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第一章 愛
第31話 プラクティラ様
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「やあ、良い子のアイちゃん」
「あ~、真っ白なお人形さんなの~」
ペンが光って真っ白になったの、眩しくて目を瞑ってたけど、目を開けると真っ白な世界が広がっててそこに少し黄色のついた白いお人形さんが立っていたの。押し入れでアイをこの世界に案内してくれたお人形さんなの。
「あなたは何なの? お母さんもお父さんもいないの! 何処にいるの?」
「僕は嘘は言わないさ。確かにこの世界に君の両親はいるよ。彼らは僕が連れてきたんだから」
お人形さんを問いただしたの。お人形さんは淡々と話してきたの。
「なんでなの? アイからお母さんとお父さんを取って楽しいの?」
「ちょ、ちょっと誤解しないでよアイちゃん。僕は君の両親を助けたのさ」
「助けたの?」
「そうそう」
お人形さんはお母さんとお父さんを助けてくれたみたいなの。
「ありがとうございますなの~」
「どういたしま....。信じてくれるのかい?」
「信じるの。人を信じれば道ができるの。お父さんが教えてくれたの」
「本当に優しい両親に育てられたんだね」
お父さんは色んなことを知っているの。人を信じていれば自ずと道が見えてくるらしいの。アイはお父さんを信じているからこのお人形さんも信じているの。
「なんでお母さんとお父さんを連れてきたの?」
「アイちゃんのお母さんとお父さんはトラックに追突されて死んでしまったんだ」
「死んでしまったの? 死ぬって何なの?」
死ぬってどういう事なの? 分からないの。
「アイちゃんはこの世界に来て、魔物を見たでしょ?」
「見たの。緑の人とか豚の頭の人とか」
「その魔物を冒険者が倒していたよね。それと同じ、動かなくなってしまうんだ」
「嘘なの...」
お母さんとお父さんは生きているの! だってウテナさんもルナちゃんも連絡があったって言ったの!
「嘘じゃないよ」
「嘘なの嘘なの!」
「アイちゃん、ウテナもルナもアイちゃんを思って嘘をついたんだ」
「ウテナさんもルナちゃんも嘘は言わないの! とっても優しいの」
「優しい嘘もあるんだよ。悲しませたくなかったのさ」
「そんなの嘘なの...」
お人形さんは俯いて話してきたの。アイは信じられないの。そんなのないの。
「でも、安心してよ。確かに死んじゃったけど、この世界に移す事が出来たんだ」
「じゃあ! この世界にいるの?」
「そうさ、今は記憶を失っているかもしれないけど、確かにこの世界に移す事に成功したんだ。力を使いすぎてまともに動けなくなっちゃったけどね」
「そうなの...可哀そうなの」
お人形さんは力を無くしちゃったみたいなの。可哀そうなの。でも、お母さんとお父さんはこの世界にいるの! 絶対に見つけ出すの!
「アイちゃんなら、二人を見つけられるはずだよ。気を許せる人が君の両親なのさ」
「一人いるの! 一緒にいるとホッとする人がいるの!」
「じゃあ、その人だよ。まだ記憶を無くしているかもしれないけど、その人が両親のどっちかだよ」
ラルクお兄ちゃんなの! 絶対にラルクお兄ちゃんがお父さんなの!
「性別はそのまま転生しているはずだから、男の人ならお父さん、女の人ならお母さんだと思うよ」
「やっぱり、じゃあお父さんなの! 早く行くの!」
「アイちゃん待って。今は君の存在の器になってくれた子の番だから」
「器なの?」
「君もまた、この世界から見たら異物なんだ。ステータスが全部1だったでしょ。それはこの世界に存在しえない存在だからなんだ」
「しえないって何なの?」
「本来はいない存在って事さ。アイちゃんをこの世界に無理やり連れてきたからその為に器になってもらったんだ」
アイの為に力をくれた人なの?
