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第一章 異世界
第二十四話 熊との闘い
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「ん?攻撃してこない?」
身構えたのはいいものの、洞窟を出て俺達と対峙したというのに二匹の魔物はのんびりとしている。鹿は蹄をならしているし、熊は昼寝の体勢だ。緊張していた俺達が馬鹿のよう。
「依頼を受けちまってるから結局はやりあうことになる。ポロロ、ロングソードをもう一本くれ」
「あっ、はい」
「じゃあ俺は盾を」
オッズが今のうちにと洞窟内で拾った剣を求めた。俺もついでに盾をねだる。怖いから盾というわけではない。俺は今日からタンクだからな。という事で、
「薄々気づいていたんですけど、タツミさんって特殊スキルを持っているんですか?」
「ん、あ~まあね。あんまり公にしないでね」
オラストロ騎士、正式鎧をフル装備した。タンクといったらフルプレート、盾は入手できていなかったのでポロロちゃんにもらったわけです。剣はオラストロ騎士の物なのでなかなかいい切れ味だぞ。
「前は任せろ」
「心強いです」
俺とオッズは改めて二匹の魔物と対峙した。すると、先ほどと違って二匹の目つきはやる気を帯びていた。そして、三眼熊がこちらに火の魔法を放ってくる。
「ぐっ!」
「きゃ! 無詠唱でファイアボール・・・あの熊、私より強いかも・・」
火の魔法はファイアボールというらしい、バスケットボールほどの炎が向かってきたので盾でガードすると凄い衝撃だった。フルプレートの重量のおかげで踏みとどまったがかなり危ない威力だ。
「あちらさんもやる気になったみたいだな」
「そうだな、じゃあこちらも行きますか!」
オッズが目配せして走り出した。最初に攻撃するのは熊だ。トライホーンは何故か距離をとって壁のようにせりあがっている大地で待機し始めた。視線は俺達を捉えている。
こちらとしてはありがたいが何を考えているのかわからない。
洞窟の罠がトライホーンの策だとしたら警戒しておいた方がいいだろう。そんな余裕はないがな。
「効かないかもしれないけど・・・・火よ。静かな火よ。我が敵の目を奪い、混乱の火を灯せ![ファイアミスト]」
おなじみのファイアミスト、火の粉が三眼熊を覆う。
「俺が突っ込む、それに合わせて切り込んでくれ」
「ああ」
盾を両手で構えて火の粉の霧に突っ込む。俺の背後にはオッズが両手に剣を携えてついてきている。
盾が火の霧に差し掛かると衝撃が走った。まるで巨石にでも当たったかと思うほどの衝撃で鉄でできた盾が歪む。
「ハア!」
衝撃を受けても俺は大丈夫だった。その俺の肩を踏み台にして大きく跳躍したオッズが剣を振り下ろす。しかし、そこには熊はいなかった。
「な!」
衝撃は熊ではなくただのファイアボールだった。熊は俺達が迫る中、火の粉から逃れていたんだ。奴にファイアミストは効かない。
「タツミさん、盾は大丈夫そうですか?」
「ああ、少し歪んだだけだ。熱も相まって歪んだんだな」
オッズが肩に手をかけて盾の心配をした。盾は心もとなくひしゃげている。
「鹿がなにもしてこない、今がチャンスです」
「ああ、そうだな」
オッズは耳元で囁く、人間相手でもないのになんで小声なのか気になったがオッズも洞窟の事が気掛かりなのだろう。頭がいい鹿だと警戒しているのだ。
「また同じように行くぞ」
「ええ」
今度はファイアミストなしで熊に迫る。代わりのファイアがアイサから放たれるがそよ風でも吹いているかのように無視をする熊、余裕が目に見える。
「キャッン!」
もう目の前に熊が来ていた時に地鳴りのような音が鳴り響いた。ビリビリと俺達を刺激する音の振動、その振動はもちろん、熊にも及んでいた。
「いってえ・・」
「あいつが出したのか・・」
熊の視線を追うと鹿が凛と立っていた。熊に足元を見て見ろと言わんばかりに顎を上下させている。俺達もその仕草につられて熊の足元を見ると粘着質の糸のようなもので地面に接着されていた。熊は力を込めてやっと引きはがす。
