赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 フェイク

第29話 本性

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「なぜ俺達がこんなガキの従魔に!?」

 お父さんたちの提案を聞いて最初はそういっていたシャルとソル。だけど、すぐに考えが変わった。

「日にあたっても体が風化しないだと!?」

「に、兄さん!? 俺達キングになれたの?」

 契約を済ませて屋敷から無理やり外に出すと騒ぎ出したんだよな~。早く帰りたいから無理やり出してみたんだよな~。お父さんたち的には死んでもいっか~、って感じだったんだけど双子が喜ぶ結果になっちゃった。色々残念だった。
 あと、こんな称号も手に入ってしまった。

 【ヴァンパイアの主人】効果 知力+50 精神力+50 生命力+50

 他の称号と比べると明らかに力不足だ。やはり0歳児称号は異常なのかも。

「従魔は主人の力によって強さが変わると聞いたことがある」

「ええ!? ってことはあの赤ん坊のおかげ……」

「末恐ろしい。地下の魔物の大半はあの方が倒したらしい」

「ゴクリッ」

 ジーニアスベルに戻ってきて畑仕事をしてる双子が大きめの声で話し合ってる。家の横で日向ぼっこをしてたら視線を感じて見てるんだけど、キラキラした目で見てきてる。尊敬とかそういった想いを感じる。

「ジーニ様。あまり長い間日に当たると悪い熱が入っちゃいますよ。そろそろおうちに入りましょ」

「アイ!」

 双子の視線が嫌になっているとシリカちゃんが声をかけてくれた。助かったと思いながら抱き上げられて家に入ると彼女は僕を抱きながら椅子に座る。

「静かで平和な時間が流れてますね。ついついうたたねしちゃいます」

「バブ」

 シリカちゃんはそういって小さく欠伸をした。眠そうで今にも夢の世界に入っちゃいそうだ。

「スースー」

「ふふ、シリカは本当にジーニが好きね」

 少ししてシリカちゃんが眠りにつくとお母さんがシーツをかけてくれる。

「シリカも疲れているのね。毎日、大工仕事や畑の仕事をしてるから仕方ないわ」

 シリカちゃんは色んな仕事をしてる。大工や畑だけじゃなくて冒険者の仕事や騎士団の仕事も。この間は洞窟に入って魔物を狩ってきて魔石をみせてきたもんな~。ゴブリンの魔石だったっぽいからまだまだだけど、何でも出来るようになりたいみたいで志が高いな~。

「ん~……、ジーニ様といつまでも一緒に……スースー」

「あらあら、ご馳走様」

「バブ」

 シリカちゃんの寝言だ。お母さんが満面の笑みで僕の頬をつついてくる。僕と一緒に居るために努力してるんだな。僕も頑張らないと。

「バブ!」

「あら? どうしたのジーニ?」

 シリカちゃんのお膝から静かに降りて声をあげる。ハイハイで扉を開けてお外へ。お母さんには答えずに街道を警備させてるゴーレムの元へ向かう。

「ゴッ?」

「バブ!」

 ゴーレムの前について僕に気が付くゴーレム。なんで彼のところに来たかと言うと試練のせいだ。

 ーーーーーーー

  試練

 高度5000メートルに到達せよ

 報酬 秘薬各種 魔法書

 ーーーーーーー

 こんな試練普通じゃできないよ。ハードすぎる試練でどうしようか悩んでたんだけど、結局強硬手段に出ることにした。

「バブ!」

「ゴ~~~~!」

 ゴーレムに僕を投擲してもらう。砲丸投げのようなフォームで真上へと打ち上げられる僕は3000メートルまで打ち上る。あと少しだけど、やっぱり難しいな。上空から辺りを見回すけど、大きな山は見られない。さてどうしたものか……ん? あの人は。
 辺りを見回しているとフェイクさんが見える。漆黒の鎧を着た人も一緒で村に向かってきてる。
 ヴァンパイアを始末することは出来なかったけど、無害にすることは出来た。村に帰ってきたらすぐに報酬をもらえると思っていたんだけど、いなくなっててお父さんはがっかりしてたんだよな。

