転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第17話 

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「それで話って?」

 お母さんが僕を抱きしめながらラフレイシアを睨みつける。取られまいとしている感じでほっこりしているとラフレイシアが口を開いた。

「あのスタンピードは大物が操っています」

「え?」

 ラフレイシアの言葉にお母さんが驚きの声をあげる。
 お母さん的にはなんで私にって事だろうな。一般人に言っても仕方ないことだからね。

「なんでそれを私に?」

「ふふ、それは。そのお方のお母様だからよ」

「……マイト?」

 ラフレイシアが僕を指さしてきた。お母さんは首を傾げて僕を見る。

「そのお方はあなたが思うよりも凄いお方なのよ」

「……あなたがマイトのなにを知っているっていうの」

 バチバチと視線がぶつかる。遠くで見ているムギちゃん達がソワソワしているよ。

「あなたにその方の保護者は務まらないと思うのよ」

「……あなたなら務まるっていうの?」

「ふふふ」

「バブ!」

「痛い! 何をするんですかマスター」

 ラフレイシアが偉そうに言っていたから思わず拳骨してしまった。彼女がとんでもないことを口走っちゃった。お母さんは驚いてる。

「マスターって……、マイトのこと? マイト、あなたこの人と何があったの?」

「ダブ!」

「ああ、すみませんマスター。でも今のはマスターも悪いですよ。いきなり、殴るんですもん。でも、そんなマスターもいいです」

 頬を膨らませて怒っているとラフレイシアが弁解してきた。いやいや、そもそもなんでここに来たのさ。

 っていうか、少し会わない間にラフレイシアの様子が変わった? 話し方も少しおかしいような。

「これはどういうことなの!」

「お母様ならば行っても大丈夫でしょう。私はマスターの従魔、木の魔王ラフレイシア。お見知りおきを」

 ラフレイシアが本当の事を言ってしまった。お母さんはそれを聞いて驚いて僕を見つめる。
 って魔王の素質があっただけじゃないのね。魔王そのものってやばい子だな。

「……もう、なんでそうなったのかとか聞くのも怖くなってきたわ。もういいから、本題に入ってちょうだい」

 机の上に僕を座らせるとお母さんは大きなため息をついて僕を睨んできた。それから本題に入るようにラフレイシアもにらんでいるよ。
 僕は頬を膨らませてラフレイシアを睨みつける。てへぺろしても許さないぞ~、まったく。

「ゴブリン達、亜人種が騒いでいるのは知っていますね。それを率いているのが亜人種の魔王かもしれないんですよ」

「亜人種の魔王?」

 魔王がもう一人いるってこと? そんなに頻繁に魔王が現れるなんておかしいでしょ。

「魔王っていうのは一定の周期で現れるものなんです。人側のように周期関係なく現れる勇者や英雄と違って。まあ、今回はマスターに反応したんだと思いますがね」

「マイトに反応?」

「そうよ。マスターは偉大だからね。だから、あなたには任せられないの。よかったら引き受けるわよ」

 またもや、挑発をするラフレイシア。お母さんへの挑発は許さん。ラフレイシアの頭にもう一発拳骨をくらわす。

「じょ、冗談ですよ。マスター。それよりも周りに見られていますけどいいんですか?」

 拳骨が痛くて涙目になったラフレイシア。周りはいいのと牽制してきたけど、構わずもう一回殴ってあげた。まったく、お母さんへの侮辱は許さないぞ。

「うう、痛い。まあ、そういうことでこの街は危ないんです。冒険者も私の生まれた森に来ていましたし、あれはなかなか高レベルの冒険者でした。それで力を隠しているマスターだったので忠告に来たんです」

「じゃあ、枯れ木の多い森って」

「はい、私が養分を吸いましたから。もっと多くの栄養を得ようと人を食べようと思って罠を仕掛けていたらマスターに倒されちゃって。その時に使っていた、疑似餌の力で今は変装しています」

 やっぱり、枯れ木の森ってラフレイシアのせいなのか。
 真実を語っていくラフレイシアにお母さんは驚くばかり、驚くたんびに僕を見つめてきて、僕はそっぽを向くことしかできない。勝手に行動してごめんなさい。

「亜人の魔王っていうのはそんなに強いの?


「生まれたばかりならば、本体はあなた達でいうところのAランク程でしょうか。私も最近生まれたばかりだからわかりませんけどね。この知識は本とかで見させてもらいました。人間は知識を蓄えるすべを多く持っていますから便利ですね。ちなみに木の魔王なので複製もお手の物です」

 手から本を何冊か作り出して得意げに話すラフレイシア。この世界の本は結構貴重なものだから、それだけでもチートだぞ、たぶん。僕も生まれて1歳にもなっていないのでわかりません。

「高ランクの冒険者はみんな街の外、私なら街を包囲して、一気に攻める。街の外の高ランクの冒険者は見つけ次第、囲んで終わりですからね」

「城壁があればこそってことね」

「そうです。あなたもなかなかわかっているのね」

 感心するラフレイシア。お母さんの過去が気になるところだけど、今はそれどころじゃない。

「バブ! バブバブ!」

「え? 逃げないんですか? じゃあ、やっちゃいます? 私も手伝いますよ」

「あなたが手伝ってくれるなら、少しいい手があるわ」

 僕の言葉を読み取ったラフレイシアが手伝うというとお母さんが悪い顔をして、彼女の肩を掴んだ。

「あなたは今から高レベルの旅芸人よ。冒険者ギルドに入っていないから早々バレないわ」

「なるほど。私がマスターの代わりに強いってことにして始末するってことですね」

「そういうこと。ってあんた強いんでしょ? 一人でやればいいのよ」

「嫌です。マスターが一緒じゃないとやりませんよ」

 お母さんの名案にラフレイシアが怒って僕を抱き上げた。返さないという意思を感じる。

「ダメよ。マイトに危険なことはさせられない」

「少しくらいいいでしょ。あんたはいつも一緒にいたんだから」

「ムギャ! ムギュ!」

 押したり引いたりと僕の手を引っ張る二人。時折当たる胸が何とも気持ちいい。だけど、腕が痛いです。

「マイトが可哀そう!」

 ガヤガヤと二人が争っているとムギちゃんが助けに来てくれた。僕を抱きしめると二人から離れて声をあげる。

「マイトは渡さない!」

「ムギ……」

「何なのこの子……」

 ムギちゃんは僕を抱きしめてビーン達のもとへ。喧嘩両成敗ってことだね。致し方なし。
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