【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
50 / 110
第2章 王国と魔道

第50話 新たな目論見

しおりを挟む


 オルクスから飛び立ったリッテン。彼は笑いながらオルディナへと帰還する。
 空をまっすぐ進み、二日ほどの距離。彼は飲み食いしなくても生きられる体のようで、休憩をはさむこともなかった。

「お帰りなさいませリッテン様」

「うむ、ご苦労。ゼター教授は外出していないか?」

 学院に降り立つと兵士にゼターのことを聞く。ゼターが外出していないことを聞くと彼の研究室へと歩き出す。

「リッテン教授? オルクスに向かわれたのでは?」

 リッテンがゼターの研究室に入ると二人の少女とゼターが迎えてくる。メイド姿の少女達は少し顔を青ざめさせていた。

「行ってきた。中々腕の立つ冒険者がそろっていたよ。そして、面白い能力を持っているものもね」

 ゼターの問いかけに答えるリッテンは笑いながら報告する。

「この少女達だ」

「ん? ルーンとルナのことか?」

 リッテンは壁の絵画を指さす。ルーンとルナの肖像画。仲良く二つ並んでいたことでリッテンはすぐに気が付いた。

「この少女達を見た」

「ふはは。それは無理だ。二人とも死んでいるよ。一人は魔根の球。もう一人は君の所の生徒の研究材料になった。ルーンのおかげでわかったんだよ。一人の命では限界がある。この二人は魔根の球に使おうと思って連れて歩いてるんだ」

 リッテンの話を聞いて早口にしゃべりだすゼター。自分の研究成果を語りたくて仕方ない様子。

「貴重な研究材料だったようだ。かなりの才能を持っていたよ。魔物を使役し、召喚する力。君が最も欲していた力だ」

 リッテンはゼターの話を遮るように語りだす。

「何を言ってるんだ?」

「私は真実を語っている。オルクスで会ったんだよ」

 ゼターは信じられない様子で話す。リッテンは笑みを浮かべながら語りだす。

「君の報告通り。オルクスにゾンビの群れがやってきたようだ。そして、それは私の生徒達の研究がもたらしたもの。ルナの闇の魔法の才能を使い。無限にも近い数のゾンビを生み出させた。彼女の血を使い行われた魔法だな」

「才能だけが優れていた個体だった。ルーンよりも優れていたのに、どんな魔法も使えなかった個体だ。だから捨てるようにあなたの生徒に提供した。魔物を使役するなんてこともできなかったはず。そんなことが出来たら私並の……」

 リッテンの報告を聞いてゼターはワナワナと震えだす。まるで過ちに気がついていくように。

「私が見たのはゴブリン2匹。優しい表情をしていたよ。使役していることは一目でわかった」

「そ、そんなわけが……」

「認めたくないのもわかるが、我々は探求と平和を求めるものだ。過ちを認めて前に進まない限り平和も正しき探求も掴めないぞ」

 リッテンは勝ち誇るように言葉を畳みかける。ゼターは認めないとばかりにルナの肖像画を引き裂く。

「その隣の少女の絵はいいのか? それもオルクスにいたぞ」

「なに!? ルーンもだと! ちぃ!」

 リッテンの言葉に憤りを露わにしてルーンの肖像画も切り裂くゼター。
 血管が浮き出るほど苛立ちを見せるゼター。ハァハァと息を切らせるほどの怒り。リッテンはため息をつく。

「君の所の生徒は問題児が多いようだな。ルーンは寝返っているぞ。ある男の使い魔か何かにされていた」

「なに!? 使い魔だと! 人を使役? そんなもの聞いたこともないぞ!」

「真実だ。私は近いうちに再度オルクスを攻める。あれは危険だ。すぐにでも排除しておきたい。私の平和な世界を作るために。一応、その男の名前を伝えておこう。名は”ムラタ”だ」

 リッテンはそう言ってゼターの研究室を出た。残されたゼターは破いたルーンとルナの肖像画を見つめる。
 破れた肖像画を見下ろすゼターはブツブツと『ムラタ、人を使役』と呟く。

「人を使役。そんなことが出来たら魔物で溢れさせなくても世界は平和にできる。その男、研究対象になりうる……」

 ゼターは不穏なことを呟き、オルクスのある方角の窓を見つめる。
 
「……オルクスか。攻め落とすよりも話をしてみる価値がありそうだ。しかし、それはリッテンを退けられたらの話。ゾンビ共にやれるようならば、それまでの研究対象だったということ。死体だけでもリッテン教授に提供を求めてみるか」

 研究室を歩き回りながら考えを呟くゼター。

「そのムラタという男の能力が一番、私の理想に近い……。しかし、それはそれ。今までの研究成果を無駄にするわけにはいかない。私の使役した魔物が支配する世界。こちらも並行して進めていかなくては。お前達の命をしっかりと使うぞ」

「「……はい」」

 ゼターの言葉に狂気を感じながらも返事をするメイドの二人。涙をこらえながら答える少女の二人。彼女達はルーンとルナと重なる。
 魔根の球に命を捧げられるであろう少女達。彼女達はムラタと会うことが出来るのだろうか。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

処理中です...