「ゴッ」

「バブバブ」

 ゴーレムが僕をキャッチしてくれるとすぐにお父さんの元へとハイハイで向かう。ゴーレムはそのままフェイクさんを迎えてもらおう。

「バブバブ~!」

「ん? どうしたジーニアス?」

 お父さんの元にたどり着くと騎士団の人達と汗を流していた。訓練とか言って度々騎士団の人達と遊んでいるんだよな~。まあ、お母さんにぞっこんだから浮気は心配していないけど、騎士団の人達が本気にならないか心配になる。僕のお父さんと言うだけあってイケメンだからな~。僕も大きくなったらイケメンになるんだろうな~。なんてね。

「バブバブ」

「そんなに引っ張らなくても。って俺にお客さんってことか?」

「アイ!」

 ズボンを引っ張って声をあげるとやっとわかってくれて僕を抱き上げると村の入口に向かう。
 
「お~、ご無事でしたかジーク様。また会えてうれしいですねうれしいですよ~」

 フェイクさんは大喜びでお父さんの手を取るとブンブン振り回す。僕とお父さんは苦笑いで答える。

「それで? ヴァンパイアの魔石は?」

「あ~、そのことなんですが。退治じゃなくて捕獲しちゃって」

「……捕獲?」

 フェイクさんにお父さんが答えると首を傾げてくる。お父さんが説明すると満面の笑みになって行く。

「それは凄いですね~。ヴァンパイアを従魔にしてしまうなんて~。それも昼間も歩けるように進化まで……ジーク様は本当に素晴らしい冒険者なのですね~」

 フェイクさんは納得してくれたみたいで懐から金貨十枚を取り出した。

「ではこれは報酬です。その双子のヴァンパイアを明け渡してください」

「明け渡す? もう無害だからいいのでは?」

 フェイクさんは少し俯きながら要求してくる。なぜかグリードさんから殺気のような黒い気配を感じる。

「貴重なヴァンパイアですよ? 退治ではなくて捕獲ならば依頼主に渡すのがどうりでしょ? 違いますか? 違いませんよね?」

 顔は笑っているのに目が笑っていないフェイクさん。ズイズイとお父さんに顔を近づけていく。

「……依頼主を裏切るのですか?」

「そ、そういわれても、従魔にしてしまったので~」

 お父さんが口ごもっているとフェイクさんが背を向けて声をもらした。それでもうろたえているお父さんに彼は見てわかるほど肩を落とす。

「そうですか。それならば致し方ないですね~……。あなたがグリードの経験値になってください」

 フェイクさんの声と共にグリードさんが切りかかってきた。僕を片手で抱いて剣を抜いたお父さん。何とか鍔迫り合いへと持ち込んだけど、片膝をつく。グリードさんは片手、凄い力だ。

「素晴らしい!? グリードの剣を初見で受けれるとは!」

 驚きながらも満面の笑みになって行くフェイクさん。そんな彼を他所にお父さんは冷や汗をかいていく。
 グリードの圧が強くなって片手ではきつくなってきたみたいだ。僕は邪魔をしてしまってる。

「バブ!」

「!?」

 たまらず僕がグリードに頭突きを喰らわす。大きく吹き飛ばされたグリードは土煙を立てて片膝をついていた。

「……素晴らしい!!! 赤ん坊が! グリードを! なんて! なんて素晴らしいんでしょうか~!」

 その様子を見ていたフェイクが腰をくねらせくるっと踊って声を荒らげる。歓喜のあまり涙まで流してる。

「あ~、あ~! 神はなんと素晴らしいものをおつくりになるのか~! 私への当てつけ、いや、ご褒美……。はぁ~、どれほどの経験値になるのか。想像も出来ない」

 涙を流して鼻水も垂れ流すフェイク。その視線は僕に釘付け。経験値とか言ってるってことは僕の命を狙ってる?
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