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第1章 村スキル
第24話 悩み
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新たな仲間のルーンを得て、色々考え込んで次の日。頭が痛くなる程、悩む。なんでかというと。
「どうしたらいいんだ?」
僕を守ってくれる彼らに少しでも何かしてあげたい。だけど、死んでしまって僕に従うようにされていると分かったら悲しむんじゃないか? 僕はそう思ってしまって悩んでる。
打ち明けていいものなのか……。
「お~い! ムラタ! まだいるだろ?」
悩んでいるとルーザーさんが迎えに来てくれる。休みは終わった。今日から冒険者業の再開だ。
「はあぁぁぁ~~~」
「おいおい、どうしたんだムラタ。そんな大きなため息ついて」
冒険者ギルドへと歩き出す。朝日を見つめると大きなため息が出てしまう。太陽はいいよな。まっすぐ光を差し込めばいいんだからさ。その光が影を差すことを考えなくていいんだから。
ルーザーさんが気にして声をかけてくれるけど、答えることができない。彼も関係していることだからね。
「何でもないですよ。はぁ~」
「何でもないって感じじゃねえな。まあ言えねえんだったら何も言わねえけど。あんまり一人で考え込むなよ。俺じゃなくてもいいから相談できる相手を見つけておけよ」
再度ため息をつくとルーザーさんが少し元気なく笑って忠告してくれる。相談できる相手か……。
「おはようございますムラタさん」
「おはようございますクリスさん」
うなだれながらも冒険者ギルドに着く。クリスさんが受付で迎えてくれた。
「おいおいクリス。俺はいないものとしてみてるのか?」
「ふふ、別にそういうわけじゃないですよルーザーさん」
クリスさんにからかわれるルーザーさん。彼女はクスクスと笑うと綺麗な白い紙を取り出す。
「宿屋を調べました。宿帳に記帳されていた人の名前です」
「もうですか?」
白い紙を差し出してくるクリスさん。こんなに早く調べ上げてくれるなんて凄いな。ルーザーさんと共に報告書を見ていく。
「アナスタシア、ジャンク、ルラ……。かなりの数だな」
「そうですね……。でも収穫はありました」
名前を声に出すルーザーさんを尻目に、僕は一つの名前を見つける。”ルーン”、君は確かにここに来ていたんだね。
「一人じゃない?」
報告書には二人と記入されている。ルーンは一人でオルクスに来てない。彼女は妹を助けるために命を捧げていた。もしかすると彼女に命を捧げることを強要した人がいる? それとも、上の者?
「何かわかった?」
「あ、はい。ルーンという人が怪しいんです。僕のスキルでそう判断しました」
「ルーンね。それじゃその人を中心に調べてみるわ。特徴とかわかるかな?」
クリスさんの問いかけに素直に答える。僕のスキルが特別なのを理解してくれている彼女に、ルーンの特徴を教えるとすぐに調べ始めてくれる。
「……よし! 調べている間依頼でもやってようぜ。今日中には無理だろうからな」
「あ、はい」
クリスさんが席を外すとルーザーさんがそう言って掲示板の方へと向かう。
「話は終わったか? 魔根の球の件はどうなった?」
掲示板にはエクス達がいて手を振って聞いてくる。ルーンという名前を出して報告するとため息をつくエクス。
「まだ全然わからないってことか。オルクスが狙われていたってことだから気になってたんだけどな」
エクスはそう言ってうなだれる。まだまだ真相には程遠い。
「私達はオークを狩りに行くんですけど、二人も来ませんか?」
「オークか。また数の多いそうな獲物だな。さては手伝わせようって魂胆か?」
「ありゃ! バレたか~。ムラタさんを連れて行けば4人分の働きをしてくれるでしょ~。楽できるな~って」
エミさんの提案にルーザーさんがため息をついて答える。彼女は隠す気もなく本音を呟く。
「まあ、ベテランと一緒の方が安心ではあるな」
「ベテランって。ルーザーさんに言われてもな~」
ルーザーさんは肯定的に答える。それを聞いてエンシャさんがため息交じりに答えた。
確かに一番のベテランに言われたら年を取ったように感じてしまうよな~。
「ムラタさんはどう?」
「僕もいいと思います」
「じゃあ決まりね! オークの巣を掃除しちゃお~!」
エミさんの問いかけに賛成する。彼女は嬉しそうに手を上げた。オークって豚人間のことだよな。この世界では食べるのかな? 二足歩行の動物は食べたくないな~。なんだか罪悪感が凄そうだ。
「オークは豚と牛の美味い所が集まったような肉質なんだよな~。高値で取引するから高く売れるし」
「乾燥させて保存食にも適してる。最高の魔物だな」
クナさんと一緒に嬉しそうに話すエンシャさん。この世界のオークは食材みたいだ。これは嗚咽の予感だ。
「オルクスから半日の距離だ。急げば日の出には帰ってこれる」
「ええ!? そんなに遠いんですか?」
エクスの言葉に驚愕の声を上げる。半日も歩くなんて日本じゃ考えられないよ。
もしかしたら野営か。野営なんてしたことない。初めての野営がオーク狩りか。異世界に来たって感じがするな~。でも、僕みたいな低レベルが行って大丈夫なのだろうか?
