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第三章 まるで混沌な運動会
CASE12 ミンティア・ルールブック その1
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「じゃあお前ら、出掛けてくるけどくれぐれも問題を起こすな。拾い食いとかするなよ」
「いつも私達のことをどういう目で見てるんだサトー」
「詳しい話を聞く必要がありそうですね。戻ってきたら覚悟しておいてください」
中央での仕事をある程度午前中に済ませ、ふくれっ面を浮かべる二人をよそに、俺は私服に着替えて出かける準備を整えた。
仕事中も絶えず思っていたことだが、こいつらを残して出掛けることに、いささかの心配を覚える。目を離したら何をしでかすか分からない連中だ。
片田舎のリールとは違い、こんな都会でトラブルを起こされては堪ったものではない。
本当なら四六時中監視下において、運動会までおとなしくさせておくのだが、流石に現実的ではない。とにかくおとなしくしているように釘を差して祈る他にないだろう。
二人とふん縛られたゴルフリートを宿屋に残し、俺は久しぶりに同期の連中と飲むために外出した。
「しっかし王都も代り映えしないなぁ。まあ出てから2年も経ってないならそんなもんか」
俺が王都で研修を受けていた3年の後、中央ギルドを離れて早2年近く。
相も変わらず活気に満ちて建物の平均身長が高い王都を闊歩する。
整然とした街並みは一種の芸術のように美しく、これを目当てに王国全土から観光客が押し寄せるような観光都市である。
しかも、ここのようにヨーロピアンな街並みが続いたかと思えば、急に京都を連想させるような街がお出迎え。更に歩けば異世界風のファンタジックな建物が並ぶ場所もある。
明らかに日本人の手が入っている街の様子は、異世界人受けがとても良いそうなのだ。
俺からすればどれかに統一した都市計画を組めとツッコミを入れたいが、3年も暮らしていたのだから愛着も湧く。
リールの村なんかよりもよほど心落ち着いて過ごせていた。
集合場所のカフェに到着すると、集合時刻30分前にもかかわらず、同期の一人が優雅にコーヒーを飲んでいた。
茶髪を短く切りそろえ、広いオデコに太眉を乗せてメガネを掛けた、ギルドの制服を着込んだ女
名をミンティア・ルールブック。通称ミントと言う。
「あら? 遅かったわねサトー君」
「集合時刻30分前は遅くねぇよ……と言うか、なんで制服? 仕事帰りか?」
「ええ。ちょっと仕事が長引いちゃってそのまま来たのよ。家まで帰ると予定に遅れちゃうしね」
それでも多分集合予定時間には余裕で間に合うのだろうが、目の前の『真面目』と言う単語を擬人化したような人間は、10分前行動どころか一時間前行動を心がけているため、少しでも遅れる可能性があるならいっそ制服のまま……と考えたのだろう。
だが、何故か彼女には違和感があった。一瞬で理解できたその違和感は、ミントの制服にあった。
「なんでエプロンかけてんの、お前?」
「え? あっ!?」
ミントは制服のスカートの上からなぜかエプロンを着けていた。
俺に指摘されてようやくソレに気がついたのか、顔を赤くしてエプロンを取り外す。
「こ、これは違うの! その……えっと……」
「ミントって、今はサブマスターの所で秘書みたいな仕事やってるんだろ? なんでエプロンなんか必要なんだ?」
「その……はぁ。ええそうよ。でも、仕事の内容は結構お茶くみとかの身の回りのお世話が多くて。便利だから仕事中はエプロンを着けてることにしてるの」
ため息を付いてうなだれるミント。サブマスの秘書など、エリートコースに乗ったと思っていたが、それはそれで苦労があるようだ。
「あーあ。サブマスターの元で色々学べると思ってたのに、あの人なんでも自分一人で出来ちゃうから、手伝えることがないのよねぇ」
「まあ、あの人は仕事だけは出来るからな。性格云々はともかくとして」
「ちょっと、サブマスターのことを悪く言ってるなら承知しないわよ? サトー君がサブマスターと懇意にしてるのは知ってるけど、私があの人を尊敬してるっていうのも知ってるでしょ?」
