【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
97 / 110
第2章 王国と魔道

第97話 ゴーレム

しおりを挟む
「メイ、アイ。二人の様子は?」

「「ダメです。食べようとしません」」

 エドラとドレイクの世話をしてもらっているメイとアイに様子を聞くと、彼女達は俯いて答えた。二人はゴブリンの藁の家に住まわせてもらってる。簡易的な家だけど、雨風をしのげて結構快適みたいだ。

 大切な家族が死んでしまったエドラとドレイク。お父さんが死んでしまったんだ。生きる気力をなくすのは仕方ない。だけど、僕は諦めたくない。

「エドラ、ドレイク。君たちのお父さんは洗脳されていたんだ。ゼグラデムにそうさせられていた。リッテンもそうさせられていたって」

 やせ細った二人に顔を近づけて話す。敵だった僕を警戒する二人だけど、力なく僕を見つめてくる。

「ゼター、君たちのお父さんは無理やり働かされてた。その仇をうちたいと思わないの?」

「ガル……」

 エドラは力なく答える。言葉がわからなくても僕の目を見て察してくれてるのかな。
 ドレイクは僕を見ることもない。ただ俯く。

「ドレイク! 君達のお父さんは二人の為に平和を目指していたんだよ! それなのにこのまま死んでいいの? ただの悪者として名も知られずに死んでいったんだよ! 僕らを最後救って死んでいったんだ。本当は英雄として語られてもいいはずだよ」

 僕はこらえきれずに涙を流す。二人は顔を見合って何か話し合ってくれてる。
 ルドラが心配して僕にすり寄ってくれる。

「ワン!」

「ガウ。ガウガウ」

 ルドラと会話をするエドラ。ルドラは僕らの会話を理解してくれてる。通訳をしてくれてるんだな。

「「食べてくれた!」」

 ルドラの通訳でエドラとドレイクが食事をしてくれた。僕は思わず二人に抱き着く。

「よかった、よかったよ。二人が死んだら、ゼターに顔向けできなかった。敵だったけど、大切なものを守っていたのは一緒だったから」

 ゼターが洗脳されているかもしれないと、リッテンに言われてから友達になれると思っていた。
 だけど、それはゼグラデムの洗脳によって阻まれてしまった。
 ゼターの大切なものくらい守ってあげたかったんだ。

「優しいんですね。ムラタ様は……」

 メイがそう言って涙を流す。アイは無言で僕の手を握る。見つめてくるアイの顔がどんどん近づいてくる。

「コラ! アイ! 何をキスしようとしてるの!」

「痛い!? お姉ちゃんなんで止めるの! チャンスだったのに!」

 キスする五秒前、メイがアイの頭を叩いて止めてくれる。アイは油断するとすぐにこういうことをしてくる人なのか。今度から気を付けよう。

「だって~、ムラタ様は私達の王子様でしょ。カッコよかったな~。『助けるよ』っていって魔根の球を颯爽と奪って、自分で制御しちゃったんだよ」

「そ、それはそうだけど……。私達は奴隷の身分。ムラタ様に触れることも不敬です」

 アイがウルウルした瞳で見つめてくる。メイも彼女の言葉に惑わされて僕を見つめてきた。何とも言えない状況だ。
 なぜか、僕がモテてしまっている。こういうのは苦手だな。答えることもできないし。

「えっと、エドラ、ドレイク。一緒に生きようね。もう変なことを考えちゃダメだよ」

 いたたまれなくなって僕は二人にそう言ってその場を後にする。

『あなたモテるのね』

「魔根の球? よくわからないよ。吊り橋効果ってやつでしょ」

 魔根の球が話しかけてくる。
 吊り橋効果、緊張とかでドキドキしている時に一緒にいる人を好きだと勘違いしてしまう効果のことだ。
 あんな死と隣り合わせの状況で、僕が急に現れたら勘違いしてしまうのもしょうがない。
 それにしても魔根の球って言いにくいな。名前を考えようかな。

「魔根の球は名前とかある? 言いにくいから決めたいんだけど」

『あるわけないでしょ。意志疎通したのもあなたが初めてよ』

 僕の問いかけに答える魔根の球。名前を付けるとかあんまりしたことがないからな。適当でいいかな。

「魔根の球だから、マ、マ……。マリアってどうかな。あんまり関係ないけど」

『マリア? へ~、なかなかセンスがあるわね。いいわそれで、今日から私はマリアね』

 魔根の球改め、マリアは名前を了承してくれる。

『名前を付けてくれたお礼に魔物の扱い方を教えてあげるわ』

「扱い方? それって作り方とかってこと?」

『同じことよ。作って扱うんだから』

 魔物の作り方を教えてくれるってことか。凄いな。

『無機物から魔物を作った方が簡単よ。ゴーレムっていうんだけど知ってる?』

「知ってるよ! 石の人形でしょ?」

『そうそう、結構強いんだけど、あなたのマナなら作れるはずよ。メイとアイじゃゴブリンの上位しか作れなかったけど』

 マリアはゴーレムの作り方を教えてくれた。これでさらに僕の土地の種族が増えるな。

『……作り過ぎよ』

「あ、やっぱり? いや、プラモデルみたいで楽しくて」

 地面に触れて目を瞑り、ゴーレムの形状を考える。そして、マナを土に押し込むように流す。
 これは魔法を使うときに似てる。詠唱をして手のひらから光を押し出す感じだ。
 するとそのマナがマリアを通して、命を吹き込む。
 簡単に作れるから色々試して作り過ぎちゃった。

「お兄ちゃんのゴーレムさん。力持ちだね」

「ゴッ!」

 ざっと100体のゴーレムが出来上がってしまった。
 ルナちゃんが楽しそうにゴーレムを使って岩を持ち上げてる。ゴーレムたちは僕らの言うことをしっかりと守ってくれるみたいだ。
 僕らを傷つけることもしないから鉱山で手に入った鉱石を運ぶ仕事をしてもらおうかな。ドールスさんに話しておかないと、大騒ぎになりそうだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

処理中です...