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第4章
96. 覚悟
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「…何を言っておる…我はもう永くは持ちまい。そんな相手にこの先永い其方の目を与えるなど…。」
魔王様は呆れたような表情で僕を諭してくる。
「だって…!だって僕にはもうそれくらいしか出来ません!この15年間、魔王様には本当にお世話になりっぱなしでいつかお返しがしたいと思っていました。魔王様、心配いりません…片目が無くなってももう片方あれば僕は生きていけます。」
「サトー…馬鹿なことを言うもんじゃない。其方にとって15年は長い年月かもしれないが、何百年と生きてきた我にとっては大したものではないのだ。たった15年世話になったからといって一生モノの目を差し出すなどおかしい提案なのだ。」
「でも…!僕はもうすぐこの地を去ります…!そしたらもう魔王様に会えなくなってしまうんです。ですから、その前に立派に成長したモリオンの姿を魔王様に見てもらって、それを僕の恩返しにしたいんです、どうかお願いです!僕の最後の願いを聞いてください!」
「しかし…。」
話し合いは膠着状態となった。その時、静かにネフライトが室内に入ってくる。
「ショウ様…。」
ネフライトの様子から先程の内容が聞こえていたののだろう。ネフライトは思い詰めたような表情のまま僕を見つめてくる。しかし、それでも僕は諦め切れずに魔王様の説得を続けようとした。
そこでオパールさんの声が響く。
「サトー様、申し訳ありません。魔王様には休養が必要です。そのお話はまた後日、話し合いましょう。」
そう言って僕の肩に手を置く。僕はやるせない思いのまま大人しく部屋を出て行った。廊下を暫く歩いていると後ろからオパールさんに呼び止められる。
「サトー様…先程の発言は本気でございますか?」
「…勿論だよ。僕の目が魔王の為になればそれだけで嬉しい。この世界は魔法があるから関係ないかもしれないけど、僕のいた世界では臓器を移植するってことがあったんだ。それはどんな人のものでもいいってわけじゃなく、その人に合ったものじゃないと身体が拒否反応を起こす。でも、眼球に関しては角膜を移植するから殆どの人に適応出来るんだ。だからこの世界でその手術ができる人がいれば、僕はその人にお願いしたい。魔王様の目が魔法でどうにかできないのならその手術に賭けるしかないんだ。」
僕が強い意志で告げるとそれを聞いたオパールさんがフゥ~と吐息を吐く。
「サトー様のお気持ちは分かりました。しかし、魔王様はそのお考えに反対です。それでもなさるというのですか?」
「うん。」
間髪入れずに答えるとオパールさんは僕をジッと見つめ目線を逸らした。
「…私も前々から魔王様をどうにかお元気にしたいと思っていたんです。もしサトー様にその覚悟があるのならこの手術、私が執刀致しましょう。」
「オパール殿!」
ネフライトが横で猛烈に抗議している。しかし、既に僕の心は決まっていた。
魔王様は呆れたような表情で僕を諭してくる。
「だって…!だって僕にはもうそれくらいしか出来ません!この15年間、魔王様には本当にお世話になりっぱなしでいつかお返しがしたいと思っていました。魔王様、心配いりません…片目が無くなってももう片方あれば僕は生きていけます。」
「サトー…馬鹿なことを言うもんじゃない。其方にとって15年は長い年月かもしれないが、何百年と生きてきた我にとっては大したものではないのだ。たった15年世話になったからといって一生モノの目を差し出すなどおかしい提案なのだ。」
「でも…!僕はもうすぐこの地を去ります…!そしたらもう魔王様に会えなくなってしまうんです。ですから、その前に立派に成長したモリオンの姿を魔王様に見てもらって、それを僕の恩返しにしたいんです、どうかお願いです!僕の最後の願いを聞いてください!」
「しかし…。」
話し合いは膠着状態となった。その時、静かにネフライトが室内に入ってくる。
「ショウ様…。」
ネフライトの様子から先程の内容が聞こえていたののだろう。ネフライトは思い詰めたような表情のまま僕を見つめてくる。しかし、それでも僕は諦め切れずに魔王様の説得を続けようとした。
そこでオパールさんの声が響く。
「サトー様、申し訳ありません。魔王様には休養が必要です。そのお話はまた後日、話し合いましょう。」
そう言って僕の肩に手を置く。僕はやるせない思いのまま大人しく部屋を出て行った。廊下を暫く歩いていると後ろからオパールさんに呼び止められる。
「サトー様…先程の発言は本気でございますか?」
「…勿論だよ。僕の目が魔王の為になればそれだけで嬉しい。この世界は魔法があるから関係ないかもしれないけど、僕のいた世界では臓器を移植するってことがあったんだ。それはどんな人のものでもいいってわけじゃなく、その人に合ったものじゃないと身体が拒否反応を起こす。でも、眼球に関しては角膜を移植するから殆どの人に適応出来るんだ。だからこの世界でその手術ができる人がいれば、僕はその人にお願いしたい。魔王様の目が魔法でどうにかできないのならその手術に賭けるしかないんだ。」
僕が強い意志で告げるとそれを聞いたオパールさんがフゥ~と吐息を吐く。
「サトー様のお気持ちは分かりました。しかし、魔王様はそのお考えに反対です。それでもなさるというのですか?」
「うん。」
間髪入れずに答えるとオパールさんは僕をジッと見つめ目線を逸らした。
「…私も前々から魔王様をどうにかお元気にしたいと思っていたんです。もしサトー様にその覚悟があるのならこの手術、私が執刀致しましょう。」
「オパール殿!」
ネフライトが横で猛烈に抗議している。しかし、既に僕の心は決まっていた。
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