「尊敬……ねぇ?」
傍若無人でドSの女王様のどこらへんを尊敬できるのは俺には理解できないが、俺以外には猫を何重にもかぶっているあの女は、職員の大半から尊敬を集めているそうだ。
特に女性の職員からは絶大な支持率を誇り、それはミントも例外ではない。と言うか、入れ込み具合で言えばミントは人一倍リンシュを慕っているのである。
「知らないことは幸せなことである」
「え、急に何?」
「いやなんでもない。そう言えばボンズも今日来るんだよな? あいつも運動会に参加するんだっけ?」
「ええ。ボンズ君はいつも集合時間ぴったりに来るからね。もうちょっとしたら来るんじゃない? ああ、でも運動会には参加しないそうよ? 中央の人手不足のための補助要員らしいから」
本日の飲み会は俺とミント。そしてもうひとりの同期で行う予定だ。同期の中でも特に仲がよく、現在でも交友があるのは彼女たちだけである。
「あ、そう言えば。この間の手紙は何だったの? サトー君にしては珍しく手紙をよこしたと思えば、死ぬとか何とか書いてあるし」
「あー、ちょっと厄介な案件があってナイーブになってたんだよ。解決……はしてないが、一応落ち着いたから今は何とかなってるよ」
「ふーん。サトー君が厄介って言ってるんだから、相当な案件だったんでしょうね」
そりゃ魔王軍四天王が出現したなんて、ギルドのお偉いさんが出張ってもまだ足りないような巨大案件だ。人死を出さず収めただけでも相当褒められていいと思う……まあやつに関しては報告するつもりは無いのだが。
「サトー君、その歳でもう支部長だもんね。知ってる? 20歳以下で支部長に抜擢されたのって、過去にサトー君を含めて10人も居ないそうよ?」
「正確に言うと、臨時支部長代理だ。仕事内容も給料も、平職員とほとんど変わんないんだよ」
「それでもすごいと思うけどなぁ。辺境地とは言え支部を任されてるんだから」
「それを言うならミントのほうがすごいだろ。サブマスターの秘書なんて、エリートコースの代名詞みたいなものじゃないか」
「まぁ……仕事が召使みたいじゃなきゃそうなんだけどね……」
はぁ……世知辛い。俺とミントはため息を付いた。
「……っと、そろそろボンズのやつも来るかな? ちょっとトイレ行っておくわ」
「あ、このお店のトイレ壊れてるらしいから、お向かいのを使わせてもらうと良いわよ」
一旦席を外し、ミントに指さされた店へ足を運ぶ…………その途中、何やらおかしな奴らが俺の目に止まった。
建物の影に隠れ、なぜか探偵服に身を包んだ……パプカとジュリアスの姿だった。
「なあ、パプカ? やっぱりこういうのは良くないと思うんだが……と言うか、この探偵服はなんだ?」
「何を言うのですかいまさら。ジュリアスもサトーの中央での関係は気になるでしょう? あと探偵服は気分です。似合ってますよ?」
「うーん、でも少し胸周りがキツイんだが、サイズは合っているのか?」
「むむむ、コスプレ用ですので詳しいサイズはわかりませんが……ジュリアス、もしかしてまた大きくなったのですか? この隠れ巨乳め! 許せん!!」
「ちょ、揉まないでくれパプカ! でもこうやって後をつけるのは……いささか背徳感があるなぁ」
「後をつけているのではありません。実態調査と呼んでもらいたいですね。昨日も夜遅くに精根尽き果てた様子で帰ってきたサトーですから。きっと王都に恋人がいるのでしょう」
「こ、恋人!? あのサトーに恋人……まさかカフェに居る女性がそうなのだろうか?」
「いーえ。おそらくあの女性もその一人なのでしょうが、私の予想は少し違います。いつもサトーが念話機で離している女性が居るでしょう?」
「声を聞いたことがなかったが、念話の相手は女性だったのか? でもその人はサトーの上司だと聞いたが……」
「方便ですよ、方便。私達に隠すためにそう言い張っているだけです。カフェの女性を見て確信しました。きっとサトーは、王都に複数の恋人を持っているに違いありません」
「まさか! あのサトーだぞ?」
