107 / 215
第2章
106. 友達の指摘
しおりを挟む
それから暫くしてローザの家に到着した。
ローザの家はお屋敷って感じの佇まいでは無く、日本の3階建てという出立だった。
普通に考えると立派な家だが、この世界では平均的なお家である。
ローザが「入って!入って!」と家に招き入れる。
すると小さな子供達がお出迎えしてくれた。
「「いらっしゃいませ!」」
僕とアニスが目を丸くしているとローザが「僕の弟と妹達だよ。」と教えてくれた。
前からローザには弟と妹がいることは知っていたがこんなにいるとは思わなかった。
「ほら皆、お兄ちゃんの友達だよ。自己紹介して。」
「初めまして、サラです。」
「こんにちは、ローレルです。」
「ラディです。」
「ディベスです。」
「スミティです。」
僕達の驚いた様子に
「アハハッ!二人共、驚いた?兎ってね、1回の出産で何人も同時に産むから沢山、弟妹とが出来るんだ。僕は長男でたまたま同時に生まれてきた兄弟がいなかったんだけど、弟と妹達は皆同い年だよ。来年、魔法学院に入学するんだ。きっと、すぐには覚えきれないだろうからゆっくり覚えてあげて。ちなみにこの中だとサラが長女でスミティが末っ子だよ。」
と説明された。
まだ僕もアニスも整理しきれないところはあったが、とりあえず自己紹介をし、家の中を案内してもらった。
「今、親は仕事に行ってるからもう少ししたら帰ってくると思うよ。その時また紹介するね。」
と言われ、今日泊まる部屋に案内された。アニスと相部屋だ。
「移動も疲れたでしょ?少し休んでて。軽く食べれる物、用意しとくから。弟も妹も二人に会えること、凄く楽しみにしてたんだ。」
と言うとローザは部屋を出て行った。
アニスと部屋に二人きりになると、僕はおもむろにアニスに謝った。
「アニス…サックルさんのこと、ゴメンね。」
とアニスの顔を伺うと、
「…いや、大丈夫だ。叔父上も初めて現れた番いに理性が抑えれなかったんだろう。さっきのこともあって、もしフェルが嫌じゃなければまた叔父上に会いに行ってあげてくれ。俺としてもフェルと出会ったことで叔父上の考え方も少しは変わってくれると信じたい…。」
と言った。
しかし、僕は馬車の中で既に心が折れかけていた。
「…僕、サックルさんに会うのは嫌じゃないよ。でも僕の気持ちが中途半端なのにサックルさんに会うのは失礼だと思うんだ…。こう言ったら自分のことを傲ってるように聞こえると思うけどサックルさんは僕のことを伴侶にしたいくらい好きってことでしょう?そしたら、僕が会いに行く度に期待をさせちゃうってことだよね…。だったら僕の気持ちが決まるまで会いに行かない方がいいと思うんだ。」
と伝えた。
アニスも考え込む様に
「結果的にはそうなってしまうだろうな。しかし、それまで叔父上が耐えれるかどうか…。叔父上のことだ、痺れを切らして自ら会いに行くかもしれないぞ?」
とアニスは笑った。
「えぇ!?脅かさないでよ。
でも、その時はその時で覚悟しとかないとね…。」
「まぁ、無理矢理連れていかれることはないだろうが…上手く対応してくれ。」
と頼まれた。
僕はそれに「頑張るよ。」と答え、ローザが来るまで暫く休んでいた。
それからローザとサラが迎えに来たので案内された部屋へと移動した。
そこには綺麗に整えられたティーセットとカラフルなデザートが並んでおり、思わず「うわぁ…。」と声を上げ、キラキラとした目で見つめてしまった。
するとローザが
「気に入った?
弟と妹達が朝から張り切って作ったみたいだよ。初めて来る学院の友達に喜んでもらいたかったんだって。」
僕とアニスは恥ずかしそうに目線を逸らしたり笑ったりしている5人にありがとうとお礼を言い、早速席に着いた。
「(携帯かカメラがあったら絶対写真撮るのに~!まだこの時代はカメラがないから、こういうのも残しておけないよ…残念だなぁ…。)」
と思いながら、淹れてもらった紅茶とクッキーを堪能した。
その後はローザの両親が帰ってきたのでご挨拶をし、ローザの弟や妹達とお絵描きやオモチャで遊んだりした。
そして晩には僕がアニスの家で出来なかった恋バナをすることができた。
アニスもローザも学院で1度告白をされたことがあるらしい。
知らなかった…!
