異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
13 / 252
第一章 新しい命

第十三話 ただいま

しおりを挟む
「今帰ったぞ」
「お帰りなさいませ、ツヴァイ様」

 円卓の間での話し合いが終わりツヴァイが屋敷に帰ってきた。セバスが迎えるとツヴァイは上着を渡しリビングへと向かった。

 ツヴァイはエントランスに入った時からリビングが騒がしい事に気付いていた。なのですぐにリビングへと向かった。

「お客さんかい?」

 ツヴァイがリビングに入る。ツヴァイはいつものメンバーにキーファとデシウスを見つけてそう話した。

「ええ、キーファ君がジーニのお客様を連れて来てくれたのよ」
「そうか、ジーニの・・・君、エルフなのか?」

 ツヴァイはデシウスを見て驚く。エルフは貴重な存在だ、ツヴァイが驚くのも無理はない。

 この世界では差別が横行していると言うのは知っていてもらっているだろう。その為エルフはビジュアルが良くカリスマ的存在というものになっている。特に昔は奴隷として人気があり貴族たちがエルフ目的で戦争を起こした事もよくあった。そんな歴史もあったものだからあまり森から出てこないので貴重な存在となってしまった。

「エルフがそんなに珍しいですか?」
「あ~いや、すまない。エルフを見るのは初めてだったんでな」

 デシウスは不機嫌にツヴァイに言い返す。ツヴァイは頭を掻き謝るとメリアに睨まれた。最近ツヴァイの威厳がヤバい。

「キーファ君、もう大丈夫だよ」
「でも・・・」
「大丈夫、君には世話になった。あとで礼をさせてもらうよ」
「はい!、じゃあツヴァイ様メリア様それに皆さんお邪魔しました」

 ツヴァイはキーファに帰るように促す。キーファはデシウスの笑顔と言葉に喜び自分の家に帰っていった。そしてツヴァイはデシウスの前に座り話始めた。

「お前、ロクーデの所にいただろう?」
「!?」
「それはもうみんな知ってるわよ。でもよく気づいたわね」
「はあ?それで何で仲良く話しているんだ?」

 ツヴァイは呆れている。ツヴァイはロクーデの情報で窮地に追いやられた。それなのにその仲間だったデシウスと仲良くしているのだ、ツヴァイは呆れる権利があるだろう。

「安心してください。私はロクーデの・・・奴隷でした。ですが!」
「おい!何で脱ぐんだよ」
「あなたそれは・・・」

 デシウスが上半身裸になり背中を見せる。その背中には奴隷紋の形に火傷の痕が。

「私はロクーデの奴隷だったのです。でも今はもう自由なんです。神様のおかげで」
「神様?」
「ジーニの事よ」

 デシウスの言葉にツヴァイが困惑しているとメリアが囁いた。ツヴァイは頷き納得する。ツヴァイは自分の身で体験しているのだがジーニの魔法は初級魔法が上級並になっているのだ。奴隷紋も壊してしまってもおかしくはないと無理やり納得するツヴァイであった。

「私もさっき気付いたんです。そろそろロクーデから戻れという連絡が奴隷紋を通じて来てもおかしくないのですがこなかったんです」
「そうか」
「その傷はジーニが帰ってきたら治してもらいましょうね。女の子なんだから。」

 メリアがデシウスの背中を撫でる。デシウスは恥ずかしそうに服を着なおすとメリアは笑った。

「そろそろ、帰ってくるだろう。アドスバーンの使者からアステリアはもう放棄したと言っていたからな」
「「ジーニ様はすぐに帰ってくるのですね」」

 デシウスとシリカがハモってツヴァイに聞き返す。二人は見合ったあとすぐにそっぽを向いた。

「ん、二人は恋のライバル」
「べ、別に私は、ただデシウスさんではジーニ様にはふさわしくないと」
「シリカさんは違うんですね・・・私はジーニ様の事を愛していますよ」
「え!」

 ララの言葉に動揺したシリカ。デシウスの愛している発言に目をまん丸くしてシリカが汗を垂らす。

「私はエルフ。長命の者、年齢なんて関係ないもの」
「うう、しかしまだジーニ様はあと少しで二歳・・・・・それに私はもう20歳...」
「ふふ~ん」

 デシウスは余裕を見せる。しかし実際はシリカに軍配が上がっているのは言うまでもない。ジーニは転生者である。なのでシリカがたとえ40になろうともジーニはシリカにプロポーズするだろう。それだけシリカにゾッコンラブである。