「ああいう男に限ってやることはヤッているものなのですよ。地方では硬派を気取っていても、王都ではヤリ○ンでプレイボーイでハーレム思考の持ち主なのです」
「あわわわ……まさかサトーにそんな性癖があったとは……」
「さぁ。サトーのあれこれを手中に収め、今度飲むときの肴にしましょう。からかい倒してあげますよ、サトー。ふっふっふ」
「へぇ? 誰をからかうって?」
「いやですから。サトーの王都での下事情を手中に収めて弱みを握ろうと…………うわっ、サトー!? き、奇遇ですねこんな所で。お散歩ですか?」
「ほう? 宿屋でおとなしくしろと言ったはずだが、こんな所で奇遇にも俺の弱みを握ろうとしていたと?」
「いやぁ、えっと……あっはっは」
「あっはっは…………この糞ガキ! 誰がヤリ○ンだコラァ!!」
「誰がガキですか! 私はもうすぐ20歳……イタタタタ!? ごめんなさい! 頭ぐりぐりしないでください!」
このガキ、言うに事欠いてヤリ○ンとはなんだ。俺のはまだ完全に未使用……いや、止めておこう。泣けてくる。
「お前もだポンコツ! 簡単に信じてんじゃねぇ!! 何があわわだ!!」
「お、王都でのサトーのことは全然知らないんだから仕方がないだろう! それに現に……か、彼女さんがあのカフェに居るじゃないか!」
「彼女……? はぁ!? それってミントのことか? 誰が彼女だ馬鹿か! あんなかたっ苦しい女の恋人なんかになったら息が詰まるわ!」
「誰がかたっ苦しい女ですって?」
「あのミントって女のことだよ! アレと恋人になったら私生活まで1時間前行動取らされるぞ。俺は絶対に嫌だ……ね……」
「へぇ、サトー君って私のことをそんな風に見てたんだ」
「み、ミントさん。なんでこんなところに?」
俺の背後には、眼鏡とオデコをキラリと光らせて、まるで鬼のような形相で俺を睨みつけるミントの姿があった。
俺の額から汗が滴り落ちた。そばでミントの表情を見ていたバカ二人も同様だ。
それほどまでに、ミントから殺気が漂っていたのである。
「あんだけ大声で話してたらカフェまで聞こえるわよ。とりあえず……3人共詳しく話を聞かせてもらいましょうか」
「「「ごめんなさい!!」」」
3人共半泣きになっていた。
「いつも私達のことをどういう目で見てるんだサトー」
「詳しい話を聞く必要がありそうですね。戻ってきたら覚悟しておいてください」
中央での仕事をある程度午前中に済ませ、ふくれっ面を浮かべる二人をよそに、俺は私服に着替えて出かける準備を整えた。
仕事中も絶えず思っていたことだが、こいつらを残して出掛けることに、いささかの心配を覚える。目を離したら何をしでかすか分からない連中だ。
片田舎のリールとは違い、こんな都会でトラブルを起こされては堪ったものではない。
本当なら四六時中監視下において、運動会までおとなしくさせておくのだが、流石に現実的ではない。とにかくおとなしくしているように釘を差して祈る他にないだろう。
二人とふん縛られたゴルフリートを宿屋に残し、俺は久しぶりに同期の連中と飲むために外出した。
「しっかし王都も代り映えしないなぁ。まあ出てから2年も経ってないならそんなもんか」
俺が王都で研修を受けていた3年の後、中央ギルドを離れて早2年近く。
相も変わらず活気に満ちて建物の平均身長が高い王都を闊歩する。
整然とした街並みは一種の芸術のように美しく、これを目当てに王国全土から観光客が押し寄せるような観光都市である。
しかも、ここのようにヨーロピアンな街並みが続いたかと思えば、急に京都を連想させるような街がお出迎え。更に歩けば異世界風のファンタジックな建物が並ぶ場所もある。
明らかに日本人の手が入っている街の様子は、異世界人受けがとても良いそうなのだ。
俺からすればどれかに統一した都市計画を組めとツッコミを入れたいが、3年も暮らしていたのだから愛着も湧く。
リールの村なんかよりもよほど心落ち着いて過ごせていた。
集合場所のカフェに到着すると、集合時刻30分前にもかかわらず、同期の一人が優雅にコーヒーを飲んでいた。
茶髪を短く切りそろえ、広いオデコに太眉を乗せてメガネを掛けた、ギルドの制服を着込んだ女
名をミンティア・ルールブック。通称ミントと言う。
「あら? 遅かったわねサトー君」
「集合時刻30分前は遅くねぇよ……と言うか、なんで制服? 仕事帰りか?」
「ええ。ちょっと仕事が長引いちゃってそのまま来たのよ。家まで帰ると予定に遅れちゃうしね」
それでも多分集合予定時間には余裕で間に合うのだろうが、目の前の『真面目』と言う単語を擬人化したような人間は、10分前行動どころか一時間前行動を心がけているため、少しでも遅れる可能性があるならいっそ制服のまま……と考えたのだろう。
だが、何故か彼女には違和感があった。一瞬で理解できたその違和感は、ミントの制服にあった。
「なんでエプロンかけてんの、お前?」
「え? あっ!?」
ミントは制服のスカートの上からなぜかエプロンを着けていた。
俺に指摘されてようやくソレに気がついたのか、顔を赤くしてエプロンを取り外す。
「こ、これは違うの! その……えっと……」
「ミントって、今はサブマスターの所で秘書みたいな仕事やってるんだろ? なんでエプロンなんか必要なんだ?」
「その……はぁ。ええそうよ。でも、仕事の内容は結構お茶くみとかの身の回りのお世話が多くて。便利だから仕事中はエプロンを着けてることにしてるの」
ため息を付いてうなだれるミント。サブマスの秘書など、エリートコースに乗ったと思っていたが、それはそれで苦労があるようだ。
「あーあ。サブマスターの元で色々学べると思ってたのに、あの人なんでも自分一人で出来ちゃうから、手伝えることがないのよねぇ」
「まあ、あの人は仕事だけは出来るからな。性格云々はともかくとして」
「ちょっと、サブマスターのことを悪く言ってるなら承知しないわよ? サトー君がサブマスターと懇意にしてるのは知ってるけど、私があの人を尊敬してるっていうのも知ってるでしょ?」
「尊敬……ねぇ?」
傍若無人でドSの女王様のどこらへんを尊敬できるのは俺には理解できないが、俺以外には猫を何重にもかぶっているあの女は、職員の大半から尊敬を集めているそうだ。
特に女性の職員からは絶大な支持率を誇り、それはミントも例外ではない。と言うか、入れ込み具合で言えばミントは人一倍リンシュを慕っているのである。
「知らないことは幸せなことである」
「え、急に何?」
「いやなんでもない。そう言えばボンズも今日来るんだよな? あいつも運動会に参加するんだっけ?」
「ええ。ボンズ君はいつも集合時間ぴったりに来るからね。もうちょっとしたら来るんじゃない? ああ、でも運動会には参加しないそうよ? 中央の人手不足のための補助要員らしいから」
本日の飲み会は俺とミント。そしてもうひとりの同期で行う予定だ。同期の中でも特に仲がよく、現在でも交友があるのは彼女たちだけである。
「あ、そう言えば。この間の手紙は何だったの? サトー君にしては珍しく手紙をよこしたと思えば、死ぬとか何とか書いてあるし」
「あー、ちょっと厄介な案件があってナイーブになってたんだよ。解決……はしてないが、一応落ち着いたから今は何とかなってるよ」
「ふーん。サトー君が厄介って言ってるんだから、相当な案件だったんでしょうね」
そりゃ魔王軍四天王が出現したなんて、ギルドのお偉いさんが出張ってもまだ足りないような巨大案件だ。人死を出さず収めただけでも相当褒められていいと思う……まあやつに関しては報告するつもりは無いのだが。
「サトー君、その歳でもう支部長だもんね。知ってる? 20歳以下で支部長に抜擢されたのって、過去にサトー君を含めて10人も居ないそうよ?」
「正確に言うと、臨時支部長代理だ。仕事内容も給料も、平職員とほとんど変わんないんだよ」
「それでもすごいと思うけどなぁ。辺境地とは言え支部を任されてるんだから」
「それを言うならミントのほうがすごいだろ。サブマスターの秘書なんて、エリートコースの代名詞みたいなものじゃないか」
「まぁ……仕事が召使みたいじゃなきゃそうなんだけどね……」
はぁ……世知辛い。俺とミントはため息を付いた。
「……っと、そろそろボンズのやつも来るかな? ちょっとトイレ行っておくわ」
「あ、このお店のトイレ壊れてるらしいから、お向かいのを使わせてもらうと良いわよ」
一旦席を外し、ミントに指さされた店へ足を運ぶ…………その途中、何やらおかしな奴らが俺の目に止まった。
建物の影に隠れ、なぜか探偵服に身を包んだ……パプカとジュリアスの姿だった。
「なあ、パプカ? やっぱりこういうのは良くないと思うんだが……と言うか、この探偵服はなんだ?」
「何を言うのですかいまさら。ジュリアスもサトーの中央での関係は気になるでしょう? あと探偵服は気分です。似合ってますよ?」
「うーん、でも少し胸周りがキツイんだが、サイズは合っているのか?」
「むむむ、コスプレ用ですので詳しいサイズはわかりませんが……ジュリアス、もしかしてまた大きくなったのですか? この隠れ巨乳め! 許せん!!」
「ちょ、揉まないでくれパプカ! でもこうやって後をつけるのは……いささか背徳感があるなぁ」
「後をつけているのではありません。実態調査と呼んでもらいたいですね。昨日も夜遅くに精根尽き果てた様子で帰ってきたサトーですから。きっと王都に恋人がいるのでしょう」
「こ、恋人!? あのサトーに恋人……まさかカフェに居る女性がそうなのだろうか?」
「いーえ。おそらくあの女性もその一人なのでしょうが、私の予想は少し違います。いつもサトーが念話機で離している女性が居るでしょう?」
「声を聞いたことがなかったが、念話の相手は女性だったのか? でもその人はサトーの上司だと聞いたが……」
「方便ですよ、方便。私達に隠すためにそう言い張っているだけです。カフェの女性を見て確信しました。きっとサトーは、王都に複数の恋人を持っているに違いありません」
「まさか! あのサトーだぞ?」
「ああいう男に限ってやることはヤッているものなのですよ。地方では硬派を気取っていても、王都ではヤリ○ンでプレイボーイでハーレム思考の持ち主なのです」
「あわわわ……まさかサトーにそんな性癖があったとは……」
「さぁ。サトーのあれこれを手中に収め、今度飲むときの肴にしましょう。からかい倒してあげますよ、サトー。ふっふっふ」
「へぇ? 誰をからかうって?」
「いやですから。サトーの王都での下事情を手中に収めて弱みを握ろうと…………うわっ、サトー!? き、奇遇ですねこんな所で。お散歩ですか?」
「ほう? 宿屋でおとなしくしろと言ったはずだが、こんな所で奇遇にも俺の弱みを握ろうとしていたと?」
「いやぁ、えっと……あっはっは」
「あっはっは…………この糞ガキ! 誰がヤリ○ンだコラァ!!」
「誰がガキですか! 私はもうすぐ20歳……イタタタタ!? ごめんなさい! 頭ぐりぐりしないでください!」
このガキ、言うに事欠いてヤリ○ンとはなんだ。俺のはまだ完全に未使用……いや、止めておこう。泣けてくる。
「お前もだポンコツ! 簡単に信じてんじゃねぇ!! 何があわわだ!!」
「お、王都でのサトーのことは全然知らないんだから仕方がないだろう! それに現に……か、彼女さんがあのカフェに居るじゃないか!」
「彼女……? はぁ!? それってミントのことか? 誰が彼女だ馬鹿か! あんなかたっ苦しい女の恋人なんかになったら息が詰まるわ!」
「誰がかたっ苦しい女ですって?」
「あのミントって女のことだよ! アレと恋人になったら私生活まで1時間前行動取らされるぞ。俺は絶対に嫌だ……ね……」
「へぇ、サトー君って私のことをそんな風に見てたんだ」
「み、ミントさん。なんでこんなところに?」
俺の背後には、眼鏡とオデコをキラリと光らせて、まるで鬼のような形相で俺を睨みつけるミントの姿があった。
俺の額から汗が滴り落ちた。そばでミントの表情を見ていたバカ二人も同様だ。
それほどまでに、ミントから殺気が漂っていたのである。
「あんだけ大声で話してたらカフェまで聞こえるわよ。とりあえず……3人共詳しく話を聞かせてもらいましょうか」
「「「ごめんなさい!!」」」
3人共半泣きになっていた。
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