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第三章 建国

第十七話 水洗化計画

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「アウ、思った通り。お父様...」

 ガクッと肩を落とす僕。アステリアに着くと思った通り同じ建物が列を成していた。確かに西方面に背を向けるようにお城を作る予定だったので東門からまっすぐに商店や家を建てるのだけど全部家ってダメでしょ道もちゃんと整備しておけばよかった、ちゃんと並んでない。

「ジーニちゃん大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫だよ」

 僕が肩を落としているとフローラちゃんが僕を持ち上げて心配してくれた。僕らは気を取り直してコクエンの様子を見に向かった。

「ワンワン!!」

 コクエンは僕たちの姿を見るととても嬉しそうに吠えてこちらに駆けてきた。大きさは象以上になってしまっているがとても従順である。

「う~ん、元気にしてた~?」
「ワン」

 フローラちゃんはコクエンを撫でまわす。全身を撫でまわし終わるとコクエンの背に乗った。

「じゃ、ちょっと遊んでくるね~」
「え?ああ。あんまり遠くに行っちゃだめだよ」
「ワンワン!」

 フローラちゃんはそう言ってコクエンと一緒に山の方へと走っていった。ここらへんじゃフローラちゃんが楽しく戦闘できる相手はいないと思うけど大丈夫かな?。

 僕はそう思ったけど気を取り直してコクエンの仕事を見て行く。

「いい仕事してますね~。いい光沢感」

 僕は少し浮いて堀を眺めていく。アステリアを囲う城壁に沿って堀が幅10メートル覆う、城門は西門以外に3か所、設置されている。何で西門に門が無いか、それは他の同盟国の三か国が南にアルサレム、東にシュミット、北にアドスバーンがある。残念ながら西門は深淵の森があるだけで人が来る予定はないのだ。まあいい狩場であるが普通の人はいかない。

 堀はアステリアを囲うように作っているわけだが。西側はそういう事もあって堀を少し深く作っている。もちろん城壁も高く作った。西側からは城の背が見えるようになるわけなので防御力を上げておく必要があるよね。

 東側にはプールを作る予定なんだけど...うふふふ。楽しみだな~。ではではやっていきましょうか。

「折角コクエンが堀を固めてくれたからこれは維持してっと」

 僕は東門から出てすぐに扇状に登り坂を作って見張りが出来そうな丘を作る。その丘からは[プール堀]が見渡せて更に飛び込み台のような物を設置。

「全体的に水深上げないとな~」

 東側はプールにする予定なので飛び込みプールと普通のプールの区画を設ける。攻めてこられてきた時には堀として活用できるので両得だね。

 東門はこのプールによって攻めにくくなる。見張りの丘からは堀が見渡せる。更にその前方にプールが50m横に二個並ぶわけで攻めにくいのだ。堀から水を入れれるように水門を接続。

 西から川を接続するわけだから北と南から堀を伝って、水が流れてくる。ってことは東に水を逃がす水路が必要だな~。これは下水を整備しないとダメか。

 よ~し。街全部を水洗にしてやる!。

「っと下水やる前にアステリアの地盤を固めないとね」

 僕はそう思ってアステリアの中に入っていった。そういえばまだ誰にも帰ってきた挨拶してなかった。

「ジーニ!帰ってたのか?」

 ツヴァイお父様が僕を見つけて声をかけてきた。僕はため息をつく。

「も~、お父様何ですかあれは?」

「お?何ってガウさん達も来たから家が足りなかっただろ?外でいいと言われたがそんなわけにもいかないだろ」

「あ~、そういう事だったんですね。ちょっと同じ家ばかりでちょっと引いてしまってました」

「....そりゃそうさ。みんなの事を思って速度重視でやったのさ。同じ物なら一回作ればみんなコツを掴むだろ。今ならみんな作り方わかるぞ」

 最初の間が気になるけどお父様はとても自慢げに胸を張っている。まあ同じ家でも織り交ぜたり色を変えたりすれば大丈夫かな。

「それよりもジーニすぐにシリカに帰ってきた事を伝えてやれよ」
「え?どうしたの?確かメールは送ったはずだけど」
「ははは、あれで大丈夫ってお前...我が息子ながら」

 ツヴァイお父様は頭を抱えて苦笑いをしている。何かあったのかなと僕は首を傾げた。

「ん、ジーニ様お帰りなさい」

 ララさんが屋敷の方から歩いてきた。気のせいかララさんは笑みをうかべているように見える。

「ララさん何かいい事あったの?」
「...今からあるから」

 え?今からいい事があるの?。何だろう誰かの誕生日だったっけ?。

 僕は首を傾げながらそう考えているとララさんの後ろにシリカさんが見えて僕はすぐにシリカさんへ近づいた。

「シリカさ~ん....!?」
「ジーニ様...」

 シリカさんが泣いている!?。誰だ!誰が泣かせた。まさかツヴァイお父様!?。いや違うみたいだ。何だか俯いて鼻を抑えて笑ってる。ララさんも見ると顔を背けて小刻みに震えている。あれは笑っているのかな?。どういうこと?。

「ジーニ様酷いです」
「ええ!?」

 僕のせいで泣いてるのか。シュミットに泊まった事を怒ってるのかな?。

「デシウスと添い寝されたんですよね」
「..シリカさん、それは」
「されたんですよね」
「...はい」

 凄い剣幕で僕に肉迫するシリカさん。僕は後ずさる。

「やっぱり一緒に寝たんですね...」 

 何故か僕は浮気した男のように追い込まれる。

「シリカさん、仕方なかったんだよ。僕は拒否しようと思ったんだよだけど」
「....」

 僕の苦し紛れの言い訳が続く。シリカさんは無言で聞いている。

「デシウスがシュミットに居続けるには一緒に寝てあげないとダメだったんだよ」
「...では私もそうしてください」
「え?」

 シリカさんは僕の背丈までしゃがみ僕の両手を握って懇願した。僕は顔が近づいた事でドキッとしたんだけど怯まずにシリカさんの目を見つめた。

「シリカさん。僕はシリカさんが好きです。ごめんなさい何だかシリカさんに言わせちゃいましたね。改めて僕から、...今日一緒に寝てください」
「!?。はい!」

 僕は恥ずかしくなった。好きな人に一緒に寝て何て言わせてしまった事に。

 僕は改めてシリカさんにお願いをした。するとシリカさんの顔は輝き僕を抱きしめた。

「...ん、やっぱり面白かった」
「お?ララはいいのか?」
「ん、ツヴァイ様。それセクハラ?」
「・・・」

 ララはツヴァイにおちょくられて少し不機嫌になりどこからか出した縄をバシンと伸ばした。ツヴァイは無言で離れていった。



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