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禿山の一夜(2)長い夜の始まり
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知らせると、すぐに領の兵が調べに動き出したが、領主は、「まさか」「そんなはずは」を連発していた。
軍事に「まさか」はない。
「隣国の兵でした。全部で約800というところでしょうか。向こう側にまだいるかも知れませんが、確認できませんでした」
領主は真っ青である。
「隣に応援を要請しても、到着は明日の朝になります」
「す、すぐに連絡して、協力を要請しよう」
「にしても、一晩はなんとかしなければいけません。夜のうちに奇襲をかけてくる気があれば」
「来るのか?」
「さあ。ですが、来ると仮定しておきませんと」
警備隊長は、辛抱強かった。
「交戦規定とかどうなってるんだろう」
「自衛隊なら、やられるまでやってはいけないんだな」
「後、武器も何か、これはOK、これはダメとか」
「まずは威嚇からだっけ」
小声で言い合う理生、貴音、ミハイルに、トビーが不思議そうな目を向ける。
「やられる前にやらないと、死ぬだろ。それに威嚇って、向こうはやる気なんだから意味あるのか?それ、本当にお前らんとこの兵士の話か?」
「間違いなくな」
頷く3人に、トビーは変な顔をしたまま、
「へえ」
とだけ言った。
「とにかく、そっちは任せる。一晩なんとかしてくれ」
領主は、隣の領主へ知らせに使者を出す用意と、王都へ知らせる手紙を書く準備を始めた。
4人は部屋で、額を突き合わせていた。
今更逃げるわけには行かない。だが、協力するにしては、4人の戦闘力は微妙だった。
「敵がアンデッドなら問題なかったんだがな」
貴音が、唸る。
「イカみたいに、何とかならないかな」
理生が言って、皆でしばらく考えてみた。
「ヘタに砲撃なんかして山を崩したら、次、攻めて来易くなるしなあ」
「各個撃破の肉弾戦しかないのか」
素人以下の3人である。なかなか思いつかない。
「こっちからアンデッドをけしかけたら、逃げるかな」
「どういう事だ、ミハイル?」
「火の玉とかが飛んで来たらどうするかな、と」
「ううん。急襲部隊だし、アンデッドの専門家はいないとは思うけど・・・まあ、心情的に、暗い山中でアンデッドって、怖いよね」
「リンを燃やせば火の玉みたいになるだろ?」
「霧をスクリーンにして、そこにアンデッドなり絶対的な神なりを映すというのも使えるかな」
「ノコギリの刃で、不気味な音を出してもいいよね。テルミンみたいなやつ」
「ああ。昔テレビで見たな、そういう芸」
「隊長に言ってみよう」
禿山の、長い一夜が始まった。
軍事に「まさか」はない。
「隣国の兵でした。全部で約800というところでしょうか。向こう側にまだいるかも知れませんが、確認できませんでした」
領主は真っ青である。
「隣に応援を要請しても、到着は明日の朝になります」
「す、すぐに連絡して、協力を要請しよう」
「にしても、一晩はなんとかしなければいけません。夜のうちに奇襲をかけてくる気があれば」
「来るのか?」
「さあ。ですが、来ると仮定しておきませんと」
警備隊長は、辛抱強かった。
「交戦規定とかどうなってるんだろう」
「自衛隊なら、やられるまでやってはいけないんだな」
「後、武器も何か、これはOK、これはダメとか」
「まずは威嚇からだっけ」
小声で言い合う理生、貴音、ミハイルに、トビーが不思議そうな目を向ける。
「やられる前にやらないと、死ぬだろ。それに威嚇って、向こうはやる気なんだから意味あるのか?それ、本当にお前らんとこの兵士の話か?」
「間違いなくな」
頷く3人に、トビーは変な顔をしたまま、
「へえ」
とだけ言った。
「とにかく、そっちは任せる。一晩なんとかしてくれ」
領主は、隣の領主へ知らせに使者を出す用意と、王都へ知らせる手紙を書く準備を始めた。
4人は部屋で、額を突き合わせていた。
今更逃げるわけには行かない。だが、協力するにしては、4人の戦闘力は微妙だった。
「敵がアンデッドなら問題なかったんだがな」
貴音が、唸る。
「イカみたいに、何とかならないかな」
理生が言って、皆でしばらく考えてみた。
「ヘタに砲撃なんかして山を崩したら、次、攻めて来易くなるしなあ」
「各個撃破の肉弾戦しかないのか」
素人以下の3人である。なかなか思いつかない。
「こっちからアンデッドをけしかけたら、逃げるかな」
「どういう事だ、ミハイル?」
「火の玉とかが飛んで来たらどうするかな、と」
「ううん。急襲部隊だし、アンデッドの専門家はいないとは思うけど・・・まあ、心情的に、暗い山中でアンデッドって、怖いよね」
「リンを燃やせば火の玉みたいになるだろ?」
「霧をスクリーンにして、そこにアンデッドなり絶対的な神なりを映すというのも使えるかな」
「ノコギリの刃で、不気味な音を出してもいいよね。テルミンみたいなやつ」
「ああ。昔テレビで見たな、そういう芸」
「隊長に言ってみよう」
禿山の、長い一夜が始まった。
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