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第一章 ゲームの世界へ

第14話 レッド

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「ルドマンさん、おはようございます」

「おう、今日も行くんだろ。準備出来てるぜ。ってその騎士様は誰だ?」

 レッドと合流して次の日。早速ルドマンさんと合流してレッドを紹介した。

「ほ~、なるほど、王都でもそんなことになってるのか。それは一大事だな」

「はい。魔物の群れの進行が始まってしまったら王都は壊滅。しいては人類の敗北となってしまいます」

 深刻な話にルドマンさんが考え込む。レッドは泣きそうになるほどだな。

「話しは分かった。すぐにでもCランク以上の武具を作れるようになってやるぞ」

「では! Eランク以上の武具の製作方法が分かっているのですか?」

 ルドマンさんが胸を叩いて声をあげる。レッドは本当に嬉しそうに聞いてくる。

「おうよ。ランカ伝えていいよな?」

「はい。別に隠していたわけじゃないですし」

 僕もこの世界に来て推測で動いているだけだからね。

「ランカさんがこのことに気づいたのですか?」

「あ、はい。僕は生産職もかじっていて、戦闘職のレベルが上がって作ってみたら上がってたんですよ」

 レッドさんに説明したら疑問を投げかけてきた。NPCだったみんながPC、現実の人になってしまったって言うだけなんだけどね。本当は。

「なるほど……。通りで鍛冶職人がみんなEランクしか作れなくなるわけだ。みな街から出ずに日々精進していたから……」

「儂もそうじゃよ。しかし、昔はSランクの装備を作っていたんじゃがな……。不思議じゃよ」

 レッドとルドマンさんがため息をつく。

「ですがそれを聞いて安心しました。人を育てればいいというわけですものね」

「そうですよ。今僕はルドマンさんと一緒に狩りに出てます。王都でもそうすれば」

「早速知らせにギルドに行きますね。ではありがとうございました」

 レッドさんはお礼を言って冒険者ギルドの方へ歩いていく。ギルドで連絡が出来るのか? 手紙か何かを送るのかな。

「じゃあ、僕らは鉱山に行きましょう。鉄の鉱石の納品だからついでに僕らももらって鍛冶もやろう」

「「お~!」」

 王都も大変という話を聞いてアスノ君もルドマンさんもやる気に満ちてる。間違いなく僕らは最先端にいるだろうから頑張らないとな。

「魔物はやっぱりゴブリンがいるのか」

 アドラーさん達と来た鉱山にやってきた。鉱山の入口を守るようにゴブリンが左右に立っている。

「行くよアスノ君、ルドマンさん」

「「はい」おうよ」

 声と共にゴブリン達に切り込む。武器のおかげもあって一瞬で絶命させる。

「ゴブリンってこんなに弱いんだな」

「師匠のおかげですよルドマンさん」

 ルドマンさんが首を傾げて話すとアスノ君が褒めてくる。褒められ慣れていないからほんと照れるな。

「相変わらずこん棒と木の盾の戦利品か」

 ゴブリンの半透明な戦利品とみんなにも見える戦利品はいらないもの。ないよりはましだから強化はしておくけど、Eランクのこん棒と木の盾だから、強化してもたかが知れてるな。それでも錬金術師レベルは上がるからいいんだけど。

「僕が先行します。見ててください師匠!」

 アスノ君が張り切って声をあげると鉱山に入って行く。ルドマンさんと顔を見合って笑うと後ろから人の気配がした。振り返ると見知った人が。

「私もご一緒していいかな?」

「レッドさん? いいですけど」

 冒険者ギルドに行っていたレッドさんだ。首を傾げつつも断る理由もないので了承するとニッコリと微笑む。

「師匠~! ルドマンさ~ん! 早く~。ってゴブリン!」

「おっと、今行く!」

 レッドに疑問を抱きつつもアスノ君の声を聞いて鉱山に入って行く。

「君達の武器はCランクか」

「あ、はい」

 すぐに戦えるように剣を抜いてアスノ君の元へ駆ける。その剣を見てレッドが並走しながら聞いてきた。答えると興味深く剣を見つめる。

「強化もされてる。興味深い」

 流石は騎士団団長と言ったところか、武具を見る目を持ってるみたいだ。武具の強化を見れるのは持ち主だけのはずなのに見抜いている。
 ゲームの世界では盗難防止の仕様だけど、奪ったら見れるから意味がないとか言われていたな。

「師匠!」

「アスノ君お待たせ!」

 ゴブリンランサーを仕留めるアスノ君に声をあげる。オスターを助けた時ほどの量ではないけど、ゴブリンが発生してるみたいだな。ゲームの設定では、マナが濃いと魔物が大量に発生すると言っていたけど、この鉱山はマナが偏っているのかも。

「この間、ゴブリンをあんなに狩ったのに。もうこんなに湧いてる」

「……」

 僕が呟くとレッドが考え込む。少しすると彼女が口を開いた。

「ゴブリンの話はギルドで聞いたよ。君達とアドラーが大活躍したらしいね」

「ほとんどアドラーさんですよ。シャーマンを100体以上倒してましたから」

 褒めてくれるレッドに照れながら話す。彼女は僕を見て涙を瞳に溜める。なんで涙?

「え?」

「!? な、何でもない。それよりも魔物の湧く速度が異常だ。調査をする付き合ってくれないか?」

「あ、はい。どうせレベル上げに来たので丁度いいですし」

 涙に驚いて声をもらすと彼女はそれを隠すように拭いながら提案してくる。ついでに町の安全の確保が出来るならしておいた方がいいよな。

「フィールドの魔物を放置していると町へと進行を始めてしまう。王都の周囲のフィールドは魔物の間引きが日々されている。この鉱山の魔物の湧き具合はダンジョン化が懸念される」

 ダンジョン化か、ってアドラーさんがボスを倒したから宝箱が出てたはずだけどな。

「それはもう倒したはずですよ」

「ああ、聞いているよ。シャーマン100とはそれだろ? その後にすぐにダンジョン化が始まったんだろう」

 再度ダンジョンになり始めてるってことか。それって異常なんじゃ?

「王都の周りでもこんなに早いダンジョン化は聞いたことがない。鉱山の話を聞いて心配になって見に来たら君たちが居た。ということ」

「は、はぁ?」

 まるで言い訳のように話すレッド。

「……。やっぱり似てる」

「え? 似てる?」

「いや、何でもない。それよりも魔物の気配だ。この先だな」

 僕の顔を静かに見つめるレッド。綺麗な顔で覗いてくるものだから顔が熱くなるのを感じてしまう。彼女は誤魔化すように前方の大きな扉を見つめる。この間、アドラーさんが逃げ込んだボス部屋の扉だ。
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