38 / 72
見たくなかった(2)恋愛相談
しおりを挟む
悠花と雅美は、一緒に近所のコンビニでお弁当を買って来て、部屋で2人で食べながら話をしていた。
「どうも、私、振られるみたいです」
悠花はあははと笑いながら言ったが、その空元気が余計に悲しい。
「どうして――あ、親友の子が?」
訊いてはいけない事だったかと、声に出してから気付いてはっとした。
「ううんと、親友の英梨は大人しくて優しくて、凄くいい子なんです。それから栗原君も、優しいしよく気が付くし、すごくいい人なんです」
悠花は言い、小さく笑った。
「2人共、気が付くとお互いを見てるんですよね。それで、慌てて目をそらしたり、私に話しかけたりして、私にすごく気を使うんです」
雅美は困ったように、小さく頷いて言った。
「それは……居たたまれないわね」
「はい。2人共自分からは絶対に言い出さないと思うんですよ。
でも、私、気付いちゃったし……」
2人はどうしたものかと考えた。
「私、栗原君の事は高校時代から好きだったから、とても嬉しかったのに」
ポタリ、と水滴が落ちる音がして、雅美はそちらを見ないようにした。
「何で気付いちゃったんだろう」
「悠花ちゃん……」
雅美は泣きながら、お弁当を食べた。
社内にはジムがあり、社員は無料で使用できる。体を鍛える事は、仕事の一環でもあるからだ。
その中には近接戦闘のできる一角もあり、湊や雅美はここの常連だが、今日は珍しく悠花と涼真も来た。
「バランスに気を付けて」
ミットを構えた雅美が声をかけ、悠花は一生懸命に、パンチやキックを繰り出している。
それを、涼真がチラチラと見ながら、湊に話しかけていた。
「悠花さん、張り切ってるけど大丈夫かな」
「明日は筋肉痛だろうな」
「そっちの心配じゃなくて!」
「プライベートに、おいそれと踏み込むのもな」
あっさりと言う湊に、涼真はやや不満げな顔をする。
「そりゃ、そうだけど」
「雅美さんに取り敢えずは任せとけよ。何かあれば言って来るだろ」
「冷たいなあ」
「女の悩みになんて、お前乗れるのか?」
それで涼真は黙り、2人で黙々とトレーニングをこなした。
「はああ、もうだめぇ」
運動不足な悠花は、完全にグロッキー状態で転がったが、その割には清々しい顔付きをしている。
「おお、お疲れ様」
「はあ、運動不足を実感したわぁ」
悠花は苦笑を浮かべ、座り込んだ。
その後、雅美と湊が実戦さながらに何でもありの試合を始め、涼真と悠花は、それをぼんやりと見ていた。
「その、大丈夫?」
恐る恐る涼真が訊く。
「うん。ありがとう。皆にも気を使わせちゃったわね。ごめんね。
でも、決めたわ。決めたらスッキリした!これでいいわ」
「そう。よくわからないけど、何かあったら力になるよ」
それに悠花は、にっこりとした。
そして悠花は家へ帰ると、電話を2件かけた。
「どうも、私、振られるみたいです」
悠花はあははと笑いながら言ったが、その空元気が余計に悲しい。
「どうして――あ、親友の子が?」
訊いてはいけない事だったかと、声に出してから気付いてはっとした。
「ううんと、親友の英梨は大人しくて優しくて、凄くいい子なんです。それから栗原君も、優しいしよく気が付くし、すごくいい人なんです」
悠花は言い、小さく笑った。
「2人共、気が付くとお互いを見てるんですよね。それで、慌てて目をそらしたり、私に話しかけたりして、私にすごく気を使うんです」
雅美は困ったように、小さく頷いて言った。
「それは……居たたまれないわね」
「はい。2人共自分からは絶対に言い出さないと思うんですよ。
でも、私、気付いちゃったし……」
2人はどうしたものかと考えた。
「私、栗原君の事は高校時代から好きだったから、とても嬉しかったのに」
ポタリ、と水滴が落ちる音がして、雅美はそちらを見ないようにした。
「何で気付いちゃったんだろう」
「悠花ちゃん……」
雅美は泣きながら、お弁当を食べた。
社内にはジムがあり、社員は無料で使用できる。体を鍛える事は、仕事の一環でもあるからだ。
その中には近接戦闘のできる一角もあり、湊や雅美はここの常連だが、今日は珍しく悠花と涼真も来た。
「バランスに気を付けて」
ミットを構えた雅美が声をかけ、悠花は一生懸命に、パンチやキックを繰り出している。
それを、涼真がチラチラと見ながら、湊に話しかけていた。
「悠花さん、張り切ってるけど大丈夫かな」
「明日は筋肉痛だろうな」
「そっちの心配じゃなくて!」
「プライベートに、おいそれと踏み込むのもな」
あっさりと言う湊に、涼真はやや不満げな顔をする。
「そりゃ、そうだけど」
「雅美さんに取り敢えずは任せとけよ。何かあれば言って来るだろ」
「冷たいなあ」
「女の悩みになんて、お前乗れるのか?」
それで涼真は黙り、2人で黙々とトレーニングをこなした。
「はああ、もうだめぇ」
運動不足な悠花は、完全にグロッキー状態で転がったが、その割には清々しい顔付きをしている。
「おお、お疲れ様」
「はあ、運動不足を実感したわぁ」
悠花は苦笑を浮かべ、座り込んだ。
その後、雅美と湊が実戦さながらに何でもありの試合を始め、涼真と悠花は、それをぼんやりと見ていた。
「その、大丈夫?」
恐る恐る涼真が訊く。
「うん。ありがとう。皆にも気を使わせちゃったわね。ごめんね。
でも、決めたわ。決めたらスッキリした!これでいいわ」
「そう。よくわからないけど、何かあったら力になるよ」
それに悠花は、にっこりとした。
そして悠花は家へ帰ると、電話を2件かけた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる