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第十三章 まるでカオスな視察団
CASE98 フラグ②
しおりを挟む冒険者ギルド東本部からの視察。それが明日に迫った中、俺たちはいつも以上に仕事に精を出していた。
人員の少ないリール村冒険者ギルドでは、お偉いさんの対応をするとなると通常業務が執り行うことが出来ない。そのため、本日中に出来るだけ仕事を消化しておこうという事だ。
だが、視察と言うのは冒険者ギルドの仕事を見に来るわけでもあるため、適度に仕事を残さないといけない。
俺はその視察団に見せる用の仕事をどう残すかで頭を悩ませていた。
「ウチのトップ冒険者は言うまでもなくゴルフリートのオッサンだが、向こうさんも「出来るだけ色々なランクの冒険者を見たい」って言ってたし、もう何人か見繕っておくか」
「次点となると、パプカさんでしょうか。プラチナの冒険者なら、多少現実的な高ランク冒険者ですし」
「──正直、この親子をお偉いさんに見せて良いものか……」
「絶対に何かやらかしそうッス」
アヤセが太鼓判を押したように、彼・彼女らは絶対にやらかすだろう。
問題は、事前にそれを予測してリカバリーを行うことである。例えマグダウェル親子が何をやらかそうとも、それを想定してカバーに入れば問題ないのだ。
「おやおや、好き放題言ってくれますねぇ」
と、噂をすれば親子の片割れ。パプカ・マグダウェルが登場した。
「「登場した」じゃないでしょ。呼んだのサトーじゃないですか」
「私が呼んだのはパプカさんとゴルフリートさんの二人なんですが──ゴルフリートさんは?」
「「面倒くさいから寝る」だそうです」
安定のオッサンである。
二人を呼んだのは予め明日の打ち合わせをするためなのだが、いつの間にか予定の時間になっていたらしい。
ひとまず残りの人員選びは後回しにして、パプカと話し合っておくべきだろう。
「まあゴルフリートさんは有名人ですし、落ちる評判がそもそも無いので問題ないですね」
「敬語だからってめちゃくちゃ言っても良いという訳ではないんですよ、サトー?」
つい本音が。
「まあ、お父さんがやらかすのは仕方がありません。わたしもそう思います」
「娘さんからの評価がひたすら低いですね」
「しかし! しかしですよサトー! その場にわたしが居ればどうなると思いますか!?」
「大惨事を招くでしょう」
「即答!?」
それ以外のビジョンがまるで見えないのだもの。
「違います! わたしが助け舟を出してあげますよって話をしてるんです!!」
「パプカさんが私を…………助……け?」
「しまいにゃ泣きますよ?」
若干震え声のパプカであった。
「助け舟はともかく、とにかく本題に入りましょう。以前から言っていた通り、明日東本部から視察が来ます。さて、パプカさんはこれにどう対応しますか?」
「ええと……ぶっ飛ばせば良いんですかね?」
「なんでだよ!!」
思わず素でツッコんでしまった。
「…………ひとまずぶっ飛ばすのは無しの方向で。いつも通り、クエストの手続きをしていただくだけで結構です」
「え~、魔法の一つでも飛ばした方が派手じゃないですか?」
「基本的にはギルドの事務手続きの視察ですから、魔法を使う機会は無いと思います」
「つまんないですね」
お前、さっき助け舟がどうとか言ってなかったっけ?
「とにかく、【いつも通り】! 【普通で】! お願いしますね!」
「わ、わかりましたよぅ……」
「ふぅ……まあしかし、パプカさんとゴルフリートさん。残りの冒険者を誰にするか迷うところですね」
「ああ、まだ決まって無かったんですか? 適当で良いじゃないですか」
「そうもいかないんですよ。オリハルコンのゴルフリートさん。プラチナのパプカさんと来たなら、バランスを考えて残りはシルバーかブロンズと考えていたんですが……」
「ですが?」
「残っているのはリュカンさん・メテオラさん・ジュリアスさんの三人なんですよねぇ」
視察があると言っても、冒険者の活動を妨げてまで協力させては意味がない。パプカに念を押したように、視察はあくまでもいつも通りの業務が目的なのだ。
すなわち、事前に「しばらくは暇」と言っていたマグダウェル親子を除き、他の冒険者は自分の仕事が優先させている。
前日まで決まらなかったのも、彼らが明日クエストをするか否かで誘いをかけようと思っていたからだ。
が、結果残ったのは先ほど述べた三人。不安しかない。
「と言っても、ジュリアスさんは本日の一件で恐らく無理です」
「今は隠れてるんでしたっけ? ジュリアスのかくれんぼの腕は相当なものですからね。遊んでて一度も見つけられたことがありません」
20歳超えてどんな遊びをしてるんだこいつら。
「後はリュカンさんかメテオラさんですが……まあ無難にリュカンさんでしょうか」
あいつなら緊張で多少のやらかしはあれど、致命的な事にはならないだろう。
「あ、リュカンさんならデートに行くって言ってましたから、今村に居ませんよ? ちっ!」
「ちっ!!」
二人の舌打ちがシンクロした。
「…………あれ? という事は残ったのは──」
「メテオラさんですね」
もう何度も言っているが──不安しかない!!
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