「コボルトと同じレベルの魔物だ。職業持ちでも出てこなければムラタ一人でも倒せるだろ」
「……職業持ちがでなければね~」
不安で首を傾げているとルーザーさんが察してくれて説明してくれる。そんなこと言ったら職業持ちが出てきちゃうよ。フラグ回収ってやつだよね。
ま、まあ、この世界は日本とは別の世界だ。そんなフラグなんてないよね。大丈夫大丈夫……ってこれもフラグか。
「どうしたらいいんだ?」
僕を守ってくれる彼らに少しでも何かしてあげたい。だけど、死んでしまって僕に従うようにされていると分かったら悲しむんじゃないか? 僕はそう思ってしまって悩んでる。
打ち明けていいものなのか……。
「お~い! ムラタ! まだいるだろ?」
悩んでいるとルーザーさんが迎えに来てくれる。休みは終わった。今日から冒険者業の再開だ。
「はあぁぁぁ~~~」
「おいおい、どうしたんだムラタ。そんな大きなため息ついて」
冒険者ギルドへと歩き出す。朝日を見つめると大きなため息が出てしまう。太陽はいいよな。まっすぐ光を差し込めばいいんだからさ。その光が影を差すことを考えなくていいんだから。
ルーザーさんが気にして声をかけてくれるけど、答えることができない。彼も関係していることだからね。
「何でもないですよ。はぁ~」
「何でもないって感じじゃねえな。まあ言えねえんだったら何も言わねえけど。あんまり一人で考え込むなよ。俺じゃなくてもいいから相談できる相手を見つけておけよ」
再度ため息をつくとルーザーさんが少し元気なく笑って忠告してくれる。相談できる相手か……。
「おはようございますムラタさん」
「おはようございますクリスさん」
うなだれながらも冒険者ギルドに着く。クリスさんが受付で迎えてくれた。
「おいおいクリス。俺はいないものとしてみてるのか?」
「ふふ、別にそういうわけじゃないですよルーザーさん」
クリスさんにからかわれるルーザーさん。彼女はクスクスと笑うと綺麗な白い紙を取り出す。
「宿屋を調べました。宿帳に記帳されていた人の名前です」
「もうですか?」
白い紙を差し出してくるクリスさん。こんなに早く調べ上げてくれるなんて凄いな。ルーザーさんと共に報告書を見ていく。
「アナスタシア、ジャンク、ルラ……。かなりの数だな」
「そうですね……。でも収穫はありました」
名前を声に出すルーザーさんを尻目に、僕は一つの名前を見つける。”ルーン”、君は確かにここに来ていたんだね。
「一人じゃない?」
報告書には二人と記入されている。ルーンは一人でオルクスに来てない。彼女は妹を助けるために命を捧げていた。もしかすると彼女に命を捧げることを強要した人がいる? それとも、上の者?
「何かわかった?」
「あ、はい。ルーンという人が怪しいんです。僕のスキルでそう判断しました」
「ルーンね。それじゃその人を中心に調べてみるわ。特徴とかわかるかな?」
クリスさんの問いかけに素直に答える。僕のスキルが特別なのを理解してくれている彼女に、ルーンの特徴を教えるとすぐに調べ始めてくれる。
「……よし! 調べている間依頼でもやってようぜ。今日中には無理だろうからな」
「あ、はい」
クリスさんが席を外すとルーザーさんがそう言って掲示板の方へと向かう。
「話は終わったか? 魔根の球の件はどうなった?」
掲示板にはエクス達がいて手を振って聞いてくる。ルーンという名前を出して報告するとため息をつくエクス。
「まだ全然わからないってことか。オルクスが狙われていたってことだから気になってたんだけどな」
エクスはそう言ってうなだれる。まだまだ真相には程遠い。
「私達はオークを狩りに行くんですけど、二人も来ませんか?」
「オークか。また数の多いそうな獲物だな。さては手伝わせようって魂胆か?」
「ありゃ! バレたか~。ムラタさんを連れて行けば4人分の働きをしてくれるでしょ~。楽できるな~って」
エミさんの提案にルーザーさんがため息をついて答える。彼女は隠す気もなく本音を呟く。
「まあ、ベテランと一緒の方が安心ではあるな」
「ベテランって。ルーザーさんに言われてもな~」
ルーザーさんは肯定的に答える。それを聞いてエンシャさんがため息交じりに答えた。
確かに一番のベテランに言われたら年を取ったように感じてしまうよな~。
「ムラタさんはどう?」
「僕もいいと思います」
「じゃあ決まりね! オークの巣を掃除しちゃお~!」
エミさんの問いかけに賛成する。彼女は嬉しそうに手を上げた。オークって豚人間のことだよな。この世界では食べるのかな? 二足歩行の動物は食べたくないな~。なんだか罪悪感が凄そうだ。
「オークは豚と牛の美味い所が集まったような肉質なんだよな~。高値で取引するから高く売れるし」
「乾燥させて保存食にも適してる。最高の魔物だな」
クナさんと一緒に嬉しそうに話すエンシャさん。この世界のオークは食材みたいだ。これは嗚咽の予感だ。
「オルクスから半日の距離だ。急げば日の出には帰ってこれる」
「ええ!? そんなに遠いんですか?」
エクスの言葉に驚愕の声を上げる。半日も歩くなんて日本じゃ考えられないよ。
もしかしたら野営か。野営なんてしたことない。初めての野営がオーク狩りか。異世界に来たって感じがするな~。でも、僕みたいな低レベルが行って大丈夫なのだろうか?
「コボルトと同じレベルの魔物だ。職業持ちでも出てこなければムラタ一人でも倒せるだろ」
「……職業持ちがでなければね~」
不安で首を傾げているとルーザーさんが察してくれて説明してくれる。そんなこと言ったら職業持ちが出てきちゃうよ。フラグ回収ってやつだよね。
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