31 / 31
第1章 村スキル
第31話 ゾンビ3
しおりを挟む
「おいおい、どうなってるんだ? ゾンビ共はどれだけいるんだ?」
ゾンビ退治を初めて一時間程が経った。100体以上のゾンビを倒してルーザーさんが呆れにも似た声を上げる。
ゆっくりな足取りでとめどなく流れてくるゾンビ達。僕は終わりのない彼らに終焉を迎えさせる演者となっている。
「そこらじゅうの魔物や村を襲った跡か。この程度のゾンビで王都が落ちるわけはないからな」
更にゾンビを倒しながらルーザーさんが呟く。確かに、僕でも倒せる動きのゾンビだ。王都みたいな凄い所を守る衛兵や冒険者が負けるはずがない。
「お~い。みんな~」
「ん? エクス? それにドールスさん?」
終わりのないゾンビの群れを退治しているとオルクスの方角からエクスとドールスさん達が現れる。ドールスさんは仲間の衛兵を引き連れてきてる。なにかあったのか?
「町へ帰還してくれ。オルクスが包囲されかかってる」
「はぁ!? 包囲ってどういうことだ?」
「話は町に戻ってからだ。さあ! 早く」
ドールスさんがそう言ってみんなを町へと帰還させる。戸惑いながら声を上げたルーザーさんは首を傾げながらついていく。
「ちぃ、街道以外は結構近づかれてるな!」
「いつのまに」
オルクスへの帰り道。ゾンビが街道の脇から現れる。エクスが一瞬で倒して見せる。
僕らが戦っていた街道から10分もしない位置だ。いつの間にか背後を取られてた。
「全方位をオルクスをめざしてやってきてる。行商人が知らせてくれた。城壁に着かれる前に戦力を戻す。今はそれしかできることはない」
「どうなってるんだ」
走りながら話すドールスさん。不安そうな表情が語ってる、これは異常なことだって。
「帰還した! 門を開けろ!」
何体かのゾンビを倒しながらオルクスに到着する。
城門が締まっている姿はあまり見たことがなかったオルクスの町、締まっていると威圧感があるな。ドールスさんの声で大きな音を立てて門が開いていく。
「南の門、反対側の門はゾンビが数体現れた」
「了解した。北は冒険者のおかげで遅くなったんだな」
衛兵の報告を聞いて僕らへと視線を一瞥させるドールスさん。少しは役に立てていたみたい。
だけど、これはどういう状況なんだ? なんで急にゾンビが?
「外には出れそうにないな」
「ああ、とりあえず冒険者ギルドに報告に行こう」
他の冒険者達がそう言って流れていく。20人くらいの人が流れていくと一種の威圧感が生まれる。
窓から道路を見ていた住人の人達が不安な表情で見つめてくる。
「ワンワン!」
ルドラはそんな人たちに向かって声を上げると尻尾を振って見せる。
怖がる人もいるけれど、ルドラなりに元気づけてあげたかったんだろうな。中には彼を触るために家から出てくる子もいた。少しは和らげることが出来たかな。
「急いで! 王都への道がふさがる前に救援要請よ!」
「はい!」
冒険者ギルドに着くと職員のみんながせかせかと動き回っていた。ミルティさんもいて、異常な状態なのがわかる。
「ふぁ~……。皆さんお疲れ様です。報告は私の方で承ります」
ミルティさんは眠そうに手を上げると僕らと一緒に帰ってきた冒険者達が並んでいく。
しばらく経つと僕らの順番がやってきた。
「ルーザー様のパーティーですね。皆さんと同じくらいのゾンビを狩ったっと。すみませんが依頼内容は変更となっていましてね。ゾンビはどのゾンビも一律で500ラリとなりました。値上げされているので不満はないと思いますが」
「500ラリか。高いな……」
ミルティさんが眠そうに話す。ルーザーさんが不安そうに呟いて僕らを見つめる。
「ご安心ください。ランクの高いゾンビは見つかっておりません。今、確認されているのはゴブリン、コボルト、オーク、人の四種類。普通の冒険者の皆様ならば危険はないでしょう」