「まあまあ、二人共ここは落ち着いて紅茶などいかがですか?」
「あらありがとうセバスさん」
「ありがとうございます・・・」

 実際勝っているシリカは何故か俯き紅茶を受け取り、目にもとめられていないデシウスは何故か勝ち誇ってセバスから紅茶を受け取っていた。

「ふふ、ジーニは人気ものね」
「ああ、さすが俺の息子だ。だが浮気は許さんぞ」

 ツヴァイも一途を通した男、ジーニにもそれを通すようだ。

 その時エントランスから扉を叩く音が聞こえる。

「噂をすれば。帰ってきたか」
「迎えに行ってまいります」
「お願いね」

 セバスがエントランスへ向かう。

「お帰りなさいませ、ジーニ様」
「ダ~!」
「お客様がお待ちですよ」
「ウ?」

 僕は宙に浮きながら扉が開くのをまっていたんだけどセバスの思いがけない言葉に首を傾げた。

「おかえりなさい。ジーニ」
「お帰りなさい。ジーニ様・・・」
「おかえりなさい」
「神様~!!」

 ジーニがリビングに入るとデシウスがジーニを抱き上げる為に近づいてきた。

「ダ~!」
「なにゅを・・・・ぐふっ」

 デシウスが急に来たから僕は反射的に顔に張り付きプニプニお腹で気絶させてしまった。何でこの人がいるの?


「ジーニ様何を・・・。・・え!?・・・ジーニ様。目が」
「ダ?」

 デシウスを気絶させた、僕を見て驚いていたシリカさんが僕の目の下をなぞる。

 僕はアステリアの屋敷がなくなった事を泣いていた、なので僕の眼は腫れていたのだ。それに気づいたシリカさんが悲しい顔で僕に聞いてくる。

「アステリアで何かあったんですね・・・」
「本当か?ジーニ」
「・・あい」

 お父様が僕に聞いてくる。僕は元気なく答えた。デシウスはセバスが介抱している。

「まさか!アルス王子に何か?」
「ダ~ア~!」

 僕は首を横に振って否定した。

「あ~アステリアにアドスバーンの軍がいなかったのだろ?」
「え、そうなんですか?」

 お父様は何故かアステリアに人がいないことを知っていた。僕は驚いたが本当に知らせたいのはその事ではないので首を横にふった。

「何!それじゃないのか・・・・」

 僕はリビング全体を指さした後、手を大きく広げた。

「何だ?」
「ん、たぶん何か伝えたいんだと思う?」

 お父様とララさんが首を傾げて考えている。僕は同じジェスチャーを繰り返す。何回かした時シリカさんが何か思いついたのか手を叩いた。流石シリカさんやっぱり一番僕の事をわかってるな~。

「お屋敷に何かあったのでは」
「ダ!」

 やっと正解が出た事に僕は思わず大喜びしてしまった。悲しい事なのにね・・・。

「そうか・・・だが大丈夫だ。実はな」
「アイ?」

 ツヴァイはアルサレム城の円卓の間での話をし始めた。

 僕はその話を聞きアステリアに誰もいなかった理由を知った。

「あら?あちらの王に気に入られているのね。あなたは」
「そんな怖い顔で見るな。その事なんだがたぶん、アドスバーンがほしいのは俺じゃなくてジーニじゃないか?」
「ジーニ様が?」

 みんなの視線が僕に集まったそして言葉が続く。

「だっておかしいだろ?俺はあの双子に捕まっていたんだぞ。それなのにバーンへ連れて行かれることはなかった。それなのに今になって俺を持ち上げても何もないだろう」

 お父様は正論を話した。僕は頷く、確かに欲しいのならば双子にすぐお父様を護送させただろう。というよりもツヴァイお父様の足を使えない物にしている時点でこの要求は変だ。たぶんお父様の推測は正解かもしれない。だってアステリアの人達の事も調べているみたいだもの。

「それでアステリアは一つの街から国になるのですか?」
「ああ。メリア、お前はアステリアの王妃になるんだ」
「は、はあ」
「嬉しくないのか?」

 お父様の言葉にお母様は現実感を得られずに苦慮している。まさか自分が一国の王妃になるなんて思ってもいなかったからだ。

「ジーニ、お前はアステリアの王子だぞ!」
「ア~イ!!」

 お父様はシリカさんの膝の上にいた僕を抱き上げて高い高いをした。お父様はそのままメリーゴーランドのように廻って僕を抱きよせた。

 僕は王子になるの?。メリアお母様と一緒に現実味のない状況にきょとん顔である。

「はっ!ジーニ様は!」

 セバスに介抱されてデシウスが起きた。その姿を見てみんなが笑うとデシウスはきょとん顔になった。それから僕はメリアお母様のお願いでデシウスの背中の奴隷紋の火傷痕を回復させるとデシウスは涙を流した。そして僕を力強く抱きしめてきた。お胸が当たって気持ちいいけどシリアスな場面なのでニヘラ顔はしなかったよ!偉いでしょ?。

 まさか僕の[キュア]で奴隷の呪いも消せるなんて・・・・。これは差別をなくす手段の一つになりうる。僕は自信を漲らせてララさんの言葉を思い出す。『諦めている限りそれは叶わない』諦めなければいつか叶うんだ、僕は絶対に諦めないぞ。

 まずはアルサレムだ。
しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

異世界での異生活

なにがし
ファンタジー
役職定年を迎えた男が事故に巻き込まれケガをする。病院に運ばれ治療をしていたはずなのに、なぜか異世界に。しかも、女性の衣服を身に着け、宿屋の一室に。最低な異世界転移を迎えた男が、異世界で生きるために頑張る物語です。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...