ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第2章 国

第78話 生き返る

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 レイスロードが現れるとケビンだった魔物からの攻撃が激しくなる。上下左右から矢が飛んでくる。地中から飛び出してくる矢、こんなもの避けれるはずがない。

「凄い! 当たっているのに死なないとは」

 レイスロードが感嘆の声を上げる。それに答える間もなく矢が飛んでくる。

「しかし、攻撃をしなくていいんですか? ケビンに時間を使っている暇はないと思いますけど?」

「はぁ? 何を言っているの? ……まさか!?」

「そのまさかですよ。フーラ、彼女もまた魔物へと変貌する。私の血を多く注ぎましたからね」

 レイスロードは不敵に笑い答える。
 じゃあ、今頃フーラとみんなが戦ってる? ランスさんも見ていてくれたから大丈夫だと思うけど……急がないと。

「ケビン! ごめん!」

 私は謝りながらケビンに突撃する。
 時間がない、彼のことを考えている場合じゃない。
 まっすぐに近づいてくる私に、ケビンは容赦ない複数の矢を放ってくる。変化を加えて突撃を妨げるような矢を複数、それでも私は一切速度を緩めない。ダモクレスで防ぎ、防ぎきれなかった矢は当たるけど、痛くない。不屈と痛み耐性はあるからね。

「はぁ!」

 矢をものともせずケビンへ肉迫する。そして、横一線。ダモクレスが彼を上下に切り分ける。避けようとしていたけど、早すぎで避けきれなかったみたい。

「次はあなたよ」

 私はケビンに背を向けてレイスロードへと声を放つ。彼は顔を青くさせて顔を引きつらせる。

「あなたは本当に強い。そして、国を壊す者が手にする剣を持っている。魔剣ダモクレス、シャイン教会では聖剣ダモクレスでしたか」

「知っているの?」

「知っていますよ。それはダンジョンくらいでしか出ない剣。そう、ダンジョンを制覇した時に出る程のお宝」

 レイスロードはダモクレスについて知っている様子。ダンジョン制覇者は私だけのはず。なんで、この人がそんなことを知っているの?

「まさか、ダンジョン制覇者が現れるとは」

「……」

「その無言が答えですね。オルブス王国のダンジョンはあなたに制覇された」

 レイスロードの呟きに無言でいると彼はニヤリと口角を上げて見せてくる。
 まるですべてを理解したように頷くと私の背後へと視線を流す。

「!? この!? まだ生きているの!?」

 レイスロードの視線で気が付いて矢を躱す。
 ケビンが上半身と下半身それぞれで動き出す。少し小さくなって2体になっていく。

「ファム! 1体は私が!」

「レナリスさん!」

 少し遅れてやってきたレナリスさんが1体に切りかかる。彼女は息を切らしてる。急いで走ってきたんだろう。

「ほぉ~、オルブス王国騎士団団長のレナリスか。強き者には強きものの助けがある。羨ましいものですね。私は弱きものしかついてこなかった。強くしてやらなければいけなくなったというのに」

 レイスロードは妬みの視線を私達に向けてくる。
 勝手なことを言ってる。強くしてもらえばいいってものじゃない。魔物なんかにされて嬉しい人なんていない。この人は生かして置いたら犠牲者が増える。

「ケビン。あなたはすぐに生き返らせてあげる。だから静かに眠ってて!」

 レイスロードを睨みつけてケビンへと声を上げる。
 私の声を聞いてケビンは頷いたように見える。彼は魔物へと変わってしまったけど、心は残っているのかも。

「もう終わらせる。【剣気解放】」

『え!?』

 剣気を解放するとレイスロードとレナリスさんが驚きの声を上げる。ただでさえ大きなステータスが更に倍になり、衝撃波が辺りを襲う。レナリスさんは同じ剣気を纏っていたから大丈夫だけど、ケビンとレイスロードは吹き飛ばされて一瞬の隙を生んだ。

「隙だらけだよ」

「!?」

 横たわるレイスロード、彼は立ち上がろうと四つん這いになっていた。私は声と共に剣を振り下ろす。
 無残に地に伏したレイスロード。彼は動かなくなった。

「ゴァァァァァ~~~~」

「ケビン!」

 レイスロードの死を感じ取ったケビンが雄たけびを上げる。
 みるみる姿が人に戻っていく。でも、その姿はとても痛々しい。

「魔物が人に……」

 レナリスさんはその姿を見て衝撃を受ける。
 悲しい表情になると祈りをささげる。

「ふぁ、ファム。そこにいるのか?」

「うん……。いるよ。待っててすぐに治すから」

 ケビンが見えなくなった目で声を上げる。何かに触れようと手を横に流していく。とても痛々しい、すぐに治してあげないと。

「体が……。【光の精霊シャインよ。我がマナを糧に我が友の怪我を治したまえ【ハイヒール】】」

 体が崩れていくケビンに回復魔法を唱える。少しだけ回復するけど、元には戻らない。

「回復してくれようとしたのか? ありがとうファム。でも、無理みたいだ。わかるんだよ。死が来てる」

「ケビン……」

 体の崩れは収まることはない。回復魔法で少し遅らせただけだった。

「なんかごめんな。妹の代わりにしたり、いざこざに巻き込んだり」

「ううん……」

「看取らせることまでさせちまうなんて。俺ってほんと……ばっかだな~」

 手を握ってあげると無邪気に笑って見せてくるケビン。
 看取るってこんなに悲しいことなんだ。金一郎さんの気持ちが今わかった。

「まだ諦めないで……」

「シャーリー? シャイン」

 泣きそうになっているとシャインが背中に触れてくる。いつの間に現れたの、と聞く前に光が私に注がれる。

「【光の大精霊シャインよ。我がマナに答えて力を授けよ。そして、我が友の死を退けよ【リザレクション】】」

 シャインの触れる背中から言葉が入ってくる。自然に口から詠唱が唱えられて魔法を放つ。
 天から光の柱が舞い降りて私達を包んでいく。
 柱がケビンだけを包み始めると天から球が降りてくる。ケビンの中に入ると崩れていた体がゆっくりと治っていく。

「これで大丈夫。時間はかかるけど、死なないわ」

「……ありがとうシャイン」

「お礼なんていいわ。それよりも帰りましょ。みんなが待ってる」

 シャインはニッコリと微笑んで空へと飛んでいく。大精霊というだけあって、空も飛べるんだ。それで飛んできてくれたんだな~。

「……私、何もしてないような」

 レナリスさんが何か呟いてる。聞かなかったことにしてあげよう。
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