皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第七章 懺悔

第1話 司祭 

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「あの生き残ったキリスト教信者は司祭様だそうだ」

 ミハエルは庭の茂みに隠れるように大理石のベンチに腰をかけ、サリオンに告げた。
 隣に座ったサリオンは目を剥いた。

「司祭様?」

 勇猛果敢に猛獣を倒し、生き延びたディスクとかいう男のはずだった。

「司祭様だと言うのなら懺悔がしたい」
「懺悔?」

 ミハエルは顔色を曇らせた。

「アルベルトと寝ることは罪を犯したことにあたるのか?」

 咄嗟に口をついて出た言葉にミハエルが糾弾する。

「愛し合って何が悪い? キリスト教への弾圧は市政にすぎないだろ。アルベルト自身がキリスト教徒を憎んでいるわけじゃない」
「だけど、その市政の頂点に立つのはアルベルトだ。アルベルトの命令で今日も多くの信者が惨殺されている」
「それがわかっていて寝たのはお前だろう?」

 ミハエルの言葉に胸を衝かれ、サリオンはぐっと奥歯を食いしばる。

「こうなったら司祭様からお言葉を頂戴しよう。お前の迷いに司祭様が何を仰るのかを俺も聞きたい」
「そんなことができるのか?」
「アルベルトに頼んでみろ。お前が言う言葉なら聞くだろう」
「アルベルトに……」

 アルベルトは階級市政のひとつだから、自由と平等と博愛を掲げるキリスト教徒は容認できないと、王宮に上がる夜に告げられてしまっていた。
 そよ風が庭を吹き渡る。
 木立が揺れて、ざざっという音をたてている。

 司祭は怒るのか、それとも容認するのか。
 サリオンは確かめてみたくなる。 

「やってみる」

 立ち上がったサリオンは尻についた枯れ葉をはらう。
 自分が教徒だと言うことは受け入れてくれた彼だが、司祭との面談までは容認できないと言うかもしれない。
 だが、やってみよう。
 自分の中のこの終わりのない葛藤に、司祭様がどんな鉄拳をふるうのか。
 それとも優しく頬に手のひらを添えてくれるのか。

 
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