40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 プチ旅行

第38話 デスハーゲン

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「なにがあるかわからない。みんな離れないでね」

 リリスさんを先頭に村へと入り一つ一つ家を調べていく。

「みんなが漁ったのかな?」

「だろうな。食べるものがなくなったっていってたからな」

 一つ、二つの家を回るとその全てが漁られていた。
 ベンツ君の言っていたことを信じるならそうでしょうね。

「ん? ん~?」

「あれ? なんか変な匂いがするよ?」

 ガルドさんとエチルちゃんが声を上げる。二人とも地面のハッチのような扉を怪しんでいます。物置のようなもののはずですが。

「この家は町の中央にあります。もしかしたらここに逃げ込んで?」

「一週間経ってるんだぜ? 今もいたらおかしいだろ」

「ってことは……」

 リリスさんの声にルッソ君が答える。
 何はともあれ、調べなくてはいけないですよね。

「ん? 洞窟?」

「くさ~い」

 リリスさんが先に降りて安全を確認するとエチルちゃんが元気よく降りていく。かなり匂うみたいで鼻を押さえていますね。

「上よりも強い匂いだな。完全に死霊術師の遺跡の匂いだ」

「村の下にそんな危ない遺跡があるなんて……」

 ガルドさんの声にリリスさんが残念そうに俯く。
 ですがおかしいですよ。村の人達はゾンビを見かけて狩りに行ったはずです。村の外に行っているはずなんです。

「……私はあの子達のことが心配だから戻っています。シゲルさん、あとはお願いできますか?」

「わかりました。子供達だけにしてはいけませんでしたね」

 リリスさんは少し考え込んで声を上げる。
 外に彼らだけじゃ何があるかわかりませんもんね。ゾンビがいたという話もしていましたし。

「ガルドさんも戻っていてください。戦闘になるかもしれません」

「お、おう。そうだな。じゃあ、リリスと一緒に戻ってるぞ」

 リリスさんとガルドさんが戻っていくのを見送ってから奥へと進む。

「ひんやりしてきたね」

 ミラちゃんがそう言って身震いしています。まるで冷蔵庫のような冷気ですね。

「……ミラも戻った方がいい」

「なに言ってるのルッソ? シゲルさんの真似?」

「ちげぇよ。何があるかわからねえだろ。だから」

「ふふ、心配してくれてるんだ。ありがと」

 ルッソ君が心配して声をあげますがミラちゃんはからかうばかり。後ろでイチャイチャされています。嫉妬している私は恥ずかしくなってしまいます。いいですよね、女のことのイチャイチャ。私もしたいですよ。

 背中のイチャイチャの熱を感じながら洞窟のような村の地下を進んでいく。斜めに下っていく通路が続いていますね。更に寒くなってきました。

「軽装じゃ厳しいな」

「火の魔法ならできるよ。ほら!」

 ルッソ君の声にエチルちゃんが火の魔法を使って見せる。とても暖かい火。冷気が少しだけ和らぐ。

「しかし、どこまで続いてるんだ?」

「これ以上は」

「静かに!」

 ルッソ君とミラちゃんが疲れた様子で声を漏らす。そんな二人に声を上げる。何か嫌な予感がしたんですが正解でした。少し進んだ通路の突き当りの先に人影が。

「やめて!」

「うるさいやつだ。まあ、これからお前たちはゾンビに仲間入りするのだから最後くらい喋らせてやってもいいか」

 静かに様子を伺っているとカラスのような帽子とマスクをした男と鉄の鎖につながれた女性がいた。女性は壁につながれていてやせ細ってる。

「いい感じに痩せてきたな。お前ならいいグールになるぞ~」

「いや! やめて! なんでこんなことするの!」

「あ~うるさい。なんでなんて決まっているだろ? 俺がネクロマンサーだからだ。ネクロマンサーは死霊術師だ。ゾンビを作りまくる。決まってるだろ?」

 男は女性の顎を掴んで品定めしている。女性の抗議の声をあざ笑うように説明している。こんな人がいるんですね。人を道具か何かだと錯覚している、腐っています。
 
「ガキたちは使えないから無視していたが新たな獲物を捕まえてきてくれたみたいだな。いいゾンビにしてやるぞ」

「この人でなし!」

「おお~、怖い。まあ、俺は人じゃねえしな。お前たちの嫌っている魔族だよ。名前だけでも覚えてあの世にいけ。俺の名は【デスハーゲン】。【狂王ルグール】様のしもべだ」

 狂王? 王ということは亜王や蛇王と親戚でしょうか? これはきな臭いですね~。

「さて、そろそろ時間だ。これを飲め」

「いや! いやよ!」

「いいから飲め! この! なんで飲まねえんだ! 腹は減ってるだろ!」

 何かを飲ませようとしている様子。これはまずいです。すぐに助けなくては。

「やめなさい!」

「な!? なんでここに!? どうしてわかった? 何もんだ!」

 声を上げて躍り出る。女性とデスハーゲンとの間に割って入る。飲ませようとしていた飲み物が床に落ちて湯気を出しています。塩酸や硫酸みたいな湯気ですね。

「ちぃ。グールができると思ったらこれだ。ここはひくしかないな」

「逃がすかよ」

「いやいや、逃げれるんだな。煙幕があるんだよ!」

 デスハーゲンが舌打ちをして胸ポケットから丸いものを取り出す。それを地面にたたきつけると煙があたりにまかれる。
 前が見えないほどの煙。これはスキルとか意味がないですね。

「逃がすか!」

「ルッソ君待ってください。今は人質の皆さんを」

 骨と皮だけになっている女性を心配して声を上げる。鉄の鎖につながれている彼女に水の入った革袋を差し出すと勢いよく飲んでいく。

「ハァハァ……。お水ありがとうございます。他のみんなにも!」

「わかりました。あの扉の先ですね。ルッソ君。鎖を解いてあげてください」

 女性は革袋から口を話すと冷静になって扉を指さす。ルッソ君に鎖を外すように言うとすぐに扉を叩き壊す。蛇王の矛は破壊行為にも有効ですね。
 なんとか皆さんを助けることができました。死者はゼロ見たいです。奇跡ですね。
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