12 / 23
第12話 ラフレイシア
しおりを挟む
オォォォォ、枯れ木ばかりの森にそんな声がこだました。ゾンビやスケルトンが植物のような女性を囲む。
「私はラフレイシア。罠にはめた動物を食べる魔物よ」
「バブ?」
急に名乗ってきたラフレイシア。僕は首を傾げる。
「ただの餌だと思って名乗らなかったのだけど、違うみたいだからね。名乗らせてもらうわ。あなた見込みがあるわ。私のマスターにならない?」
ふむふむ、分が悪いと思って交渉したいってことか。
人も食べるような魔物と仲間になるのはな~。
「生まれたばかりで消滅はしたくないのよ。こんな数の死体達を操るなんて尋常じゃないわ、あなた。私を吹き飛ばしたのもおかしいし。どうかしら?」
「バブ?」
「も、もちろん、人を襲わないって誓うし、契約もする。何なら人の作ったものを食べるとかにするわ。植物だけど魔物だから人と同じものでも生きられるから」
焦るように懇願してくるラフレイシア。まあ、話せる相手を倒すのも気が引けるかな。
「バブ」
「え? いいってこと?」
「バブバブ」
頷いて声をあげるとラフレイシアは万歳をして泣きだした。
「良かったよ~。生まれてすぐに死ぬところだったよ~」
そういえば初めての食べ物が僕とか言っていたな~。でも、この子を飼えるほど、お金に余裕はないんだけどな。
「がう! ぐるるる」
「あら? 食べ物!」
「バブ!」
「え? ダメなの? でもお腹が。森はこれ以上枯らせられないし。お腹空いたよ~」
熊さんが僕を追いかけてきてラフレイシアを睨みつけて威嚇してる。丸い尻尾が垂れているからビビってはいるみたいだね。
ラフレイシアが食べたそうにしてきたので怒ると彼女はお腹を抑える。
熊さんは僕を心配してきてくれたからね。流石に食べさせるわけにはいかない。
「バブバブ!」
「ええ~。死肉はちょっと~」
スケルトンたちを指さしてラフレイシアを見ると何を言いたいのか分かったみたいで首を横に振った。流石に死肉は嫌みたいだ。しょうがない、マシューの屋敷が近いからそこに連れていくか。
「バブバブ」
「ちょ、マスター。どこ行くのよ~」
声をあげてマシューの屋敷へ歩き出す。夜が明けてしまうので急ぎたいんだけど、僕のスピードにはついてこれないだろうから普通のハイハイ。
「マスター、どっちに行けばいいのか言ってくれれば私が歩くわよ~」
早くいきたいと思ったらラフレイシアが僕を抱き上げた。
「熊もついてきてるけど、マスターはテイマーでもあるのかしら?」
「バブ?」
「がう」
気が付くと熊さんもついてきてた。僕と熊さんは一度拳を交え合った仲。もう友になっているようだ。
生まれたばかりのくせに色々と物知りなラフレイシア、テイマーなんているんだな~。
「動物と仲良く出来て、動物を強化できるらしいわ。私は魔物だからテイマーについてはそのくらいしかわからないけど」
歩きながら解説してくれた。ほうほう、テイマーは魔物じゃなくて動物を強化できるのか。ネズミさんやリスさんが近づいてきたのはそういうことなのかな? 僕にはテイマーの素質があるってことかも。
「でも、マスターは死霊魔法が使えるから違うと思うんだけどな~。適性が複数ある人って稀だし~」
そうこう話している間に屋敷が見えてきた。夜も深くなってきたので嫌な雰囲気の屋敷、まあ実際に仲にはゾンビとかグールとかいろいろいるからお化けの類は出てるんだけどね。
「なんだか嫌な屋敷ね~。マスターには似合わないわ」
豪華なお庭を抜ける。庭の整備もゾンビがやっている。花壇をいじるゾンビ、なんだか変な感じ。
屋敷の中に入って隅々まで物色、キッチンに食べ物があったけど、少し痛んでいた。キッチンには流石にゾンビはいないけど、通路とかにはゾンビやスケルトンが複数いた。みんな掃除しっぱなしでいい子たちばっかだ。
