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第一章

邂逅

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 「‥俺は先に行く」

 「あ!。まって下さいカイさん!!行きましょうアストさん!」

 「はい!!」

 差し出された手を握り俺とミューエさんは地下室に向かう。入って最初に感じたのはツーンと鼻にくるアンモニア臭だ。

 「くっっせ!!」

 「ゴホ、ゴホ、うぅ‥酷い臭い」

 二人とも目に涙を浮かべながら前に進む。‥!!。いま、足、足にグチぃぃみたいな感触がした!。な、なんだよここは‥。

 「二人とも止まれ」

 カイさんの声を聞いて俺達は止まる。あれ?そういえばなんで俺はっきり見えてるんだ?。あ、もしかして光の衣て暗い所でもしっかり見える力あるのかな。

 「ど、どうしました?」

 「‥‥何かくる」

 「え?」

 目を閉じて耳を澄ます。確かにグニャグニャ?言ってるような?いや、まて。まて!!本当に近づいて来てる?!。

 「構えろ!!」

 カイさんの指示でミューエさんは腰につけたレイピアを取り出し構える。カイさんはよく警察が使っている拳銃をいつの間にか構えてるし。



 ズル‥ズル‥。と重い体を地に這いずった何かが近づいてくる。それは長さ30メートルはあるミミズのような生き物だ。体はまるでゴム風船を手で擦ったような音を鳴らす。しかし、ソレには顔がなかった。本来顔がある場所には大きな穴が空いており、そこからまるでウジのように小さな触手が何百本も生えている。

 『あ"‥‥?あ" あ"あ"あ"?ア"ア"ア"ア"ア"!!!』

 まるで赤ん坊のような声な叫び声をあげた生物はアスト達に襲いかかる。

 「光よ!!」

 ミミズが動くより先にミューエは声を上げる。十字架が描かれていた黄金の光盾現れ、ミミズが飛ばした緑の粘液を防ぐ。盾に当たった粘液は熱いフライパンに卵を落としたような音を鳴らす。

 「カイさん!!」

 盾から素早く身を乗り出しミミズの触手がある穴に向かい拳銃を乱発する。大きな銃声と共に顔の穴から粘性の高い黄色の液体を飛ばしながらミミズは悶え苦しむ。

 「我が魔力よ!!聖なる輝きを放ちかのものを討ち滅ぼせ!!!」

 呪文を唱えたミューエの後ろから黄金に輝く宝剣が5つ現れる。ミューエがレイピアの先端をミミズに突き出すと宝剣はキラキラと眩い光を放ちながら次々とミミズの体を突き出していく。

 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」

 「きゃ!!」

 「うるせーーー!!」

 宝剣が刺さったミミズの上げる絶叫にミューエとアストは耳を塞ぐ。盾からミシミシと嫌な音が聞こえ始める。どうや絶叫のせいで盾の維持に力をさけなくなっているのだ。カイはそれを横目に確認し、虚空からライフルを取り出だす。

 「‥‥‥黙れ」

 一言と共に引き金を引く。『顔』に放たれた弾丸は触手の波を切り裂きながら中に、中に入っていく。先程まで声を上げていたミミズは「あ"う"?」と小さく疑問に感じる。体の中に何かが入ってきた‥‥と。次に感じたのは自分の身体を内部から引っ張る引力。ブチブチと体内で嫌な音を鳴らしながら回る異物気づくと同時にミミズは絶命した。

 「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 絶叫がなくなった事に気がついたアストはミミズをチラリと確認し声を荒げる。ビクビクと痙攣をしながらミミズは体内にあるであろうありとあらゆる臓物を撒き散らし絶命していた。眼前に広がる腸や血管、ウゴウゴと蠢く触手達。いまのいままで自分達を殺そうとしていた生物の成れの果て。それはまだ、異世界に染まりきっていない未成熟な精神をすり減らすには十分だ。

 「う!!うぇぇぇえ!!!」

 気持ち悪い!気持ち悪い!!。妙にピンクな腸も、ドス黒い肝臓も、うじ虫みたいに動く触手も。全部、全部気持ち悪い!!。

 「アストさん!!カイさんアストさんが!!」

 「わ、分かってる‥すぐに脱出するぞ」

 「!!カイさん血が!!」

 「いいから。さっさとしろ」

 「‥っ!!はい!!」

 ミューエさんに肩を貸してもらいながら俺は屋敷の地下から脱出した。うぅ。気持ち悪い。気持ち悪い。まだ胃の中にあるもの吐き足りない。腹がグルグルする。目の前がめっちゃくちゃ揺れる‥。

 ◇

 「はっ!!」

 「良かった!アストさん目を覚ましてくれて」

 「お、俺‥」

 「屋敷戻った途端気を失っちゃて‥」

 「‥‥‥そっか」

 よく覚えてないけど。なんか色々あった気がする。‥‥駄目だ。思い出そうとすると吐き気が。て、あれ。

 「あの、カイさんは?」

 「カイさんはあそこで横になってますよ」

 あ、本当だ。寝袋の上で寝転んでる。なんか苦しそうだし、ソファ使ってもらおうかな。

 「あの、カイさん。ソファ使って貰ってもいいですよ」

 「‥‥‥‥ちるからいい」

 「へ?」

 「落ちるからいい‥」

 ね、寝相悪いのか‥以外だな。

 

 
 
 
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