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第2章 王国と魔道
第103話 敵はゼグラデム
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「ジャン様! 何をしているのですか! 早く始末を!」
「ここに敵はいない。お前達は撤退を始めろ」
指揮官の声が聞こえてくる。ジャン・クロードはそれを一蹴してジャネットを見つめる。
「姉さん。帰ろう」
「無理よ。私はアユム様と一心同体。仲間ともね」
「それがスキルなのか……」
ジャン・クロードは優しい表情でジャネットに声をかける。さっきまでの殺意を帯びた瞳じゃない。
優しい弟が姉を尊敬して見つめる目だ。でも、すぐに僕を睨みつけてくる。これは殺意のある瞳だ。白髪が一本落ちる。
「人間。名前はアユムか?」
「あ、はい……」
「そうか。わ、悪いことをしたな。すぐに軍隊は撤退させる。心穏やかに過ごすことだ。そうすれば黒髪に戻るだろう」
「ならいいんですけど……」
名前を尋ねてくるジャン・クロードに答える。
彼は申し訳なさそうに頬を掻いて背中を向けてくる。完全に僕らを敵とみていない様子だ。
エルフ達はみんな唖然としつつも戦いが終わってホッとしている。
「あぁ? 何を甘っちょろいことを言っておるんじゃ! お前達がやっているのは戦争だぞ! もっと殺し合え! ののしり合え! おままごとをやってんじゃねえぞ!」
僕もホッとしていると空から声が落ちてくる。さっきまで爽やかな青空だったのに、黒い雲がかかってる。
落雷がなり、辺りに落ちる。エルフが焼け焦げて倒れていく。
「オルディナか?」
「あぁ? ジャン・クロード。お主のせいで色々と台無しじゃよ」
ジャン・クロードの呟きで空の声の主が答える。
オルディナってことはゼグラデムか。そう思っていると空に奴が現れる。ゼグラデムと4人の教授が空から降りてくる。
「あぁ~、予定が台無しじゃ! ムラタを回収して洗脳する計画だったというのに! 殺しもせずに撤退! 何をやっておるんじゃ!」
「ちぃ、ずっと見ていたな?」
「そりゃそうじゃろ! こんなに楽しい戦争は久しぶりじゃったからな! 豆を食べながら見ておったわ! 美味しい所だけをいただこおと思っておったのに!」
地団駄を踏むゼグラデム。ジャン・クロードは呆れながらもゼグラデムに手を差し出す。
「俺に免じて身を引け。こいつは俺の姉さんを生き返らせた男だ。殺させるわけにはいかねえ」
「フォッフォッフォ。あまっちょろいクソガキエルフが。無駄に長い時間生きおってからに。そんな武器で殺せると思っておるのか?」
差し出した手から刃が放たれる。鋭くゼグラデムに迫る刃。彼と奴の間に見えない壁があって、刃が中空で止まる。
「結界じゃよ。教授3名の力じゃ。お主ならば壊せるじゃろうが。儂を殺すことはできん。シロンがすぐに回復させてしまうからな」
ゼグラデムは自慢げに手札を見せてくる。仲間を前面に出して使うのか。僕と戦い方は似てる。
「生き人形をつかう。悪趣味だな」
「フォッフォッフォ。誉め言葉と受け取っておこう。そちらのムラタを同じようなものじゃからな」
ジャン・クロードの言葉に髭を撫でながら笑うゼグラデム。二人とも余裕を見せて笑ってる。
しばらく笑うと結界が割れて、ゼグラデムの胸にナイフが刺さった。
「なんだ、簡単だな」
「ぐふっ。流石ということか」
一瞬の刹那の出来事。目を凝らしてやっと見えた姿は、ジャン・クロードが2度ゼグラデムを突こうとしたことだ。ナイフを突き立てるまで脳が理解していなかった。あれを僕は躱してた? 凄いな僕……。
「回復します」
シロンと言われた女性が回復していく。それをただただ見つめるジャン・クロード。回復を確認すると再度突き刺す。
「ごふっ。いい趣味をしているのう。じゃが、老人を虐めるのはやめておいた方がいい。さもなければ」
「さもなければなんだ?」
「ぎゃあ!?」
ゼグラデムが痛みで声を上げる。強がる彼を更に痛みつけるジャン・クロード。こんな人と最後まで戦っていたら、僕がああなっていたのか。白髪どころか、髪の毛がなくなる所だったな。
