村上は、取り敢えず実家に無事に帰ったとの連絡をし、大手一流企業の内定を蹴ってプラントハンターとなるために製薬会社の試験を受けたいという事、結婚したいし、子供もできたという事を電話で言うと、
「帰って来い!電話で済ますやつがあるか!」
と父親から一喝され、
「いや、まずは電話で、もちろんちゃんと帰って言うつもりだったよ?」
とおろおろしていた。
川田夫妻と空は、
「お腹が大きくなる前に結婚式を」
「式にはこだわらないけど」
「それより大学はどうするんだ。住む所とか」
「その前に、あちらにご挨拶に伺わないと」
と額を付き合わせて相談していた。
「大変そうだなぁ」
真秀は思わずそう言ったが、霙は仕事の事に捉えたらしい。
「プラントハンター?薬効のありそうな植物を求めて、未開の地とかに行くんでしょ?危ない事がいっぱいありそうよね」
「ああ、それも大変だけど、結婚がだよ。
人生を共有するんだから。夢でも、諦めないといけない事があるかも知れない。お互いがお互いに、少しずつ譲歩して、2人で見られる新しい夢を作って行かないといけないんだろう。それが、結婚ってものなのかな。
それに子供もできれば、責任も増える」
真面目な口調で真秀が言うと、霙は神妙な様子で頷いた。
「そうね。これまで、結婚ってものを、ふわふわと、幸せになれるものって考えてたかも」
「まあ、俺達はお互い、高三になったばかりだからな。実感なんてなくて普通だよ」
「そうね」
笑ってお互いを見た時、急に、距離が気になった。
次いで、色々と、目に入ったものが気になりだした。
(やっぱり男の子だなあ。細く見えても、筋肉があるんだなあ)
(活発で運動神経がいいけど、女の子だな。筋肉がついてても、細いんだ)
(指、長いけど骨ばってるというか、女子と男子って違うんだ)
(髪、さらさらだなあ。
そうだ。今、俺も霙と同じシャンプーの匂いなんだな)
(やっぱり、ハンサムよねえ。もてるんだろうなあ)
(かわいいよなあ。軍曹のほかにも、霙を好きなやつっているんだろうな)
(なんでもできるし、由緒正しい家の若様だし。歯並びだってイケメン仕様だもんね)
(リップだけ塗ってるのかな。きれいなピンクで、つやつやしてて)
気付くと、すぐ目の前に相手の顔があった。
はっとしたが、そのまま、目を閉じ、ゆっくり――。
「はああ!もう、大変だよ」
ガラス窓が開いて川田氏が出て来て、バッと2人は1メートル程飛びのいた。
「ん?何?まさか今度はこっちがケンカしてるんじゃないだろうね」
川田氏が顔色を変えるのに、真秀と霙はぶんぶんと力一杯首を振った。
「そんな事ない!大丈夫よ、お父さん!」
「そう!犬がいて、どこにいったかな、と」
「そう、そうなの。いたんだけど見失って!」
「どれどれ」
川田氏が間に入り、下を見下ろす。
「あ、あれかな?」
指さす先に、犬を連れて散歩している人がいた。
「いたわね」
(何でこのタイミングで出て来るかな、お父さんのバカ!)
「いたいた」
(ケンカ?してないよ。いいところだったんだよ!)
「ははは。ぬいぐるみみたいだなあ。
良かった。霙と真秀君は、バタバタしないで済むようにね。頼むね」
(まさか、お父さん)
(見られてたのか?)
「お、今日の月は満月か」
川田氏を挟んで、真秀と霙は緊張しながら3人で月を眺めていた。
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