赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
28 / 49
第二章 フェイク

第28話 双子のヴァンパイア

しおりを挟む
 嫌な予感がしていた通り、縦穴の無数の横穴から蟻や蜘蛛の魔物が這い出てきていた。蝙蝠の魔物も加わって文字通り、僕らに降りかかってくる。

「ダブダブダブ~【バイボ~】」

 僕はつかさず聖属性の魔法【ライト】通常は光を照らすだけの魔法を唱える。僕の魔法は普通よりもかなり強くなってる。照らすだけの魔法が魔物に対しては、強力な結界みたいにダメージを与えることが出来る。魔物は僕の魔法を受けてボトボトと落ちてくる。

「ジーニ様! 流石です!」

 魔物を倒しているとデシウスさんが褒めてくる。だけど、そんな悠長なことをしている場合じゃない。

「!? 横からも来てる! みんな応戦して!」

 ララちゃんが気配に気づいて声をあげる。同時に松明を横の通路に放り投げると人ほどの大きさの蛇の魔物がノソノソと集まってくる。

「魔物を育てて配下に加える。昔から変わらないな、ヴァンパイアは」

 剣を引き抜いてデシウスさんが蛇たちへと切りかかる。ちぎっては投げちぎっては投げ、流れるように蹴散らしていく。お父さんよりも強いんじゃないかな? そういえば、デシウスさんのレベルを聞いてなかった。50年は生きているエルフさんだから、相当強いかもな。

『はははは、どうだ? お客人。歓迎は楽しいか?』

『シャル兄さん。どうせ死んでいるよ』

『ははは、そうだろうな、ソル。赤ん坊なんて真っ先に死んでいるだろうな』

 魔物達を蹴散らしていると空から声が聞こえてくる。縦穴の上を見上げると光が見える。相当深くまで落とされたみたいだな。
 でも、あの双子は完全に僕らを舐めていたみたいだな。

『ん? 静かになったな。そろそろ降りても大丈夫か?』

『兄さん。早く済ませないとヤゾの兄貴に全部取られちゃうから急ごう』

『おお、そうだった。ヤゾの兄貴がいない間に美味しい思いができると思って”奴”の話に乗ったんだったな』

 魔物を全部始末すると上からの声がはっきりと聞こえてくる。みんなで顔を見合うと笑顔になる。

「降りてきたら捕まえよう」

「了解」

「バブ!」

 お父さんの提案にデシウスさんが頷いて答える。僕も思わず黒い笑みを浮かべて声をあげちゃった。

「さてさて、死体はどこだ~」

「シャル兄さん。赤ん坊は僕が貰ってもいいかい?」

「ははは、仕方ないなソルは。今回だけだぞ」

「やった~、兄さん大好き」

 抱き合う双子。シャルとソルって言う名前なのか。中性的な顔でカッコいいのに、なんかもったいないな。

「ん? 死体が見当たらない。魔石ばかりが……」

「兄さん!? こいつら生きてる!?」

「何!?」

 蛇が出てきた通路に身を隠していたけど、双子が降りるのを確認して出てきた。背中に羽根を生やして降りてきたみたいで更にかっこよくなってるな。

「この数の魔物を倒すとはやるな。しかし、俺達には勝てんぞ」

「ふふ、ヴァンパイアの貴族の力を見せてやる」

 双子は腕を噛み合う。血液が腕から垂れると鋭い刃に変わっていく。ヤゾとか言っていたけど、奴と同じ攻撃を使うんだな。

「気をつけてください。ヴァンパイアは血の魔法を使います」

 デシウスさんはそういってシャルへと切りかかる。同時にお父さんがソルへと切りかかると双子は冷や汗を見せる。

「人がこのレベルに到達するとは!?」

「まさか!? 兄さん! ヤゾの兄貴が期日に帰ってこなかったのって!?」

「……そのまさかかもしれん」

 双子は推測に顔を青ざめさせる。お父さんもデシウスさんも想像よりも強いみたいだ。

「戦いながら会話とは余裕だな」

「ん、私もいるの忘れてる」

 デシウスさんが切りつけながら話すとララちゃんが横からシャルへと切りかかる。彼女の武器は短剣、素早い攻撃がシャルの体を傷つけていく。

「に、兄さん!?」

「よそ見はダメだな!」

「ぐあ!?」

 ソルがシャルを心配して隙を作った。お父さんはそれを見逃さずに足を切りつける。片足になったソルはシャルへと飛び跳ねる。

「ソル!? き、貴様ら!? 生きて出られるとおもうなよ」

「出れるさ、お前達に出してもらう」

 ソルを抱きしめるシャルが声をあげるとお父さんが剣を突きつける。動けないソルを抱えて勝てるわけがない。シャルは苦虫を嚙み潰したような顔で頭垂れた。

「……い、命だけは」

「兄さん」

 命乞いをするシャルにソルは涙してる。

「……とにかく、俺たちをここから出せ。話はその次だ」

「……わかった。俺が一人づつあげる。ソルは足を治させてくれ」

「……いいだろう。何かしたら弟の命はないからな」

「ああ」

 シャルはお父さんの要求に答えて、僕を抱きかかえるララちゃんをお姫様抱っこで抱き上げる。ララちゃんは短剣を構えてるけど、用心に越したことはないよな。

「こ、これでいいか?」

「ありがとよ」

「じゃ、じゃあ。俺達は」

「待て」

「「……」」

 みんなを縦穴から出してすぐに立ち去ろうとする双子。お父さんが引き止めるとゆっくりと僕らへと振り返る。

「このまま帰すわけには行かない。お前達、人を食べているだろ?」

「「……」」

 ヴァンパイアは人の血を好んで食べる。もちろん、動物の血でも大丈夫だろうけど、一人も人を食べていないなんてあり得ないだろうな。こんな世界だしね。

「人は食べたが盗賊ばかりだ。町なんかで狩ると騒ぎになって大変だからな。はぐれを狩ることにしてた」

「村なんかの狩りはヤゾの兄貴が勝手にやってたことばかりだ」

 僕の倒したヤゾがやられてると思ってるから口が軽いな。まあ、ほんとに死んでるんだけどね。
 双子の話を聞いてみんな考え込む。

「親玉みたいなのがいたということか」

「それが私の両親を殺したヴァンパイアだろう。それは確かに死んでいるはず、ジーニ様によって」

「ってことはこいつらは仇じゃないってことだよな。ってことは言っていることは間違いないか」

 コソコソとお父さんとデシウスさんと話してる。ララちゃんも頷いて聞いてるな。

「兄さん、この隙に逃げよう」

「ダメだソル。逃げられる気がしない。俺達の運を信じろ」

「兄さん……」

 シャルたちは天に祈りを捧げてお父さん達の話を待ってる。この人達はいい人なのかな? それにしては赤ん坊は僕が食べる~みたいなこと言ってたよな。盗賊ばかりで一般人は本当にこれが初めてなのか?

「契約をしよう」

「「契約!?」」

「俺達に人のペットになれと言うのか!」

 お父さんの提案に双子が絶叫をあげる。契約か~。誰のものになるんだろう?

「主人はジーニ様?」

「ああ、俺は魔力が少ないからな。ヴァンパイアを使役なんてできん」

「バブ!?」

 デシウスさんの話にお父さんが僕を見て話した。僕は思わず首を傾げる。こんなイケメンヴァンパイアいらないよ~。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...