「ルキアの着ぐるみか・・」
ジャンクスパイダーの着ぐるみでルキアは動いていた、どうやらルキアがあの粘着性の糸を出していたようだ。ポロロちゃんと一緒に待機させたのだが、動いてしまったようだ。しかし、いつの間に。それに気づく鹿も尋常ではないな。
「ルキアはどこだ?」
「あい!」
いつの間にか俺の足に引っ付いていた。ルキアは自分の居場所と言わんばかりに足に引っ付いている。
「あんまり危険なことをしてほしくないんだけどな」
「たたかう!」
「はは、聞く耳持たないってさ」
ルキアにはあんまり戦ってほしくないんだが、本人はやる気満々のようだ。オッズに笑われてしまったよ。
「仕方ない! 二人とも行くぞ!」
「お~」「応っ」
再度、俺を先頭に熊へと突進していく、先ほどと同じように熊の足へ、ルキアが糸をかけた。ルキアは腕から糸を出すようだが、どこのアメコミかな? 着ぐるみの性能は計り知れん。熊は俺の剣を警戒しながらも糸をよけて盾を受けた。ギリギリと盾と熊の爪が音を奏でる。
「もらった!」
オッズが俺の盾を持つ手の方から出て熊の手を十字に切り付けた。熊は寸でで躱そうと試みたがポタポタと血を落とした。
「まずは一勝だな」
「ああ、しかし、熊は早めに仕留めないと・・」
熊はそれほど、強くはない。正攻法でいけば、勝てそうだ。しかし、トライホーンは計り知れない。奴には知能と経験、それに単純な強さを感じる。素人の俺が言うのもなんだけど、見た目の威圧感が奈良の鹿とかと段違いだ。三又に分かれた角が強者を模している。あんなの突き刺さったらひとたまりもないだろうな。
「まだ、あちらさんは一人でやるみたいだな」
熊は一度トライホーンを見るとトライホーンは顎をクイッと動かして微動だにしなかった。熊にやらせるつもりだ。
「助かるが、いやな感じですね・・」
「ああ、まるで狩りのやり方を教えているような・・そんな感じだな」
アニメ大好きな俺からしたらこういう話は何回もみた。パワーレベリングとは違うがそんな感じだろう。あの罠といい、やはり、今までのすべての出来事はあのトライホーンの仕業なんだろうと確信に近づいていく。
身構えたのはいいものの、洞窟を出て俺達と対峙したというのに二匹の魔物はのんびりとしている。鹿は蹄をならしているし、熊は昼寝の体勢だ。緊張していた俺達が馬鹿のよう。
「依頼を受けちまってるから結局はやりあうことになる。ポロロ、ロングソードをもう一本くれ」
「あっ、はい」
「じゃあ俺は盾を」
オッズが今のうちにと洞窟内で拾った剣を求めた。俺もついでに盾をねだる。怖いから盾というわけではない。俺は今日からタンクだからな。という事で、
「薄々気づいていたんですけど、タツミさんって特殊スキルを持っているんですか?」
「ん、あ~まあね。あんまり公にしないでね」
オラストロ騎士、正式鎧をフル装備した。タンクといったらフルプレート、盾は入手できていなかったのでポロロちゃんにもらったわけです。剣はオラストロ騎士の物なのでなかなかいい切れ味だぞ。
「前は任せろ」
「心強いです」
俺とオッズは改めて二匹の魔物と対峙した。すると、先ほどと違って二匹の目つきはやる気を帯びていた。そして、三眼熊がこちらに火の魔法を放ってくる。
「ぐっ!」
「きゃ! 無詠唱でファイアボール・・・あの熊、私より強いかも・・」
火の魔法はファイアボールというらしい、バスケットボールほどの炎が向かってきたので盾でガードすると凄い衝撃だった。フルプレートの重量のおかげで踏みとどまったがかなり危ない威力だ。
「あちらさんもやる気になったみたいだな」
「そうだな、じゃあこちらも行きますか!」
オッズが目配せして走り出した。最初に攻撃するのは熊だ。トライホーンは何故か距離をとって壁のようにせりあがっている大地で待機し始めた。視線は俺達を捉えている。
こちらとしてはありがたいが何を考えているのかわからない。
洞窟の罠がトライホーンの策だとしたら警戒しておいた方がいいだろう。そんな余裕はないがな。
「効かないかもしれないけど・・・・火よ。静かな火よ。我が敵の目を奪い、混乱の火を灯せ![ファイアミスト]」