ミルティさんが不安そうな僕らを見かねて報告してくれる。後ろで聞いていた冒険者達は安堵してる。
「……でも、あの数はおかしいんじゃ?」
僕は思わず呟く。とめどなく歩いてきていたゾンビ達。100や200なんて数じゃない。一つの都市をすべてゾンビに変えたような、そんな数を感じた。1万、2万のゾンビがオルクスを襲い始めるのか? 恐ろしい、思わず僕は震える。
「マスター! 安心してください。私が守ります」
「もちろん僕らもね」
「ワン!」「はい!」
不安で体を震わせているとジャネット達がそう言ってくれる。守られてばかりなマスターでごめんよ。
「行商人の話しでは街道脇の地面から急に生まれてきたという話です。どこの村が襲われてとか、そういう話ではないみたいですよ」
「はぁ? なんだそりゃ。放置してた死体が蘇ったんじゃないのか? それって更にまずい話なんじゃないか?」
「え? まずいとはどういう?」
ミルティさんの話を聞いてルーザーさんが顔を青ざめさせる。聞き返す彼女は少し不安そうにしてる。
「死霊術師だよ。ネクロマンサー。死体を支配して従わせる奴だ。このゾンビ達はそのネクロマンサーの仕業ってわけだよ。そうじゃなきゃおかしいだろ。死骸は埋めると地面のマナが分解して、世界に循環してくれる。世界樹のおかげでそういう仕組みなんだからな」
ルーザーさんの話を聞いて感心してしまう。この世界には世界樹があるのか。ゲームやアニメの世界が現実に……。って感動している場合じゃないな。
『ゾンビが城壁に来たぞ! 戦えるものは武器を持て!』
外からそんな声が聞こえてくる。ゾンビ達がオルクスの城壁にたどり着いたんだ。みんなと顔を見あって頷くと外へと飛び出した。
ゾンビ退治を初めて一時間程が経った。100体以上のゾンビを倒してルーザーさんが呆れにも似た声を上げる。
ゆっくりな足取りでとめどなく流れてくるゾンビ達。僕は終わりのない彼らに終焉を迎えさせる演者となっている。
「そこらじゅうの魔物や村を襲った跡か。この程度のゾンビで王都が落ちるわけはないからな」
更にゾンビを倒しながらルーザーさんが呟く。確かに、僕でも倒せる動きのゾンビだ。王都みたいな凄い所を守る衛兵や冒険者が負けるはずがない。
「お~い。みんな~」
「ん? エクス? それにドールスさん?」
終わりのないゾンビの群れを退治しているとオルクスの方角からエクスとドールスさん達が現れる。ドールスさんは仲間の衛兵を引き連れてきてる。なにかあったのか?
「町へ帰還してくれ。オルクスが包囲されかかってる」
「はぁ!? 包囲ってどういうことだ?」
「話は町に戻ってからだ。さあ! 早く」
ドールスさんがそう言ってみんなを町へと帰還させる。戸惑いながら声を上げたルーザーさんは首を傾げながらついていく。
「ちぃ、街道以外は結構近づかれてるな!」
「いつのまに」
オルクスへの帰り道。ゾンビが街道の脇から現れる。エクスが一瞬で倒して見せる。
僕らが戦っていた街道から10分もしない位置だ。いつの間にか背後を取られてた。
「全方位をオルクスをめざしてやってきてる。行商人が知らせてくれた。城壁に着かれる前に戦力を戻す。今はそれしかできることはない」
「どうなってるんだ」
走りながら話すドールスさん。不安そうな表情が語ってる、これは異常なことだって。
「帰還した! 門を開けろ!」
何体かのゾンビを倒しながらオルクスに到着する。
城門が締まっている姿はあまり見たことがなかったオルクスの町、締まっていると威圧感があるな。ドールスさんの声で大きな音を立てて門が開いていく。
「南の門、反対側の門はゾンビが数体現れた」
「了解した。北は冒険者のおかげで遅くなったんだな」
衛兵の報告を聞いて僕らへと視線を一瞥させるドールスさん。少しは役に立てていたみたい。
だけど、これはどういう状況なんだ? なんで急にゾンビが?