「あったわ~。鶏の卵~。鶏を飼っているみたいね」
僕をキッチンのテーブルに置くとラフレイシアが食べ物を見つける。ゾンビ達は飼っている動物の世話もしているみたいで卵は新鮮でミルクも常備してあった。なかなか便利な死霊魔法の使い方だな~。
「んきゅきゅ。ぷは~、それにしても流石マスターね。ゾンビたちそれぞれに魔石をはめて空気からマナを補給させているなんて。戦闘さえさせなければあれだけのマナで言切れるものね」
ラフレイシアがミルクを飲みながらそんなことを言って来た。別に僕がやったことでもないけど頷いておこう。僕もミルクともらう。流石にお腹がすきました。
「がう」
「ああ、そうだったわね~。マスターの動物にもあげないとね」
熊さんもキッチンに入ってきたのでミルクを一瓶ボールにあける。美味しそうになめていく熊さん。
「それでマスター、こんな快適な場所に案内してどうするんですか?」
「バブ?」
どうするって言われてもな~。お腹が空いたっていうから連れてきただけなんだけど。
「私って木の属性の頂点の魔物なので戦闘とかが好きなんですけど」
悩んで腕を組んでいるとラフレイシアがそういってきた。頂点とな、それは凄い。
「まあ、生まれたばかりで弱かったのもあるけど、マスターと会ったのが運のつき。平和に過ごすのもいいかなって考えを買えたんですけどね、はは」
生気のない目で遠くを見つめるラフレイシア。うむ、僕は偉大だ。頂点の魔物を改心させてしまったようです。とにかく、ラフレイシアと熊さんにはここで暮らしてもらおうかな。
「ええ、じゃあ。ここでこの熊と暮らすんですか。魔王にもなれる私が……」
ラフレイシア僕のジェスチャーを読み取ってそういってきた。しばらくはここに滞在してもらおう。おかあさんに紹介するのはまた今度ってことで。
とりあえず、死霊魔法の性能とステータスの凄さは実感できたかな。
早く帰ってお母さんの目覚める前に布団に戻らないと。
「私はラフレイシア。罠にはめた動物を食べる魔物よ」
「バブ?」
急に名乗ってきたラフレイシア。僕は首を傾げる。
「ただの餌だと思って名乗らなかったのだけど、違うみたいだからね。名乗らせてもらうわ。あなた見込みがあるわ。私のマスターにならない?」
ふむふむ、分が悪いと思って交渉したいってことか。
人も食べるような魔物と仲間になるのはな~。
「生まれたばかりで消滅はしたくないのよ。こんな数の死体達を操るなんて尋常じゃないわ、あなた。私を吹き飛ばしたのもおかしいし。どうかしら?」
「バブ?」
「も、もちろん、人を襲わないって誓うし、契約もする。何なら人の作ったものを食べるとかにするわ。植物だけど魔物だから人と同じものでも生きられるから」
焦るように懇願してくるラフレイシア。まあ、話せる相手を倒すのも気が引けるかな。
「バブ」
「え? いいってこと?」
「バブバブ」
頷いて声をあげるとラフレイシアは万歳をして泣きだした。
「良かったよ~。生まれてすぐに死ぬところだったよ~」
そういえば初めての食べ物が僕とか言っていたな~。でも、この子を飼えるほど、お金に余裕はないんだけどな。
「がう! ぐるるる」
「あら? 食べ物!」
「バブ!」
「え? ダメなの? でもお腹が。森はこれ以上枯らせられないし。お腹空いたよ~」
熊さんが僕を追いかけてきてラフレイシアを睨みつけて威嚇してる。丸い尻尾が垂れているからビビってはいるみたいだね。
ラフレイシアが食べたそうにしてきたので怒ると彼女はお腹を抑える。
熊さんは僕を心配してきてくれたからね。流石に食べさせるわけにはいかない。
「バブバブ!」
「ええ~。死肉はちょっと~」
スケルトンたちを指さしてラフレイシアを見ると何を言いたいのか分かったみたいで首を横に振った。流石に死肉は嫌みたいだ。しょうがない、マシューの屋敷が近いからそこに連れていくか。
「バブバブ」
