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第5話
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翌朝、朝の柔らかな光が窓のカーテン越しに部屋に差し込み、その光で眩しさを感じたクラウディアは目覚めた。隣には無防備に寝顔を晒しているエリオットがいる。
彼の長い腕はまるでクラウディアを離さないとでも主張しているかのように、彼女の背中にぎゅっと回されている。
(エリオット殿下とは知り合ってから長いけれど、こうして寝顔を見るのは初めてかも)
しばらくエリオットの寝顔を眺めていたクラウディアだったが、彼女の視線を感じたのか彼はふと目を開けた。
「いつ起こしてくるのかなと思っていたけれど、もう限界。クラウディア、僕の寝顔をずっと見ていたけれど、そんなに寝顔が気に入ったの?」
エリオットが意地悪そうに微笑んでクラウディアに問いかけるも、彼女は顔を真っ赤にして悶えるばかりだ。
「ごめんね、ちょっとイジワルなことを言った。こうしてクラウディアと一緒に朝を迎えられたことが嬉しくて」
「エリオット殿下がこんな意地悪な人だったなんて知りませんでしたわ」
ふんわりと微笑んでいるエリオットとは対照的にクラウディアは唇を少し尖らせている。
「今まではこんな一面はクラウディアには見せてこなかったけれど、これからは僕の奥様として見せていくよ。そして、僕も今まで知らなかったクラウディアのことを知っていきたいと思っているよ」
「エリオット殿下…」
「さぁ、このお話はこれくらいにして。着替えて朝食を食べて兄上に会いに行こう。もう侍従には兄上との面会の約束を取りに行かせているしね」
「はいっ……!」
*****
エリオットとクラウディアが挨拶に来る前、国王陛下専用の応接室には国王とクラウディアの父親であるレスター公爵が顔を突き合わせていた。国王と公爵は、今は表向きには国王と臣下という関係ではあるが、元々は幼馴染で国王の学友の一人という関係である為、職務関係なしに二人で話すことがある。
「結局こうなりましたか。私の意向やクラウディアの気持ちを無視して、無理矢理自分の息子を捩じ込んだのに結果がこうなるとは何と言うべきか……」
「返す言葉もない。親心を出して、無理矢理割り込んだのは悪かったと思っている。一つ言い訳をさせてもらえるなら、私は積極的に割り込んで婚約を推奨したのではない。ただ単に妻を止められなかったんだ」
「それでも結果的に娘の婚約者がフレデリック第二王子殿下に決定した時点であなたも同罪でしょう。彼はこれからどうなさる予定ですか?」
「本人が学園で懇意にしている例の男爵令嬢の家にでも婿入りさせる。勿論廃嫡した上で、になるが」
「これから大変になるでしょうね」
「本人の自業自得だ。自分の立場を理解できない幼子ではないのだから、自分の言動の責任は自分で取ってもらう。そろそろ二人が来る時間だ。我々は解散するとしよう」
「そうですね。私がいると気まずいでしょうしね」
「クラウディア嬢の結婚相手は息子から弟になったが、これからエリオットのことをよろしく頼む」
「はい。私の方こそこれからは家族としてよろしくお願いします」
二人が国王の元に訪れるまであと少しーー。
彼の長い腕はまるでクラウディアを離さないとでも主張しているかのように、彼女の背中にぎゅっと回されている。
(エリオット殿下とは知り合ってから長いけれど、こうして寝顔を見るのは初めてかも)
しばらくエリオットの寝顔を眺めていたクラウディアだったが、彼女の視線を感じたのか彼はふと目を開けた。
「いつ起こしてくるのかなと思っていたけれど、もう限界。クラウディア、僕の寝顔をずっと見ていたけれど、そんなに寝顔が気に入ったの?」
エリオットが意地悪そうに微笑んでクラウディアに問いかけるも、彼女は顔を真っ赤にして悶えるばかりだ。
「ごめんね、ちょっとイジワルなことを言った。こうしてクラウディアと一緒に朝を迎えられたことが嬉しくて」
「エリオット殿下がこんな意地悪な人だったなんて知りませんでしたわ」
ふんわりと微笑んでいるエリオットとは対照的にクラウディアは唇を少し尖らせている。
「今まではこんな一面はクラウディアには見せてこなかったけれど、これからは僕の奥様として見せていくよ。そして、僕も今まで知らなかったクラウディアのことを知っていきたいと思っているよ」
「エリオット殿下…」
「さぁ、このお話はこれくらいにして。着替えて朝食を食べて兄上に会いに行こう。もう侍従には兄上との面会の約束を取りに行かせているしね」
「はいっ……!」
*****
エリオットとクラウディアが挨拶に来る前、国王陛下専用の応接室には国王とクラウディアの父親であるレスター公爵が顔を突き合わせていた。国王と公爵は、今は表向きには国王と臣下という関係ではあるが、元々は幼馴染で国王の学友の一人という関係である為、職務関係なしに二人で話すことがある。
「結局こうなりましたか。私の意向やクラウディアの気持ちを無視して、無理矢理自分の息子を捩じ込んだのに結果がこうなるとは何と言うべきか……」
「返す言葉もない。親心を出して、無理矢理割り込んだのは悪かったと思っている。一つ言い訳をさせてもらえるなら、私は積極的に割り込んで婚約を推奨したのではない。ただ単に妻を止められなかったんだ」
「それでも結果的に娘の婚約者がフレデリック第二王子殿下に決定した時点であなたも同罪でしょう。彼はこれからどうなさる予定ですか?」
「本人が学園で懇意にしている例の男爵令嬢の家にでも婿入りさせる。勿論廃嫡した上で、になるが」
「これから大変になるでしょうね」
「本人の自業自得だ。自分の立場を理解できない幼子ではないのだから、自分の言動の責任は自分で取ってもらう。そろそろ二人が来る時間だ。我々は解散するとしよう」
「そうですね。私がいると気まずいでしょうしね」
「クラウディア嬢の結婚相手は息子から弟になったが、これからエリオットのことをよろしく頼む」
「はい。私の方こそこれからは家族としてよろしくお願いします」
二人が国王の元に訪れるまであと少しーー。
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