40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 異世界旅行

第15話 【徒歩】

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「まさかリリスさんも来てくれるとは思いませんでした」

「……」

 早速ということでエチルちゃんの服のオーダーを済ませてミスリル鉱山へと向かう。リリスさんはほほを膨らませてついてきてくれる。

「シゲルさん達と買い物するために休みにしたのに……。はぁ~、なんで町の外に」

「は、はは、すみません」

 リリスさんは残念そうにつぶやくと私を睨んでくる。なんとも言えない気分で謝ると彼女はエチルちゃんを抱き上げる。

「エチルちゃん。疲れたら言ってね。すぐに抱っこしてあげる」

「大丈夫だよお姉ちゃん! 私も強くならないとダメだから!」

「ほんといい子だねエチルちゃん!」

 リリスさんの言葉に答えるエチルちゃん。リリスさんに同意します。こんなにいい子が差別されるなんておかしな世界です。旅も目的の一つですが獣人の地位向上も狙いたいですね。

「いやしかし……」

 目の前の景色にため息にも似た声をもらす。
 大草原……街道が一本通っているだけの大草原です。見事な緑。夜は空を見上げたことはなかったので旅をしたら眺めてみたいですね。それは見事な夜空でしょう。
 今日あたり見てみてもいいかもしれないですね。この世界に来てから夜空を見る前に眠りについていましたしね。

「あ~、角ウサギさん!」

「エチルちゃん。今日は狩りじゃないので。カバンは持ってきたけど、そんなには持てないですよ」

 草原を歩いていくとエチルちゃんが声を上げる。角ウサギがぴょこんと顔を覗かせている。かなりの距離あるのにすぐに気づいたエチルちゃん。やっぱり獣人さんは身体能力もいいのでしょうか。それとも私の視力が落ちている!? ショックです。

「ふふ、そこは抜け目ないですよ! 折角鉱山に行くんですから沢山戦利品を取ってこようと思いまして。マスターから【マジックバッグ】をいただいてきました!」

「「【マジックバッグ】?」」

 リリスさんがドヤ顔で肩掛けバッグを見せてくる。私とエチルちゃんが首を傾げる。
 結構小さいほうのバッグですが何か特別なバッグなのでしょうか?

「では見てください。私のこの剣、絶対にバッグよりもでかくて入らないですよね。でも、あら不思議。バッグに入れると剣がみるみる入っていきます」

「「おお~!」」

 リリスさんの実演でエチルちゃんと共に感嘆の声を上げてしまいます。凄いです。あの剣の長さなのにバッグに消えていきます。どうなっているんでしょうか!?

「この【マジックバッグ】はとても貴重な物で。商人ギルドのマスターや冒険者ギルドのマスター、貴族や王族しかもっていないの。母さんも持っていないんじゃないかな?」

「そんな貴重な物を……。いいんですか? 非番のリリスさんが持っていて?」

「大丈夫! 私、結構信頼されているので」

「は、はぁ~。それならいいんですけど」

 信頼されているとは言え。そんな貴重な物を外に持ち出して、心配です。壊してしまったら大変ですよ。

「ちなみにバッグの中は別の空間になってるの。だからいくらでもアイテムを入れることができる」

「別の空間ですか……」

 リリスさんの説明に感心してしまいます。この世界は時代背景は古いですけど、技術はすごいものがあります。魔法もそうですし。

『徒歩を習得しました』

「ん?」

 リリスさんの説明を聞いて雑談をしながら街道を歩いているとスキルの習得が知らされる。徒歩ってスキルあったんですね。

「どうしたのシゲルおじちゃん?」

「あ、えっと。スキルを習得したようで」

 エチルちゃんが聞いてきたので答えるとリリスさんが驚いています。

「スキルを習得? 何もしてないのに習得したんですか?」

「あ~、はい。徒歩というスキルです」

「徒歩?」

 リリスさんも徒歩のスキルを知らないみたいです。どういったスキルの効果があるのかわからないので何とも言えないですね。

「……シゲルさん。もしかしたらなんですが……空を歩いてみてください」

「え? 空ですか? えっとそれは宙に足を置くといういみでしょうか?」

「そうです、やってみてください」

 リリスさんの声で首を傾げて足を片方上げて見せる。すると彼女は大きく頷いた。私は言っている意味が分からずに足を宙でかく。
 すると驚くことに足に抵抗が生まれる。まるで水の中で足をかくようなそんな抵抗……。

「なんか変です……」

「やっぱり! それは仙人が得たというスキルです! 古い文献に乗っていたのを思い出しました。仙人はそのスキルで空や海を歩いたと言われています」

「空! 海を……」

 違和感を口に出すとリリスさんが説明してくれます。そんな仙人様のスキルをこんなに簡単に得られてしまった。私って罪な男ですね。
 リリスさんの言っていることが本当なら空を歩けるんですか……。

「ちょっと試してみますか」

 なんだかワクワクしてしまいます。呟いて足を一歩、また一歩と宙へ上げる。続けて歩くことで抵抗が強くなる。まるで粘度の強い水の上を歩いていくようです。

「シゲルおじちゃん凄い! 私もやりた~い!」

「はは、ほんとにできました……。人間やめてますね」

 空を歩く私にエチルちゃんが大喜び。私もワクワクが止まりません。リリスさんの説明が本当なら海も歩けるわけです。早く海にも行きたいですね~。
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