おなじみのファイアミスト、火の粉が三眼熊を覆う。
「俺が突っ込む、それに合わせて切り込んでくれ」
「ああ」
盾を両手で構えて火の粉の霧に突っ込む。俺の背後にはオッズが両手に剣を携えてついてきている。
盾が火の霧に差し掛かると衝撃が走った。まるで巨石にでも当たったかと思うほどの衝撃で鉄でできた盾が歪む。
「ハア!」
衝撃を受けても俺は大丈夫だった。その俺の肩を踏み台にして大きく跳躍したオッズが剣を振り下ろす。しかし、そこには熊はいなかった。
「な!」
衝撃は熊ではなくただのファイアボールだった。熊は俺達が迫る中、火の粉から逃れていたんだ。奴にファイアミストは効かない。
「タツミさん、盾は大丈夫そうですか?」
「ああ、少し歪んだだけだ。熱も相まって歪んだんだな」
オッズが肩に手をかけて盾の心配をした。盾は心もとなくひしゃげている。
「鹿がなにもしてこない、今がチャンスです」
「ああ、そうだな」
オッズは耳元で囁く、人間相手でもないのになんで小声なのか気になったがオッズも洞窟の事が気掛かりなのだろう。頭がいい鹿だと警戒しているのだ。
「また同じように行くぞ」
「ええ」
今度はファイアミストなしで熊に迫る。代わりのファイアがアイサから放たれるがそよ風でも吹いているかのように無視をする熊、余裕が目に見える。
「キャッン!」
もう目の前に熊が来ていた時に地鳴りのような音が鳴り響いた。ビリビリと俺達を刺激する音の振動、その振動はもちろん、熊にも及んでいた。
「いってえ・・」
「あいつが出したのか・・」
熊の視線を追うと鹿が凛と立っていた。熊に足元を見て見ろと言わんばかりに顎を上下させている。俺達もその仕草につられて熊の足元を見ると粘着質の糸のようなもので地面に接着されていた。熊は力を込めてやっと引きはがす。
「ルキアの着ぐるみか・・」
ジャンクスパイダーの着ぐるみでルキアは動いていた、どうやらルキアがあの粘着性の糸を出していたようだ。ポロロちゃんと一緒に待機させたのだが、動いてしまったようだ。しかし、いつの間に。それに気づく鹿も尋常ではないな。
「ルキアはどこだ?」
「あい!」
いつの間にか俺の足に引っ付いていた。ルキアは自分の居場所と言わんばかりに足に引っ付いている。
「あんまり危険なことをしてほしくないんだけどな」
「たたかう!」
「はは、聞く耳持たないってさ」
ルキアにはあんまり戦ってほしくないんだが、本人はやる気満々のようだ。オッズに笑われてしまったよ。
「仕方ない! 二人とも行くぞ!」
「お~」「応っ」
再度、俺を先頭に熊へと突進していく、先ほどと同じように熊の足へ、ルキアが糸をかけた。ルキアは腕から糸を出すようだが、どこのアメコミかな? 着ぐるみの性能は計り知れん。熊は俺の剣を警戒しながらも糸をよけて盾を受けた。ギリギリと盾と熊の爪が音を奏でる。
「もらった!」
オッズが俺の盾を持つ手の方から出て熊の手を十字に切り付けた。熊は寸でで躱そうと試みたがポタポタと血を落とした。
「まずは一勝だな」
「ああ、しかし、熊は早めに仕留めないと・・」
熊はそれほど、強くはない。正攻法でいけば、勝てそうだ。しかし、トライホーンは計り知れない。奴には知能と経験、それに単純な強さを感じる。素人の俺が言うのもなんだけど、見た目の威圧感が奈良の鹿とかと段違いだ。三又に分かれた角が強者を模している。あんなの突き刺さったらひとたまりもないだろうな。
「まだ、あちらさんは一人でやるみたいだな」
熊は一度トライホーンを見るとトライホーンは顎をクイッと動かして微動だにしなかった。熊にやらせるつもりだ。
「助かるが、いやな感じですね・・」
「ああ、まるで狩りのやり方を教えているような・・そんな感じだな」
アニメ大好きな俺からしたらこういう話は何回もみた。パワーレベリングとは違うがそんな感じだろう。あの罠といい、やはり、今までのすべての出来事はあのトライホーンの仕業なんだろうと確信に近づいていく。
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