まるで無意味な召喚者~女神特典ってどこに申請すればもらえるんですか?~

廉志

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第十一章 まるでやらせな接待業

CASE84 召喚被害防止委員会 その2

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 ミヤザキ・ハルカ。
 ビビットカラーな赤い髪を持つ少女。コースケと共にこの世界へ来た召喚者である。
 コースケの陰に隠れがちな彼女の存在だが、こっちはこっちで召喚者ムーブをきちんと行っているらしい。
 コースケハーレムは大所帯。したがって、彼についていくことができる女の子の人数は限られている。
 現在はローテーションを組んでたびたび冒険に出ているそうだが、その際に単独行動を取っているハルカが問題となってくるのだ。

 単独行動と言ったが、ハルカ一人で行動しているわけではない。
 召喚者らしく、女神特典および召喚者体質を持つ彼女。コースケに負けないレベルの逆ハーレムを持っているの。
 各界の重役の子息たちで構成された逆ハーレムは、権力の質で言えばコースケハーレムをしのぐ。そんな子息たちがハルカ一人を取り合うという事態になっているという訳だ。
 しかも実は、逆ハーレムだからこその問題もある。
 コースケハーレムに所属している女の子たちは、ハーレムと言う一種の一夫多妻制を受け入れている。「コースケほどかっこいいなら女の子がいっぱい寄ってきても当たり前」という、なんとも世の男が聞けば発狂しそうな台詞すら吐く始末。
 一方のハルカ逆ハーレムだが、こちらは独占欲が強いらしい。
 好きな女性を独り占めしたいという、至極まっとうな感情を持つ男たち。
 となれば、逆ハーレム内での抗争は日常茶飯事となるわけである。

「つい最近、ドワーフの王子とダークエルフの族長の息子が反駁してな。危うくドワーフ族とダークエルフ族の抗争に発展するところだったんだ」
「まさかの内戦の危機!?」

 ディルの口から洩れたのは、本気でシャレになっていない国家機密であった。
 
 人間の世界である王国は、大きく分けて四つの種族で構成された国である。元は乱立する国家をひとまとめにした連合国家なので、地方によって人種構成に偏りを見せている。
 東部を人族が。西部を獣人族が。北部をエルフ族が。南部をドワーフ族が取り仕切っている。
 そんな種族間で抗争など起きれば、それこそ内戦と同義なのだ。

「そ、それは大丈夫だったのか? 下手をしなくても国が亡んじまうぞ」
「一応、ハルカが仲裁に入って事なきを得た。「私のために争わないで!」って言ってたぞ」
「そんな乙女ゲーみたいな台詞を現実に言う人間がいるとは驚きです」

 そしてその程度の台詞で世界を救ったのだから大したもの────いや、そもそもの原因はハルカだったな。これもマッチポンプと言うべきだろう。

「ディルさん、一つ質問をいいでちか?」

 話を聞いていたパプカが手を挙げた。この会合に対して興味を持っていなかったはずだが、何か気になることでもあったのだろうか?

「ハルカさんは大層おモテになるようでちが、今彼女のパーティーは何人くらいいるのでちか?」
「ええと確か…………80人くらい?」

 前回リール村に押し寄せた奴らはほんの一部だったらしい。

「…………その男性たちは、ディルさんみたいにイケメンなのでちか?」
「い、イケメン? いや、俺は別に……と言うか、俺程度じゃあいつらの足下に及ばないと思うぜ? 平均的にみても、顔面偏差値は人類の中でもトップクラスだと思うし」

 男の俺から見ても、目の前のディルと言う青年はかなりのイケメンである。
 謙遜を含んだ物言いを加味しても、彼を上回るイケメンなど一般人には中々想像できないだろう。
 ちなみに、パプカは俺を生贄にして助かろうとしたから知らないだろうが、俺はハルカ逆ハーレムをこの目で見たことがある。
 リール村にコースケと時間差でやってきた際に、主に俺に対して迷惑を振りまいたことがあるのだ。
 その経験を持って言えば、確かにハルカ逆ハーレムの顔面偏差値はディルの言う通りである。
 俳優やモデルでさえしっぽを巻いて逃げ出すようなイケメンたち。召喚者体質というのは、美男美女を引き寄せる効果もあるのだ。

「イケメン……80人…………」
「お、おいパプカ? どうしたんだ、なんか小刻みに震えてるけど……」

 顔を伏せ、杖を握りしめてワナワナと震えるパプカ。その様子はどうやら平常ではないようだ。

「うがぁーーーーーっ!! ふっざけんな!! 80人のイケメンを独り占め!? 贅沢にも程があるでしょう!! その分だけほかの女の子への供給が減るんですよ!!」
「お、落ち着けパプカ! 語尾が元に戻ってるぞ!」
「そんなことはどうでもいいですよただのキャラ付けなんですから! それよりもハルカさんのことです! 聞けばこの女、全非モテ女性の敵! いや全人類の敵じゃないですか!!」

 それは言い過ぎだと思う。

「はっ(嘲笑)! どうせこの後の展開は目に見えていますよ! 最終的にハルカさんを射止めた男性は普通に結婚。それ以外のイケメンたちは「第二夫でも良いんだ!」とか「それでも俺は生涯君を愛し続ける」とか言って逆ハーレムに残留するんでしょう!? 残留しなくても操を立てたりするんです! 操を立てるのは女性であって男性が童貞を守っても何の得にもなりゃしないんですよ! ちっくしょー!!」
「おいおい、嬢ちゃん泣き出したぞ」
「パプカさん、貴女位の年齢ならまだ恋愛を考えなくてもよいでしょう? 心配しなくても、学生や大人になれば自然と彼氏くらい……」
「うわーーーんっ!!」
「もうやめてあげてワルジュさん! パプカのライフはもうゼロなんだ!!」

 ついでにその台詞は俺にも効くからホントやめて。

「パプカ、もう一度言うが落ち着け。イケメンと付き合えるのは美女だけだ。それで言うなら、お前にだって可能性は無きにしも非ずと言ったところかもしれないだろう?」
「ぐすっ……じゃ、じゃあ私にもイケメンの彼氏が出来るんですか?」
「それは知らん」
「うわーーーーんっ!!」

 すまんなパプカ。慰めてやりたいが…………ぶっちゃけ面倒くさい。

「あ、皆さん。こちらのことは気にせず、会合を続けてください」
「お、おお……。とにかく、内戦になりかけたが回避したって報告だ。今後しばらくは落ち着いて過ごせるだろうな…………俺も、久しぶりに長期休暇が貰えそうだから、ハルカとデートの約束が出来たしゆっくりするよ」
「ディルさんキサマもかぁーーー!!」
「どうどう」

 涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらディルに飛び掛かるパプカを、羽交い絞めにして食い止めた。
 元はお仕事としてハルカの監視に着いたのだろうが、そこは召喚者。そばに長くいれば惚れるのも仕方がないであろう。諦めろ、パプカ。

「では続いては私の報告に移らせていただきますね」

 と言って立ち上がったのはネロである。

「あ、でもその前に……私も今度長期のお休みをいただくんですが、コースケさんとデートの予定なんです。なので代わりの人員は要りませんのであしからず」
「ネロキサマもかぁーーー!!」

 結局パプカと俺と、二人して泣きわめく羽目になった。









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