「……ふふふ、フォッフォッフォ。こんなことになるぞ!」
ゼグラデムは何度さされても生き返ることはなかった。
安心してみていた僕らは周りの異変に気が付く。
「撤退しろといっただろ」
「学院長の命令だ! こいつらを殺せ!」
迫りくるエルフの軍勢。ジャン・クロードの声も届かない。ただただ僕らに迫ってくる。
「ゼグラデム! 何をした!」
「フォッフォッフォ。儂を大切なものにしたんじゃよ。ただそれだけの洗脳じゃ」
ジャン・クロードが声を上げる。ゼグラデムは素直に答えて笑い声をあげる。
彼は奴の胸ぐらを掴む。そして地面に叩きつける。何度も何度もシロンさんが回復させる。痛みが一生続く、地獄だ。
「では高見の見物をさせてもらおうか」
「逃がすわけがないだろ!」
「それが出来てしまう。お前のような強者からも余裕でな!」
ゼグラデムはジャン・クロードに胸ぐらを掴まれながらも、テレポーテーションで消える。
いつの間にか教授と言われた人とシロンさんも消えてる。
「さあ、エルフの英雄ジャン・クロード。この場のすべての者を救ってみよ。英雄なら出来るだろ?」
空からの声が戻る。降り注ぐ声を見上げていると空の雲の間から大きな岩の塊が現れる。まるで神の拳かのような大きな塊。まっすぐこっちに落ちてきているように見える。
「メテオ……」
ジャン・クロードは呟いて空へと飛びあがる。中空を蹴って飛び上がっていく。
「はじけろ!」
その声と共に神の拳が弾ける。岩の散弾が僕らを襲う。エルフの軍勢にも岩つぶてが遅い、犠牲が生まれる。
「やってくれる」
ジャン・クロードはそう言って光の膜を作り出す。膜を回転させて広く大きくさせていく。まるで結界。
エルフの軍勢も囲う光の結界が岩つぶてから僕らを守ってくれる。
「……ハァハァ。この大きさは堪える。姉さん、アユム。少しの間、守ってくれ」
岩つぶてが結界と音を奏でる中。ジャン・クロードが目を瞑って寝息を立てる。マナを多く消耗して疲れが出ちゃったみたいだ。
僕に迫ってくる洗脳されたエルフ。戦争を回避できそうだったのに、なんてことをしてくれるんだ。ゼグラデムは。
「ここに敵はいない。お前達は撤退を始めろ」
指揮官の声が聞こえてくる。ジャン・クロードはそれを一蹴してジャネットを見つめる。
「姉さん。帰ろう」
「無理よ。私はアユム様と一心同体。仲間ともね」
「それがスキルなのか……」
ジャン・クロードは優しい表情でジャネットに声をかける。さっきまでの殺意を帯びた瞳じゃない。
優しい弟が姉を尊敬して見つめる目だ。でも、すぐに僕を睨みつけてくる。これは殺意のある瞳だ。白髪が一本落ちる。
「人間。名前はアユムか?」
「あ、はい……」
「そうか。わ、悪いことをしたな。すぐに軍隊は撤退させる。心穏やかに過ごすことだ。そうすれば黒髪に戻るだろう」
「ならいいんですけど……」
名前を尋ねてくるジャン・クロードに答える。
彼は申し訳なさそうに頬を掻いて背中を向けてくる。完全に僕らを敵とみていない様子だ。
エルフ達はみんな唖然としつつも戦いが終わってホッとしている。
「あぁ? 何を甘っちょろいことを言っておるんじゃ! お前達がやっているのは戦争だぞ! もっと殺し合え! ののしり合え! おままごとをやってんじゃねえぞ!」
僕もホッとしていると空から声が落ちてくる。さっきまで爽やかな青空だったのに、黒い雲がかかってる。
落雷がなり、辺りに落ちる。エルフが焼け焦げて倒れていく。
「オルディナか?」
「あぁ? ジャン・クロード。お主のせいで色々と台無しじゃよ」
ジャン・クロードの呟きで空の声の主が答える。
オルディナってことはゼグラデムか。そう思っていると空に奴が現れる。ゼグラデムと4人の教授が空から降りてくる。
「あぁ~、予定が台無しじゃ! ムラタを回収して洗脳する計画だったというのに! 殺しもせずに撤退! 何をやっておるんじゃ!」
「ちぃ、ずっと見ていたな?」
「そりゃそうじゃろ! こんなに楽しい戦争は久しぶりじゃったからな! 豆を食べながら見ておったわ! 美味しい所だけをいただこおと思っておったのに!」
地団駄を踏むゼグラデム。ジャン・クロードは呆れながらもゼグラデムに手を差し出す。
「俺に免じて身を引け。こいつは俺の姉さんを生き返らせた男だ。殺させるわけにはいかねえ」
「フォッフォッフォ。あまっちょろいクソガキエルフが。無駄に長い時間生きおってからに。そんな武器で殺せると思っておるのか?」
差し出した手から刃が放たれる。鋭くゼグラデムに迫る刃。彼と奴の間に見えない壁があって、刃が中空で止まる。
「結界じゃよ。教授3名の力じゃ。お主ならば壊せるじゃろうが。儂を殺すことはできん。シロンがすぐに回復させてしまうからな」
ゼグラデムは自慢げに手札を見せてくる。仲間を前面に出して使うのか。僕と戦い方は似てる。
「生き人形をつかう。悪趣味だな」
「フォッフォッフォ。誉め言葉と受け取っておこう。そちらのムラタを同じようなものじゃからな」
ジャン・クロードの言葉に髭を撫でながら笑うゼグラデム。二人とも余裕を見せて笑ってる。
しばらく笑うと結界が割れて、ゼグラデムの胸にナイフが刺さった。
「なんだ、簡単だな」
「ぐふっ。流石ということか」
一瞬の刹那の出来事。目を凝らしてやっと見えた姿は、ジャン・クロードが2度ゼグラデムを突こうとしたことだ。ナイフを突き立てるまで脳が理解していなかった。あれを僕は躱してた? 凄いな僕……。
「回復します」
シロンと言われた女性が回復していく。それをただただ見つめるジャン・クロード。回復を確認すると再度突き刺す。
「ごふっ。いい趣味をしているのう。じゃが、老人を虐めるのはやめておいた方がいい。さもなければ」
「さもなければなんだ?」
「ぎゃあ!?」
ゼグラデムが痛みで声を上げる。強がる彼を更に痛みつけるジャン・クロード。こんな人と最後まで戦っていたら、僕がああなっていたのか。白髪どころか、髪の毛がなくなる所だったな。
「……ふふふ、フォッフォッフォ。こんなことになるぞ!」
ゼグラデムは何度さされても生き返ることはなかった。
安心してみていた僕らは周りの異変に気が付く。
「撤退しろといっただろ」
「学院長の命令だ! こいつらを殺せ!」
迫りくるエルフの軍勢。ジャン・クロードの声も届かない。ただただ僕らに迫ってくる。
「ゼグラデム! 何をした!」
「フォッフォッフォ。儂を大切なものにしたんじゃよ。ただそれだけの洗脳じゃ」
ジャン・クロードが声を上げる。ゼグラデムは素直に答えて笑い声をあげる。
彼は奴の胸ぐらを掴む。そして地面に叩きつける。何度も何度もシロンさんが回復させる。痛みが一生続く、地獄だ。
「では高見の見物をさせてもらおうか」
「逃がすわけがないだろ!」
「それが出来てしまう。お前のような強者からも余裕でな!」
ゼグラデムはジャン・クロードに胸ぐらを掴まれながらも、テレポーテーションで消える。
いつの間にか教授と言われた人とシロンさんも消えてる。
「さあ、エルフの英雄ジャン・クロード。この場のすべての者を救ってみよ。英雄なら出来るだろ?」
空からの声が戻る。降り注ぐ声を見上げていると空の雲の間から大きな岩の塊が現れる。まるで神の拳かのような大きな塊。まっすぐこっちに落ちてきているように見える。
「メテオ……」
ジャン・クロードは呟いて空へと飛びあがる。中空を蹴って飛び上がっていく。
「はじけろ!」
その声と共に神の拳が弾ける。岩の散弾が僕らを襲う。エルフの軍勢にも岩つぶてが遅い、犠牲が生まれる。
「やってくれる」
ジャン・クロードはそう言って光の膜を作り出す。膜を回転させて広く大きくさせていく。まるで結界。
エルフの軍勢も囲う光の結界が岩つぶてから僕らを守ってくれる。
「……ハァハァ。この大きさは堪える。姉さん、アユム。少しの間、守ってくれ」
岩つぶてが結界と音を奏でる中。ジャン・クロードが目を瞑って寝息を立てる。マナを多く消耗して疲れが出ちゃったみたいだ。
僕に迫ってくる洗脳されたエルフ。戦争を回避できそうだったのに、なんてことをしてくれるんだ。ゼグラデムは。
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