しかし、やはり獣人の性なのか全然魅力的に思えなかったので断ったという。
それから僕に話を振られ、素直に何人か告白をされ未だにアピールをされていることを告げた。
すると二人は僕が進路相談をした時の様に「やっぱり。」という顔をした。
「フェル様は優しすぎるから、そこに漬け込まれるんじゃないの?フェル様のことだから断ったり蔑ろにすると相手を傷付けると思ったんでしょ?そしたら相手は自分にもチャンスがあると思ってドンドンアピールしてくるよ。中途半端な態度を取ってたら相手にも悪いし、自分もしんどいと思うけど。」
「まぁフェルのいいところではあるが、やり過ぎると弄ばれたと思って逆恨みされるぞ。」
と的確な指摘を受けた。
「たっ…確かに…。」
僕は少しも弁解出来なかった。
ローザの家はお屋敷って感じの佇まいでは無く、日本の3階建てという出立だった。
普通に考えると立派な家だが、この世界では平均的なお家である。
ローザが「入って!入って!」と家に招き入れる。
すると小さな子供達がお出迎えしてくれた。
「「いらっしゃいませ!」」
僕とアニスが目を丸くしているとローザが「僕の弟と妹達だよ。」と教えてくれた。
前からローザには弟と妹がいることは知っていたがこんなにいるとは思わなかった。
「ほら皆、お兄ちゃんの友達だよ。自己紹介して。」
「初めまして、サラです。」
「こんにちは、ローレルです。」
「ラディです。」
「ディベスです。」
「スミティです。」
僕達の驚いた様子に
「アハハッ!二人共、驚いた?兎ってね、1回の出産で何人も同時に産むから沢山、弟妹とが出来るんだ。僕は長男でたまたま同時に生まれてきた兄弟がいなかったんだけど、弟と妹達は皆同い年だよ。来年、魔法学院に入学するんだ。きっと、すぐには覚えきれないだろうからゆっくり覚えてあげて。ちなみにこの中だとサラが長女でスミティが末っ子だよ。」
と説明された。
まだ僕もアニスも整理しきれないところはあったが、とりあえず自己紹介をし、家の中を案内してもらった。
「今、親は仕事に行ってるからもう少ししたら帰ってくると思うよ。その時また紹介するね。」
と言われ、今日泊まる部屋に案内された。アニスと相部屋だ。
「移動も疲れたでしょ?少し休んでて。軽く食べれる物、用意しとくから。弟も妹も二人に会えること、凄く楽しみにしてたんだ。」
と言うとローザは部屋を出て行った。
アニスと部屋に二人きりになると、僕はおもむろにアニスに謝った。
「アニス…サックルさんのこと、ゴメンね。」
とアニスの顔を伺うと、
「…いや、大丈夫だ。叔父上も初めて現れた番いに理性が抑えれなかったんだろう。さっきのこともあって、もしフェルが嫌じゃなければまた叔父上に会いに行ってあげてくれ。俺としてもフェルと出会ったことで叔父上の考え方も少しは変わってくれると信じたい…。」
と言った。
しかし、僕は馬車の中で既に心が折れかけていた。
「…僕、サックルさんに会うのは嫌じゃないよ。でも僕の気持ちが中途半端なのにサックルさんに会うのは失礼だと思うんだ…。こう言ったら自分のことを傲ってるように聞こえると思うけどサックルさんは僕のことを伴侶にしたいくらい好きってことでしょう?そしたら、僕が会いに行く度に期待をさせちゃうってことだよね…。だったら僕の気持ちが決まるまで会いに行かない方がいいと思うんだ。」
と伝えた。
アニスも考え込む様に
「結果的にはそうなってしまうだろうな。しかし、それまで叔父上が耐えれるかどうか…。叔父上のことだ、痺れを切らして自ら会いに行くかもしれないぞ?」
とアニスは笑った。
「えぇ!?脅かさないでよ。
でも、その時はその時で覚悟しとかないとね…。」
「まぁ、無理矢理連れていかれることはないだろうが…上手く対応してくれ。」
と頼まれた。
僕はそれに「頑張るよ。」と答え、ローザが来るまで暫く休んでいた。
それからローザとサラが迎えに来たので案内された部屋へと移動した。
そこには綺麗に整えられたティーセットとカラフルなデザートが並んでおり、思わず「うわぁ…。」と声を上げ、キラキラとした目で見つめてしまった。
するとローザが
「気に入った?
弟と妹達が朝から張り切って作ったみたいだよ。初めて来る学院の友達に喜んでもらいたかったんだって。」
僕とアニスは恥ずかしそうに目線を逸らしたり笑ったりしている5人にありがとうとお礼を言い、早速席に着いた。
「(携帯かカメラがあったら絶対写真撮るのに~!まだこの時代はカメラがないから、こういうのも残しておけないよ…残念だなぁ…。)」
と思いながら、淹れてもらった紅茶とクッキーを堪能した。
その後はローザの両親が帰ってきたのでご挨拶をし、ローザの弟や妹達とお絵描きやオモチャで遊んだりした。
そして晩には僕がアニスの家で出来なかった恋バナをすることができた。
アニスもローザも学院で1度告白をされたことがあるらしい。
知らなかった…!
しかし、やはり獣人の性なのか全然魅力的に思えなかったので断ったという。
それから僕に話を振られ、素直に何人か告白をされ未だにアピールをされていることを告げた。
すると二人は僕が進路相談をした時の様に「やっぱり。」という顔をした。
「フェル様は優しすぎるから、そこに漬け込まれるんじゃないの?フェル様のことだから断ったり蔑ろにすると相手を傷付けると思ったんでしょ?そしたら相手は自分にもチャンスがあると思ってドンドンアピールしてくるよ。中途半端な態度を取ってたら相手にも悪いし、自分もしんどいと思うけど。」
「まぁフェルのいいところではあるが、やり過ぎると弄ばれたと思って逆恨みされるぞ。」
と的確な指摘を受けた。
「たっ…確かに…。」
僕は少しも弁解出来なかった。
38
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる