ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 成長

第4話 お姫様?

「……外」

 クリスタルに触れて外へと心の中で囁くと一瞬で風景が変わる。
 村の近くの草原。風がお帰りと囁いてくれてるみたい。とても晴れやかな気分にさせてくれる。

『だ、ダンジョンが消えた!?』

 そこへ聞きたくもない声が聞こえてくる。イブリムおじさんの声だ。村の方からしてくる。
 どうやら、ダンジョンはクリアすると消えるみたい。私のせいで消えちゃったんだ……。

「いい気味。ご馳走様でした」

 私はお辞儀をしてイブリムおじさんがいるであろう村にさよならを告げる。
 私はここから去る。私を生贄にささげたのが悪い。運がなかったねおじさん。

「思えばいいところもあったイブリムさん。……いや、なかったな~」

 私は転生して赤ん坊の頃から前世の記憶を持っていた。1歳の中頃まで両親に育てられて、その頃に両親がダンジョンから帰ってこなかった。
 それから3年程、イブリムおじさんにお世話になって暮らしていたけれど。

『この馬鹿野郎! 誰のおかげで生きていられると思ってんだ! 死ぬまで働け!』

 2歳の子供だった私にそんな声を上げるおじさん。いい人のわけがない。でも、記憶を持っていた私は汗水働いた。体が動く限り頑張った。
 だけど彼はいい人にはなってくれなかった。
 私をダンジョンに捧げてきたのだから。

「ふふ、嬉しい。この世界に転生して初めてこんな気持ちになったな~」

 街道を村から離れるように歩きながら呟く。思わず嬉し涙が零れる。
 地獄のようなダンジョンの、しかも狼のお腹の中で暮らしていたんだから嬉し涙も零れるよね。

「さあ、ここからが私の異世界転生の始まり。もう! 利用されないんだから!」

 ガッツポーズをして走り出す。ステータスが高いからかなり速く走れる。これなら町にすぐにつくはず。

「お金がないからまずは冒険者ギルドに登録かな? 道中で何か狩れればそれを狩って」

 ブツブツと独り言を呟きながら風のように駆ける。
 インベントリもあるからいくらでもアイテムをしまえる。いくらでも狩りをしても大丈夫ってこと。
 
「お腹いっぱい美味しいものたべよ~」

 日本にいたころもグルメを求めて地方に行ったな~。この世界でもそんなことが出来ればいいな~。

「あれ? 馬車が何かに襲われてる?」

 妄想しながら走っていると前方の街道で立ち止まる馬車が見える。
 人が人を襲ってる? 盗賊かな?
 助けた方がいいよね……。でも、目立つのは。

「姫様! 馬車から降りてお逃げください!」

「いやよ! レナリスも一緒じゃないといや!」

「そんな我が儘を言っては! くっ!」

「心配すんな。全員殺して同じ場所に埋めてやるよ」

 お姫様と騎士を邪魔する盗賊……。これを見過ごせるわけがない。助ける力があるんだから!

「その汚い手を離しなさい!」

 騎士の手を掴む盗賊にドロップキック。
 凄い速度でかけていたので盗賊の首が折れて嫌な感触が足に伝わってくる。人を殺しちゃったみたい。
 だけど、今更この程度のグロさは許容できる。だって、豚人間の頭とか腕とか、それ以上の物が狼のお腹の中に入ってきたんだから。

「て、てめえ!」

 剣を振りかざし、迷わず振り下ろしてくる盗賊。
 私はダモクレスをインベントリから取り出して受け止める。受け止めたと思ったらダモクレスが盗賊の剣を切ってしまった。
 盗賊は前傾姿勢に倒れてきたのでそのままダモクレスに切られる。

「ば、バケモンだ! て、撤退だ!」

 盗賊達は私に睨まれると逃げ始める。私はああいった人が大嫌いだ。イブリムおじさんみたいでいや。このまま逃がすのはダメ。

「【我がマナを糧に敵を穿て。【ファイアアロー】【ファイアアロー】【ファイアアロー】【ファイアアロー】】」

 盗賊に向かって炎の矢を放つ。動くものがなくなるまで放つと綺麗になった。これで少し平和になった。
 少し残酷だったかな? でも、人を襲うなんて人のやることじゃない。獣なら狩ってしまった方がいいよね。

「……き、君は」

 お姫様を助けようとしていた騎士が私に話しかけてくる。
 フルフェイスの兜をかぶっているから顔は分からないけど、震えてるのがわかる。私に恐怖を感じちゃってるみたい。
 少しショックだな。折角助けてあげたのに。

「凄い! 凄いわ! あなた!」

「わっ!?」

 ショックを感じて俯いているとお姫様が抱き着いてくる。輝く瞳で私を見つめてくる彼女は黄色の髪を腰まで伸ばしている少女。お姫様って感じでとても可愛らしい。

「姫様! 危険です。その者は」

「レナリス! 助けてもらった人に失礼です。それよりも怪我人と死者を弔ってなさい!」

「で、ですが……。わかりました」

 レナリスと言われて怒られる騎士さんはしょんぼりしながら護衛の人達を見に行った。
 無傷なのは彼女だけみたいね。

「私はメリナ! オルブス・メイノ・メリナ。この先の【王都ジャーメイノ】の第一王女。本当に助かりました。ありがとうございます!」

「第一王女……。わ、私はただのファムと申します。じゃあ、これで……。あの離してもらってもいいですか?」

 自己紹介を始めるメリナ様。私も名乗って離れようとすると逃がすまいと抱きしめてくる。

「私のお友達になって!」

 キラキラした瞳でそう言ってくるメリナ様。
 これは拒否権がないのでは? 彼女の後ろから殺気みたいな視線を感じます。レナリスさんはいちいち兜を脱いで睨んできてる。
 メリナ様もそうだけど、レナリスさんも綺麗だな~。自然な金色の髪でサラサラ。羨ましい。
 私は赤毛で前世とあまり変わらない。折角の中世ヨーロッパの時代背景なんだから金髪が良かった。あと青い瞳もあこがれる。

「ねえ! 聞いてる?」

「あ」

 色々と考え込んでしまうとメリナ様が顔を覗いてくる。上目遣いが際立つな~。まつげは長いし、お人形さんみたい。

「えっと友達ならいいですけど……」

「ほんと! やった~! じゃあ、馬車に乗って!」

「姫様!」

 友達になると彼女はすぐに手を引っ張って馬車に乗せようとしてくる。だけど、レナリスさんが止めてくれる。

「王様に会うのです。見知らぬものを連れてきたらお咎めがあるかもしれません」

「そうなの? お父様なら許すと思うけど?」

「ダメです! ファムと言ったな。お前には助けられた。これは褒美だ取っておきなさい。それと服だ。自分の服装は分かってるか?」

 メリナ様を言い聞かせるレナリスさん。私に金貨を1枚手渡して馬車と一緒に街道を走り出す。
 思わぬ収入が得られた。金貨1枚か。あと、服装も手に入った。とても綺麗な服。メリナ様の替えの服かな? 前の服は服とは言えない物になっていたからな~。子供だから大丈夫だと思って歩いてきちゃったな~。

「えっと、村では1キットが銅貨1枚だったっけ」

 お金の単位は【キット】と呼んでる。1キット銅貨1枚から始まって、100キットで銀貨に変わる。
 銀貨から金貨に変わって、白銀貨が最後。銅貨1枚でリンゴが一つ買えるくらいだから1キット百円くらいの価値があるのかな?
 ってことはこの金貨で100万円の価値? ……それをポンと渡せる人達。私とは住む世界が違うな。

「さあ、私も町に行こ。あ、方向一緒だから追い越さないといけないんだな~。まあいいか」

 私はそう言って馬車を一瞬で追い越す。メリナ様が手を振ってきたので答えながら追い越した。
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