「外には出れそうにないな」
「ああ、とりあえず冒険者ギルドに報告に行こう」
他の冒険者達がそう言って流れていく。20人くらいの人が流れていくと一種の威圧感が生まれる。
窓から道路を見ていた住人の人達が不安な表情で見つめてくる。
「ワンワン!」
ルドラはそんな人たちに向かって声を上げると尻尾を振って見せる。
怖がる人もいるけれど、ルドラなりに元気づけてあげたかったんだろうな。中には彼を触るために家から出てくる子もいた。少しは和らげることが出来たかな。
「急いで! 王都への道がふさがる前に救援要請よ!」
「はい!」
冒険者ギルドに着くと職員のみんながせかせかと動き回っていた。ミルティさんもいて、異常な状態なのがわかる。
「ふぁ~……。皆さんお疲れ様です。報告は私の方で承ります」
ミルティさんは眠そうに手を上げると僕らと一緒に帰ってきた冒険者達が並んでいく。
しばらく経つと僕らの順番がやってきた。
「ルーザー様のパーティーですね。皆さんと同じくらいのゾンビを狩ったっと。すみませんが依頼内容は変更となっていましてね。ゾンビはどのゾンビも一律で500ラリとなりました。値上げされているので不満はないと思いますが」
「500ラリか。高いな……」
ミルティさんが眠そうに話す。ルーザーさんが不安そうに呟いて僕らを見つめる。
「ご安心ください。ランクの高いゾンビは見つかっておりません。今、確認されているのはゴブリン、コボルト、オーク、人の四種類。普通の冒険者の皆様ならば危険はないでしょう」
ミルティさんが不安そうな僕らを見かねて報告してくれる。後ろで聞いていた冒険者達は安堵してる。
「……でも、あの数はおかしいんじゃ?」
僕は思わず呟く。とめどなく歩いてきていたゾンビ達。100や200なんて数じゃない。一つの都市をすべてゾンビに変えたような、そんな数を感じた。1万、2万のゾンビがオルクスを襲い始めるのか? 恐ろしい、思わず僕は震える。
「マスター! 安心してください。私が守ります」
「もちろん僕らもね」
「ワン!」「はい!」
不安で体を震わせているとジャネット達がそう言ってくれる。守られてばかりなマスターでごめんよ。
「行商人の話しでは街道脇の地面から急に生まれてきたという話です。どこの村が襲われてとか、そういう話ではないみたいですよ」
「はぁ? なんだそりゃ。放置してた死体が蘇ったんじゃないのか? それって更にまずい話なんじゃないか?」
「え? まずいとはどういう?」
ミルティさんの話を聞いてルーザーさんが顔を青ざめさせる。聞き返す彼女は少し不安そうにしてる。
「死霊術師だよ。ネクロマンサー。死体を支配して従わせる奴だ。このゾンビ達はそのネクロマンサーの仕業ってわけだよ。そうじゃなきゃおかしいだろ。死骸は埋めると地面のマナが分解して、世界に循環してくれる。世界樹のおかげでそういう仕組みなんだからな」
ルーザーさんの話を聞いて感心してしまう。この世界には世界樹があるのか。ゲームやアニメの世界が現実に……。って感動している場合じゃないな。
『ゾンビが城壁に来たぞ! 戦えるものは武器を持て!』
外からそんな声が聞こえてくる。ゾンビ達がオルクスの城壁にたどり着いたんだ。みんなと顔を見あって頷くと外へと飛び出した。
21
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件
シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。
旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
大きな銅貨:2000?銀貨が2000?
ま、どうでもいいか
誤字報告ありがとうございます
訂正いたしました