40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 プチ旅行

第43話 ゾンビの群れ

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「見えてきた! あの山だ」

 御者席から声を上げるガルドさん。茶色い木のない山を指さしています。
 まだだいぶ遠いですが、ハーゲンのいう魔物の群れがいるなら群れと接触するはずです。
 彼がその魔物の群れの主ならば、方角は私達と同じはずですからね。

「ドワーフゴーレム!? なんでこんな遠くで戦って!?」

 街道の風景が草原から緑のない道へと変わっていく。すると遠くで大きな体を使って人と戦っているゴーレムが見えてくる。
 亜王のアシュラと同じくらいの大きさのゴーレム。土色のゴーレムは一生懸命戦っている。

「ドワーフの誓いを首から下げろ。一人一つだぞ」

 ガルドさんは確認するようにみんなに声を上げる。
 マジックバッグからドワーフの誓いの首飾りを取り出してみんなに手渡す。トンカチのレリーフの首飾りですね。みんなしっかりと首から下げました。

「あれがゾンビですか。ここで降ろしてください。レイドリッサーに怪我をさせたくありません」

 ゴーレムの戦っている相手が人型だったので普通に人だと思っていましたが動きがぎこちない。
 両手を前方に向けてあげるだけで噛みつきに行くゾンビ。対処は簡単ですが、人型というだけで私の戦う意思を削いでくる。

「はっ! シゲルさん! しっかりしてください。彼らはもう魔物なんです!」

 眼前まで迫ってきていたゾンビに矛を振り下ろすことが出来ずにいると、リリスさんが代わりに一刀両断。
 彼女は私の両肩を掴んで元気づけてくれる。

「すみませんリリスさん。カッコ悪いところを見せてしまいました」

「ふふ、シゲルさんにかっこ悪いところなんてないです。誰でも通る道ですよ」

 リリスさんに謝ると彼女はこんな私の謝罪を笑ってくれる。器のでかい女性です。ほんと憧れてしまう。

「豪快に決めていますね」

 ドワーフゴーレムへ近づくとゴーレムはゾンビを天高く吹き飛ばしています。
 地面と衝突したゾンビはバラバラになっていく。あれだけ傷つけば動かなくなるみたいですね。やはり首が弱点でしょうか?

「ゾンビは弱いよシゲルおじちゃん」

「そうですね。動きも単調ですし、人型というだけでゴブリンよりも弱いですね」

 エチルちゃんが三体のゾンビを蹴散らして嬉しそうにしています。
 ゾンビの動きはほんと単調です。これなら百でも二百でも倒せそうです。

「気を付けてください。共食いをしている個体がいます。あれがグールです」

「グール? ハーゲンが言っていましたね」

 リリスさんがゾンビを1体倒して剣の切っ先を向ける方向を見ると黒いゾンビがいました。
 そのゾンビは仲間のゾンビの首に食らいついてむしゃむしゃと咀嚼してる。姿形はゾンビと同じですが体色と動きが違います。機敏でドワーフゴーレムさんに飛びついてやられています。あの攻撃は厄介ですね。油断していたら私達も危険。用心していきましょう。

「ルッソ!」

「ありがとよミラ!」
 
 そうこう思っていると後ろで戦っていたルッソ君にグールが飛びついていた。ミラちゃんの弓がグールの眉間を貫いて止める。

「噛まれたらすぐにヒールを使ってください。【ゾンビ化】の毒は体力を大きく持っていきます。瀕死状態になるとベンツ君のお母さまのようにゾンビ化を始めてしまいますからね」

 リリスさんが指示を飛ばす。
 なるほど、この世界のゾンビはしっかりとバイオなゾンビウィルスみたいですね。ヒールを使えばいいならば、私達には効きませんけどね。

「それにしても数が減りませんね」

 ドワーフゴーレムさんと共に百は軽く倒したと思うのですが、ゾンビの数が減ったように感じません。ますます増えているようにも感じて嫌な予感がしますよ。

『レベルが上がりました』

 レベルアップを告げる声が聞こえる程ゾンビを狩る。
 グールも10以上倒しました。ルッソ君がミラちゃんをかばって噛まれたくらいでほかの皆さんは怪我一つしていません。私達結構強いですね。

「ルッソ君、怪我は大丈夫ですか?」

「あ、はい! 大丈夫です。それよりも数が多くないですか?」

 怪我は既にヒールで治ってる様子のルッソ君。彼も不安に思っているようですね。ハッキリしたことはわかりませんけど、ドワーフのゾンビは見られないので里は大丈夫だと思うんですが。

『おおぉぉぉ~~~~~~!』

「な!? なんですか!?」

 絶え間なくやってくるゾンビと戦っていると大きな雄たけびが聞こえてきます。まるで山全体が叫んでいるような雄たけび。体が雄たけびの衝撃で震えてしまう。

「ちょっと空から見てみますね」

「お願いします」

 リリスさんに戦線を任せて空を見上げる。
 徒歩を使って空へと歩き出して雄たけびの方向を見下ろす。するとガルドさんくらいの身長の人達がフルプレートの鎧を着て、大きな斧でゾンビ達を切り捨てていくのが見える。
 彼らが通った後にはゾンビの無残が死骸が残るのみ。あれだけ固い鎧ならゾンビには負けないでしょうね。
 あれはたぶんドワーフの軍隊ですよね。

「どうでしたか?」

 地上に戻ってくるとリリスさんが聞いてくる。ドワーフの軍隊のことを話すとホッと胸をなでおろしています。

「ドワーフ達は無事だったんですね。よかった」

「じゃあ、俺たちは耐えればいいんだな」

 リリスさんとルッソ君が安心しながらもゾンビを切り捨てる。ゾンビは話していても空気は読んでくれない。絶えず生者を食べようと求めてくる。
 ドワーフの方々がゴーレムさんと合流するまでゾンビを狩る。なかなかスリリングな戦いでした。
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