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第十一章 まるでやらせな接待業
CASE84 召喚被害防止委員会 その3
しおりを挟む各々が担当する召喚者に関する定例報告会。
ワルジュ担当のエクスカリバー。ディル担当のハルカ。そしてネロ担当のコースケの報告が終わり、定例報告会いよいよ佳境に入っていた。
最後の一人、ルテオラと言うナイスミドル。彼が最後の報告者である。
「んじゃ最後は俺だな。ところでママルカとパプカの嬢ちゃん。どうだい? うちの組織、あんま入りたいと思わなかっただろう?」
「え、あ……ええと……」
「こんな気苦労を負いながら仕事をなさっている皆さんは変態だと思いました」
さすがパプカ。言いづらい台詞をストレートに言い放つ。
「がっはっは! 正直で結構! 実際、俺たちだってこんな面倒な仕事やりたくはない。ここにいる連中は大半が親から世襲して組織に入っただけだからな」
「そうなんですか?」
「ああ。極秘組織って銘打ってるのも、ほとんどが身内で回してるから知ってるやつが少ないってだけなのよ。実際はそこまで秘密にしてるわけじゃねぇんだがな。好き好んで召喚者に近づこうって物好きはあんまり居ないしな」
「その点、ママルカたちは物好きの部類に入るよな。なんか召喚者に思い入れでもあるのか?」
自分自身が召喚者であるから、と言えば話は早いのだろうが、その場合怨嗟の感情を向けられる可能性が否定できない。
そもそも以前ネロから聞いていた話ゆえに、俺はこの組織に入るつもりは毛頭ないのだ。
ここにいる目的は、あくまで王国に居る召喚者の情報を得て、そいつらに近づかないようにするためである。
「まぁ……召喚者には色々ひどい目にあわされてまして……」
「そんな死にそうな震え声をするほどに? 苦労なされてるのですね……」
本当だよ。
「とにかく、組織に入るにせよ入らないにせよ、今回の定例報告会はある程度参考になっただろう。お前にはその苦労を理解できる仲間がいる……少なくとも、ここにいる奴らはいつでも頼ってくれて良いからな」
……なんというか、骨身に染みる。
召喚者に対する気苦労を共有している同士がこんなに居るのだ。
中にはその召喚者に惚れている奴が半分ほどいるが、それはそれとして召喚者に対する正しい認識をしてくれている。
世の中の大半の奴は召喚者がいくら無茶をしても「え、何か問題あるの?」という顔と台詞で相対するのだ。召喚者補正とは言え、その補正が効かない身からするとストレスが溜まって仕方がない。
厄介な召喚者を厄介な人種であると認識してくれているだけで、俺の心は救われた気がする。
あ、ダメだ……買い物袋が涙で濡れてしまう……
「話が逸れたが、俺からの報告だ。つっても、俺は召喚者を直接監視しているわけじゃねぇ。召喚者が残した遺産を管理するのが仕事なんだ」
「遺産?」
「召喚者は特別な力を持ってこの世界に来るだろう? その力を使ってこの世界の技術力に見合わない技術を遺していくことがあるんだよ」
ああ、いわゆる【地球なめんなファンタジー】的な技術無双か。
「一部は順応して技術発展に貢献してたりするんだが、中には調子に乗って世界を亡ぼしかねない奴もいるからなぁ」
「過去にそういうのが居たのでちか?」
「カク爆弾……だっけ? すげぇ威力の爆弾を無限に作り出す力を持った召喚者がいてな。調子こいて世界征服みたいなことをしようとしたから、マオーさんと当時の四天王が出向いてぶっ飛ばしたって話だ」
「そんなやばいことになってたの!?」
カク爆弾とは間違いなく核爆弾の事だろう。
そんなやばい能力をやばい思想を持つ奴に持たせて召喚したのか……選考基準どうなってんだよ女神様。
「そういう召喚者が残していく遺産も大抵やばいからな。俺みたいな管理者が必要になるってわけだ……で、報告に関してだが一応──問題は……ない」
「? ルテオラさん、なにか歯切れが悪くありませんか?」
「なんか気になることでもあったのか?」
「いやぁ……ええと。俺が管理している者に関しては問題は無い。これは間違いないんだが……実は管理に関して、息子にも協力を頼んだんだ。そろそろ世代交代も考えないといけねぇからな。…………ただその息子がなぁ」
なぜかルテオラは遠い目をしてため息をついて、
「遺産に感化されて…………オタクになった」
──────ん?
なぜだろう。ルテオラの短い台詞に、俺はなぜか心当たりがある気がした。
思い出してはいけない。気づいてはいけない。俺の心臓は危険信号のごとく激しく脈打った。
「ルテオラの旦那の息子って言えば……」
「ええ、確かあの有名人のはずです。最近は人間界に入り浸っていると聞きましたが、もしや……?」
「え、私知らないんですが、ルテオラさんの息子さんは有名人なんですか?」
おそらくこの中では最も若手であるネロが首を傾げた。彼女はルテオラの息子の正体を知らないらしい。
「ネロも絶対に知ってる名前だぜ? 何せかの魔王軍四天王────メテオラだからな」
また身内の犯行だ畜生ーーーーー!!
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