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第2章 国
第80話 穏やかな……
「兄貴!」
「フーラ!」
レナリスさん達が帰ってきた。日が落ちて暗くなってる。宿屋は1階の部分だけになっちゃった。屋根はなくなっちゃったから夜空が綺麗。
ケビンを担いできてくれたみたい。二人は再会を喜んで抱き合ってる。
「話は聞いたよ兄貴……。私の為に頑張ってくれたんだね」
「ああ。でも最初からレイスロード様。いや、レイスロードに操られていたんだ。俺たちの村を襲ったのもレイドレッド帝国の奴らだった……」
フーラの声に答えるケビン。
悔しそうに話す彼にフーラが寄り添う。
「とにかくだ! 兄弟が無事にそろった。食事にしよう」
「そうそう。過去なんて忘れて今を楽しもう」
二人を見かねてネネさんとトトさんが声を上げる。夜空を見ながらの夕食。たまにはこういうのもいいかも。
「ネネさん、トトさん。明日にでも宿屋の再建を始めます。安心してください」
「「ありがとうございますブルース様」」
食卓を囲んでみんなで食事。王族、平民、孤児。みんな関係なく同じ料理を食していく。何度目かの光景だけど、この光景はとても綺麗。
「ファム。改めてありがとう」
「ありがとう」
食事に手を付けているとケビンとフーラがお礼を言ってくる。二人ともいい笑顔。もう会うことができないと思っていた兄弟が再会。そんな夢物語が目の前で見れた。ほんとに綺麗。
「一生かけてでも恩を返すよ」
「私も一緒に」
二人はそう言って私に跪いてくる。
でも、私は首を横に振った。
「恩なんて感じなくていいの。私がただやりたかっただけだから」
そう言って私は二人に白いパンを手渡す。ただただ一緒に食事を楽しみたい。今はただそれだけ。
「ん、ファム様は偉大」
「ほんとにな」
白いパンを受け取ってくれたケビン達にレイブンとラッドが笑顔を向ける。レイブンは嬉しそうに私に抱き着いてくる。なんだか甘えん坊になっちゃったな。
「レイブンお姉ちゃんばっかりずるい~」
「私達もファムお姉ちゃんをぎゅってするの~」
レイブンを真似して双子も抱き着いてくる。嬉しいんだけど、苦しいな~。
「ファム姉さん。僕も回復魔法使えるようになれるかな?」
「ファムお姉ちゃん。剣のことなんだけど~」
抱き着かれているとユマ君とネーナちゃんが聞いてくる。更にドンタ君とドロップ君まで声をかけてくる。
「ははは、みんなファムが好きだね~」
「ネネ。お前もだろ。俺も大好きだぞ~。ファム!」
ネネさんとトトさんも一緒になって声をかけてくれる。夜空の下、空をも照らすほどの光を私の家族は与えてくれる。
「……はぁ~」
みんなとの食事を終えて、私達は食堂で寝ることにした。といっても屋根はないので夜空の天幕の下。ため息が出る程の綺麗な夜空。科学の進んだ世界じゃ見ることも叶わない。
「寒くないファム?」
「寒くないよメリナ」
私の布団にはメリナが入ってきた。ブルース様達は帰ったけど、レナリスさんとメリナは残った。
ラッド達のテントを思い出す。人肌のなんとも言えない暖かさ。とってもぬくい。
「ファムと会えてうれしい。もっともっとファム達と一緒に……。ス~ス~」
「メリナ、寝ちゃったの? ふふ、可愛いな~」
さっきまで話をしていたのに寝息を立ててる。とても可愛らしい寝顔。両親でもないのに見れていいのかな? なんだかブルース様とカテジナ様に悪いな~。
「ファム。起きてるか?」
メリナの寝顔を楽しんでいるとラッドが声をかけてくる。頷いて見せると照れくさそうに頬を掻いて手を差し出す。
彼の手を取って立ち上がるとそのままダンジョンの中へと案内される。
「どうしたのラッド?」
「いや、その……」
ダンジョンの草原の中で彼は手に花を持ってモジモジとしてる。いつものラッドらしくない。どうしたんだろう?