「ちょ、マスター。どこ行くのよ~」
声をあげてマシューの屋敷へ歩き出す。夜が明けてしまうので急ぎたいんだけど、僕のスピードにはついてこれないだろうから普通のハイハイ。
「マスター、どっちに行けばいいのか言ってくれれば私が歩くわよ~」
早くいきたいと思ったらラフレイシアが僕を抱き上げた。
「熊もついてきてるけど、マスターはテイマーでもあるのかしら?」
「バブ?」
「がう」
気が付くと熊さんもついてきてた。僕と熊さんは一度拳を交え合った仲。もう友になっているようだ。
生まれたばかりのくせに色々と物知りなラフレイシア、テイマーなんているんだな~。
「動物と仲良く出来て、動物を強化できるらしいわ。私は魔物だからテイマーについてはそのくらいしかわからないけど」
歩きながら解説してくれた。ほうほう、テイマーは魔物じゃなくて動物を強化できるのか。ネズミさんやリスさんが近づいてきたのはそういうことなのかな? 僕にはテイマーの素質があるってことかも。
「でも、マスターは死霊魔法が使えるから違うと思うんだけどな~。適性が複数ある人って稀だし~」
そうこう話している間に屋敷が見えてきた。夜も深くなってきたので嫌な雰囲気の屋敷、まあ実際に仲にはゾンビとかグールとかいろいろいるからお化けの類は出てるんだけどね。
「なんだか嫌な屋敷ね~。マスターには似合わないわ」
豪華なお庭を抜ける。庭の整備もゾンビがやっている。花壇をいじるゾンビ、なんだか変な感じ。
屋敷の中に入って隅々まで物色、キッチンに食べ物があったけど、少し痛んでいた。キッチンには流石にゾンビはいないけど、通路とかにはゾンビやスケルトンが複数いた。みんな掃除しっぱなしでいい子たちばっかだ。
「あったわ~。鶏の卵~。鶏を飼っているみたいね」
僕をキッチンのテーブルに置くとラフレイシアが食べ物を見つける。ゾンビ達は飼っている動物の世話もしているみたいで卵は新鮮でミルクも常備してあった。なかなか便利な死霊魔法の使い方だな~。
「んきゅきゅ。ぷは~、それにしても流石マスターね。ゾンビたちそれぞれに魔石をはめて空気からマナを補給させているなんて。戦闘さえさせなければあれだけのマナで言切れるものね」
ラフレイシアがミルクを飲みながらそんなことを言って来た。別に僕がやったことでもないけど頷いておこう。僕もミルクともらう。流石にお腹がすきました。
「がう」
「ああ、そうだったわね~。マスターの動物にもあげないとね」
熊さんもキッチンに入ってきたのでミルクを一瓶ボールにあける。美味しそうになめていく熊さん。
「それでマスター、こんな快適な場所に案内してどうするんですか?」
「バブ?」
どうするって言われてもな~。お腹が空いたっていうから連れてきただけなんだけど。
「私って木の属性の頂点の魔物なので戦闘とかが好きなんですけど」
悩んで腕を組んでいるとラフレイシアがそういってきた。頂点とな、それは凄い。
「まあ、生まれたばかりで弱かったのもあるけど、マスターと会ったのが運のつき。平和に過ごすのもいいかなって考えを買えたんですけどね、はは」
生気のない目で遠くを見つめるラフレイシア。うむ、僕は偉大だ。頂点の魔物を改心させてしまったようです。とにかく、ラフレイシアと熊さんにはここで暮らしてもらおうかな。
「ええ、じゃあ。ここでこの熊と暮らすんですか。魔王にもなれる私が……」
ラフレイシア僕のジェスチャーを読み取ってそういってきた。しばらくはここに滞在してもらおう。おかあさんに紹介するのはまた今度ってことで。
とりあえず、死霊魔法の性能とステータスの凄さは実感できたかな。
早く帰ってお母さんの目覚める前に布団に戻らないと。
11
あなたにおすすめの小説
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる