転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第8話 ランク

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「ふふ、そうなのね。マイトは街を堂々とハイハイしていたの」

「そうなの。みんな不思議そうに見つめるだけで誰も助けようとしてなくて、だから私が」

 森へと歩いている間、お母さんはムギちゃんから話を聞いてる。なんだか恥ずかしいけど、あの時は急いでいたんだよ。まあ、軽率だったかもだけど。

「さあ、二人ともついたわ。ここで採取しましょ」

「ダブ!」

「はい」

 森に到着して早速採取を開始。元気に答えた僕とムギちゃんに優しく微笑むお母さん。子供が増えたようなそんな心境なのかな。楽しそうで何より。

「魔法の草10と薬草が10。Eランクの依頼だね」

 依頼には冒険者と同じようにランクが設定されてる。Eから始まって、D、C、B、A、Sって感じに上がる。上に行けば上に行くほど難しい依頼ってこと。

「二つ合わせて銀貨一枚の依頼なのよ」

「そうなんだ~。あっ、私は報酬いらないから」

「そういうわけにはいかないわ。ちゃんと半分こよ」

「ダメ。今日はちゃんとしたパーティーじゃない」

 報酬に関して二人で言い合いになっちゃった。パーティーになったんだからちゃんと分け合わないとね。

「バブ!」

「どうしたのマイト」

「バブバブ!」

 言い争っているので僕はムギちゃんの足に抱き着く。すぐにムギちゃんが抱き上げてきたので頬をぺちぺちと叩く。

「ほら、マイトも報酬を受け取ってほしいって言ってるわ。探していたお礼がしたいのよ」

「ほんと?」

「バブ!」

 お母さんの指摘にムギちゃんが確認を取ってきた。そうだよと元気に答えると頬を朱に染めて『ありがとう』って呟いた。お母さんと一緒に微笑むとさらに赤くなっていった。可愛い子だな~。

「魔法の草あったよ~」

「こっちは薬草。これで全部ね」

 薬草はHPを回復させるポーションに出来る。魔法の草はマナポーションっていうMPを回復させるポーションになる。どれも冒険者には欠かせないアイテムだからいくらでも売れる。ギルドには必ず張られる依頼ってことになってるみたい。

「少し多めに持って行ってもいいんだけど、それなら十ずつのほうがいい。そうすれば依頼をもう一回受けるのと同じ報酬になる」

「へ~、少ないとやすくなっちゃうのね。わかったわ」

 ムギちゃんの説明に僕とお母さんは頷いた。ムギちゃんは結構物知りだな~。

「そういえばムギは魔法使いなのよね。どんな魔法が使えるの?」

「うっ……、まだ魔法は使えない。ごめんなさい」

「え? なんで謝るの? 使えないなら私も一緒に覚えようかしら」

「怒らないの?」

 ムギちゃんは申し訳なさそうに伏し目がちになった。お母さんと僕は顔を見あって首を傾げる。

「冒険者ギルドで何かあったの?」

「……魔法使いのくせにって言われて怒られて、いつも一人だった。だから」

「ダブ!」

「なるほどね」

 ムギちゃんはいじめられていたってことか。まったく、同じギルドの一員なんだから育てあえばいいのにな。

「因みになんだけどねムギちゃん」

「はい」

「誰でも魔法って覚えられるの?」

「えっと、一応みんな覚えられます。生まれついてみんな自分にあった職業が決まってる。職業で覚える難易度が違うから覚えられない人もいるかも」

 なるほどなるほど、そんな適性が存在しているのか。僕もそうってことだけどどうなんだろう?

「その適正はどこで見られるの? マイトなら全てに適性があると思うんだけどみたいわ」

 僕を見つめて話すお母さん。僕も気になるけど、お母さんは知らないみたいだった。世界の常識っぽいんだけどな。

「教会でお金を払わないと見てもらえない。ルルは見てもらってない?」

「う~ん、ムギになら言ってもいいかしらね。私たちは奴隷だったの。だから、そういうものがあると言うのも知らなかったわ」

「えっ! 奴隷?」

 ムギちゃんは凄い驚いてる。少しすると落ち着いたみたいで口を開いた。

「じゃあ、奴隷が逃げたって噂になってるのが?」

「そうよ。マイトが助けてくれたっていうのはそれよ」

「でも、どうやって、奴隷には首輪が」

「あれは鍵があれば外せるのよ」

「そ、そうなんだね」

 視線が泳ぐムギちゃん。彼女みたいな優しい子でもこうなるんだ。奴隷は自由になっちゃダメなのかな?

「わかってると思うけど、人に言っちゃだめよ。私とマイトが捕まっちゃうから」

「うん。わかってる。だけど、なんで私に」

 視線を泳がしていたムギちゃんだったけど、お母さんの言葉に真剣に答える。
 僕とお母さんは顔を見合って彼女を見つめた。

「あなたはとても優しいわ。自分はいじめられたのにマイトを助けてた。思っていた通り、奴隷って言っても少しの動揺だけだった。だから教えたの。あなたなら私たちの仲間になってくれるって思ったの」

「……二人よりは優しくないよ」

 素直に褒められてムギちゃんは顔を赤くさせて、僕らを褒めてきた。僕らはともに顔を見あって微笑む。

「お金をためてみんなで教会にいこ」

「そうね」

 改めて握手をしあった。僕は頭を撫でてもらいました。
 僕らは薬草と魔法の草を採取して帰路に立った。
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