「俺さ、ファムのことが好きで」
「え?」
「抑えられないんだ。これを受け取って欲しい」
ラッドはそう言って花を手渡してくる。私はそれを受け取る。
「私も好きだよラッド」
素直な気持ちを彼にかける。だけど、私は成長できない体。ラッドはそれを聞いたらどう思うだろう。
とても怖い、でも、彼には知ってほしい……。
「じゃあ!」
「ラッド聞いて。私の体はおかしいの。成長できない体になってる。それでも好きでいてくれる?」
「え?」
喜ぶ彼に答える。一瞬考える彼は驚きの声を上げる。
私は怖くて目を瞑ってしまう。いつまでも彼の声が聞こえない。怖い、優しかった彼が、私を好きになってくれた彼に拒絶される。そんなこと起きてほしくない。
「……成長できないってそのまま生きれるってことか?」
悠久の時と思えるような時間が過ぎてラッドが声を上げる。
私は目を瞑ったまま頷いて答えると両手で顔を覆う。怖くて怖くて、涙が出てくる。
「ファム。そんなの関係ないよ。お前は俺の物になるんだから」
「……ラッド」
顔を覆っていた手を取ってくれるラッド。涙を拭ってくれる彼の目はいつもの目じゃなかった。まるで獲物を狩る時のような。そんな目……。
「これでお前は俺の物」
ラッドが顔を近づけてくる。
違う……。いつものラッドとは違う。今の彼は何かが違う。私のすべてがそう告げているのに体が動かない。
拒絶されなかったのが嬉しかったのか。それとも、受け入れてくれた彼にいてほしいと思ってしまったのか。私にもわからない。ただただ涙が出る……。
「フーラ!」
レナリスさん達が帰ってきた。日が落ちて暗くなってる。宿屋は1階の部分だけになっちゃった。屋根はなくなっちゃったから夜空が綺麗。
ケビンを担いできてくれたみたい。二人は再会を喜んで抱き合ってる。
「話は聞いたよ兄貴……。私の為に頑張ってくれたんだね」
「ああ。でも最初からレイスロード様。いや、レイスロードに操られていたんだ。俺たちの村を襲ったのもレイドレッド帝国の奴らだった……」
フーラの声に答えるケビン。
悔しそうに話す彼にフーラが寄り添う。
「とにかくだ! 兄弟が無事にそろった。食事にしよう」
「そうそう。過去なんて忘れて今を楽しもう」
二人を見かねてネネさんとトトさんが声を上げる。夜空を見ながらの夕食。たまにはこういうのもいいかも。
「ネネさん、トトさん。明日にでも宿屋の再建を始めます。安心してください」
「「ありがとうございますブルース様」」
食卓を囲んでみんなで食事。王族、平民、孤児。みんな関係なく同じ料理を食していく。何度目かの光景だけど、この光景はとても綺麗。
「ファム。改めてありがとう」
「ありがとう」
食事に手を付けているとケビンとフーラがお礼を言ってくる。二人ともいい笑顔。もう会うことができないと思っていた兄弟が再会。そんな夢物語が目の前で見れた。ほんとに綺麗。
「一生かけてでも恩を返すよ」
「私も一緒に」
二人はそう言って私に跪いてくる。
でも、私は首を横に振った。
「恩なんて感じなくていいの。私がただやりたかっただけだから」
そう言って私は二人に白いパンを手渡す。ただただ一緒に食事を楽しみたい。今はただそれだけ。
「ん、ファム様は偉大」
「ほんとにな」
白いパンを受け取ってくれたケビン達にレイブンとラッドが笑顔を向ける。レイブンは嬉しそうに私に抱き着いてくる。なんだか甘えん坊になっちゃったな。
「レイブンお姉ちゃんばっかりずるい~」
「私達もファムお姉ちゃんをぎゅってするの~」
レイブンを真似して双子も抱き着いてくる。嬉しいんだけど、苦しいな~。
「ファム姉さん。僕も回復魔法使えるようになれるかな?」
「ファムお姉ちゃん。剣のことなんだけど~」
抱き着かれているとユマ君とネーナちゃんが聞いてくる。更にドンタ君とドロップ君まで声をかけてくる。
「ははは、みんなファムが好きだね~」
「ネネ。お前もだろ。俺も大好きだぞ~。ファム!」
ネネさんとトトさんも一緒になって声をかけてくれる。夜空の下、空をも照らすほどの光を私の家族は与えてくれる。
「……はぁ~」
みんなとの食事を終えて、私達は食堂で寝ることにした。といっても屋根はないので夜空の天幕の下。ため息が出る程の綺麗な夜空。科学の進んだ世界じゃ見ることも叶わない。
「寒くないファム?」
「寒くないよメリナ」
私の布団にはメリナが入ってきた。ブルース様達は帰ったけど、レナリスさんとメリナは残った。
ラッド達のテントを思い出す。人肌のなんとも言えない暖かさ。とってもぬくい。
「ファムと会えてうれしい。もっともっとファム達と一緒に……。ス~ス~」
「メリナ、寝ちゃったの? ふふ、可愛いな~」
さっきまで話をしていたのに寝息を立ててる。とても可愛らしい寝顔。両親でもないのに見れていいのかな? なんだかブルース様とカテジナ様に悪いな~。
「ファム。起きてるか?」
メリナの寝顔を楽しんでいるとラッドが声をかけてくる。頷いて見せると照れくさそうに頬を掻いて手を差し出す。
彼の手を取って立ち上がるとそのままダンジョンの中へと案内される。
「どうしたのラッド?」
「いや、その……」
ダンジョンの草原の中で彼は手に花を持ってモジモジとしてる。いつものラッドらしくない。どうしたんだろう?
「俺さ、ファムのことが好きで」
「え?」
「抑えられないんだ。これを受け取って欲しい」
ラッドはそう言って花を手渡してくる。私はそれを受け取る。
「私も好きだよラッド」
素直な気持ちを彼にかける。だけど、私は成長できない体。ラッドはそれを聞いたらどう思うだろう。
とても怖い、でも、彼には知ってほしい……。
「じゃあ!」
「ラッド聞いて。私の体はおかしいの。成長できない体になってる。それでも好きでいてくれる?」
「え?」
喜ぶ彼に答える。一瞬考える彼は驚きの声を上げる。
私は怖くて目を瞑ってしまう。いつまでも彼の声が聞こえない。怖い、優しかった彼が、私を好きになってくれた彼に拒絶される。そんなこと起きてほしくない。
「……成長できないってそのまま生きれるってことか?」
悠久の時と思えるような時間が過ぎてラッドが声を上げる。
私は目を瞑ったまま頷いて答えると両手で顔を覆う。怖くて怖くて、涙が出てくる。
「ファム。そんなの関係ないよ。お前は俺の物になるんだから」
「……ラッド」
顔を覆っていた手を取ってくれるラッド。涙を拭ってくれる彼の目はいつもの目じゃなかった。まるで獲物を狩る時のような。そんな目……。
「これでお前は俺の物」
ラッドが顔を近づけてくる。
違う……。いつものラッドとは違う。今の彼は何かが違う。私のすべてがそう告げているのに体が動かない。
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