まるで無意味な召喚者~女神特典ってどこに申請すればもらえるんですか?~

廉志

文字の大きさ
167 / 230
第十一章 まるでやらせな接待業

CASE84 召喚被害防止委員会 その4

しおりを挟む




「いやぁ、実は気づいてたよ。見た目も雰囲気も名前も似てるんだもん。なんで俺って知り合いの身内とこんなにエンカウントするんだろうね? 不思議だねぇ?」
「何ぶつぶつ言ってるんでちかサトー、怖いでち」

 我がギルドの一員であるアヤセの生前。この世界に召喚された際の特典にて、自らのオタク部屋を共に召喚した彼女は、特典を活かすことなく非業の死を遂げた。
 その際に遺したのがオタク部屋。恐らくルテオラが管理していたというのはこの部屋を指すのだろう。
 そしてその管理が件のメテオラへと移行して、数か月前のリール村襲来と相成ったわけだ。
 
「はぁ……せっかくサブカルとやらにも触れさせず、厳格に育て上げたってのに。──いや、今思えば厳しすぎたかもしれねぇが、今じゃアイドルの追っかけ以外何もしてねぇからなぁ……」

 厳しく育てた子供は、独立した後反動で極端な趣味に走りやすいと聞いたことがある。
 ならばメテオラもそういった影響があるのかもしれない。
 ──とはいえ、さすがに沼にハマりすぎな気もするが。
 人間界と魔界の通貨は違うので、メテオラが人間界でオタク趣味に走るためには現地で稼ぐ必要がある。そういった理由で冒険者登録もしているのだが、稼いだ金は全て趣味に費やすという自堕落な生活を続けているのだ。
 ダメ人間まっしぐらである。

「むかついて例の部屋をぶっ壊そうとしても、女神の結界が張られてる上に、重ねてメテオラの加護までつけられてるから俺じゃ傷一つすらつけらんねぇ」
「あぁ……八つ当たりもできないのか……」

 メテオラの父親ってことは、実力はそう変わらないのだろう。
 そんな男の攻撃ですら歯が立たないって、どんだけ厳重に管理してるんだメテオラは。

「ま、まあ最近じゃサブカルも立派な文化になってるし、そこまで悲観的にならなくても良いんじゃないか? ほら、同じ四天王のディーヴァって人も今じゃアイドル目指して活動してるって話だし……」
「ああ、それは俺も聞いた。だがそのアイドルになるってきっかけが、息子のオタク趣味に影響を受けたって話は知ってるか? 四天王の中でオタク文化が広がってるのは息子のせいなんだと……」

 メテオラさん、布教タイプのオタクだった。

「俺だってなぁ! いい歳した息子の趣味をとやかく言うつもりはねぇんだよ! でもな!? それにかまけてニートになるってんなら話は別なんだよ!」
「おや? でも、彼はマオー様の会社で働いているから、四天王と言うのではありませんでしたか?」
「俺の古巣でもあるからな。知り合いに聞いたら、冒険者の質が低すぎて四天王までたどり着けないんだと。つまり、息子は会社に在籍してるだけで働いてはいない!」

 …………ニートじゃん。

「メテオラの奴、そんな堕落した生活をしてたのか……」
「さっきから皆は何の話をしてるのでちか? 全然ついていけないのでちが、メテオラってうちの村にいるあの方の事でちか?」

 ……そういえば、メテオラの正体はごく一部を除いて秘密にしているのだった。
 ゆえにパプカも彼の正体を知らない。だからこそこんなにも冷静に居られるのだろう。知らぬが仏とはこのことだ。

「同じ名前の奴なんて珍しくもないだろ。俺の知り合いにもメテオラなんて15人はいるからな」
「いやそれはいすぎでしょ」
「とにかく! うちのメテオラと今話に出てきている奴は別人だから! 深くかかわるんじゃねぇお願いします!!」
「わ、わかりまちたよ……」

 なぜ俺がこんなにも必死になっているのか。それは、我がリール村にはメテオラをオタクの道に引き入れた人物が少なくとも三人在籍しているからだ。
 一人目はきっかけ。今話題に挙がっているアヤセ・ナナミ。オタク部屋の正統所有者。
 二人目は先生。オタクのいろはを教え込んだある意味元凶、エクスカリバー。
 三人目は友人。ことあるごとにヴォルフの街へ遊びに行くヘビーユーザー、リュカン。
 もし俺とパプカがそいつらが居る村の所属だと知られたならば、ルテオラの怒りの矛先が向けられる可能性がある。
 大事な息子をニート化させた奴らの仲間と思われたならば、その怒りはある程度正統性を帯びるだろう。
 ゆえに、俺は人族であることと奴らの関係者であることを絶対に隠そうと、改めて心の中で決意した。

「まあまあ。愚痴はそのぐらいにして、お仕事の話に戻りましょう。ルテオラさん、ほかに報告することは無いんですか?」
「あ、悪い……そうだなぁ。その管理してる部屋に関することなんだが、持ち主である召喚者の足取りを調べているうちに、やけに出てくる名前があってな」
「召喚者の関係者でしょうか? 彼らは影響力が強いですからね」
「いや、召喚者の影響力っていうか、この人物の影響を召喚者が受けてるって言うのか? 奴らの中で噂になってるやつの名前なんだが──」

 召喚者にかかわろうとする人間など、基本的にろくな奴はいない。
 彼らの対策に回っている委員会はともかくとして、奇人変人のオンパレードである。
 エクスカリバーに好んでつるむのは同じオタク趣味の野郎ども。コースケやハルカについていくのは、その特性に中てられた恋愛脳どもだ。
 どいつもこいつもキャラが濃い。もう少し大人しくしていられないのだろうか。


「サトーっていう奴らしい」


 ────はい?


しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない

戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――! 現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、 中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。 怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として 荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。 だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、 貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。 『良領主様』――いや、『天才王子』と。 領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、 引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい! 「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく! ――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚! こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています 是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす

蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。 追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。 しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。 港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。 イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。 犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。 被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。 追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。 この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

処理中です...