「その人は大丈夫なの?」
「うん。アイちゃんが頑張れば、生まれる事が出来るよ」
「アイがなの?」
「そうだよ」
「そうなの?」
人形さんは頷いているの。アイの膝程しかないお人形さんだから何だか可愛いの。
「お名前聞いてなかったの。あなたは誰なの?」
「僕? 僕はプラクティラ。アイちゃんの世界の神ではないけど、こっちの世界の神だよ」
お人形さんは神様みたいなの、凄いの。
「おっと、アイーラちゃんの話は終わったみたいだね。アイちゃん、諦めずに頑張ってね。応援しているよ」
「アイーラちゃんなの?」
「そうだよ。彼女はウテナの子で命を無くした存在。彼女の存在の器にアイちゃんを上書きして、この世界に転移させたんだ」
「あう。何だかよく分からないの」
「とにかく、アイーラちゃんのおかげでアイちゃんは両親に会えるって事さ」
「会えるの! アイーラちゃんありがとうなの!」
「彼女は君であって君でない存在。その言葉も彼女に届いているよ。そろそろ限界、また、力が溜まったらアイちゃんとお話させてもらうね。またね」
「あ、プラクちゃん行っちゃうの?」
「ブラクちゃんって僕の事? 嬉しいな」
真っ白な世界が遠くなっていって光の星が横を通って行くの。真っ白なお人形さん、プラクちゃんが一瞬、微笑んだように見えて遠ざかっていったの。とっても優しい笑顔だったの。
「あ~、真っ白なお人形さんなの~」
ペンが光って真っ白になったの、眩しくて目を瞑ってたけど、目を開けると真っ白な世界が広がっててそこに少し黄色のついた白いお人形さんが立っていたの。押し入れでアイをこの世界に案内してくれたお人形さんなの。
「あなたは何なの? お母さんもお父さんもいないの! 何処にいるの?」
「僕は嘘は言わないさ。確かにこの世界に君の両親はいるよ。彼らは僕が連れてきたんだから」
お人形さんを問いただしたの。お人形さんは淡々と話してきたの。
「なんでなの? アイからお母さんとお父さんを取って楽しいの?」
「ちょ、ちょっと誤解しないでよアイちゃん。僕は君の両親を助けたのさ」
「助けたの?」
「そうそう」
お人形さんはお母さんとお父さんを助けてくれたみたいなの。
「ありがとうございますなの~」
「どういたしま....。信じてくれるのかい?」
「信じるの。人を信じれば道ができるの。お父さんが教えてくれたの」
「本当に優しい両親に育てられたんだね」
お父さんは色んなことを知っているの。人を信じていれば自ずと道が見えてくるらしいの。アイはお父さんを信じているからこのお人形さんも信じているの。
「なんでお母さんとお父さんを連れてきたの?」
「アイちゃんのお母さんとお父さんはトラックに追突されて死んでしまったんだ」
「死んでしまったの? 死ぬって何なの?」
死ぬってどういう事なの? 分からないの。
「アイちゃんはこの世界に来て、魔物を見たでしょ?」
「見たの。緑の人とか豚の頭の人とか」
「その魔物を冒険者が倒していたよね。それと同じ、動かなくなってしまうんだ」
「嘘なの...」
お母さんとお父さんは生きているの! だってウテナさんもルナちゃんも連絡があったって言ったの!
「嘘じゃないよ」
「嘘なの嘘なの!」
「アイちゃん、ウテナもルナもアイちゃんを思って嘘をついたんだ」
「ウテナさんもルナちゃんも嘘は言わないの! とっても優しいの」
「優しい嘘もあるんだよ。悲しませたくなかったのさ」
「そんなの嘘なの...」
お人形さんは俯いて話してきたの。アイは信じられないの。そんなのないの。
「でも、安心してよ。確かに死んじゃったけど、この世界に移す事が出来たんだ」
「じゃあ! この世界にいるの?」
「そうさ、今は記憶を失っているかもしれないけど、確かにこの世界に移す事に成功したんだ。力を使いすぎてまともに動けなくなっちゃったけどね」
「そうなの...可哀そうなの」
お人形さんは力を無くしちゃったみたいなの。可哀そうなの。でも、お母さんとお父さんはこの世界にいるの! 絶対に見つけ出すの!
「アイちゃんなら、二人を見つけられるはずだよ。気を許せる人が君の両親なのさ」
「一人いるの! 一緒にいるとホッとする人がいるの!」
「じゃあ、その人だよ。まだ記憶を無くしているかもしれないけど、その人が両親のどっちかだよ」
ラルクお兄ちゃんなの! 絶対にラルクお兄ちゃんがお父さんなの!
「性別はそのまま転生しているはずだから、男の人ならお父さん、女の人ならお母さんだと思うよ」
「やっぱり、じゃあお父さんなの! 早く行くの!」
「アイちゃん待って。今は君の存在の器になってくれた子の番だから」
「器なの?」
「君もまた、この世界から見たら異物なんだ。ステータスが全部1だったでしょ。それはこの世界に存在しえない存在だからなんだ」
「しえないって何なの?」
「本来はいない存在って事さ。アイちゃんをこの世界に無理やり連れてきたからその為に器になってもらったんだ」
アイの為に力をくれた人なの?
「その人は大丈夫なの?」
「うん。アイちゃんが頑張れば、生まれる事が出来るよ」
「アイがなの?」
「そうだよ」
「そうなの?」
人形さんは頷いているの。アイの膝程しかないお人形さんだから何だか可愛いの。
「お名前聞いてなかったの。あなたは誰なの?」
「僕? 僕はプラクティラ。アイちゃんの世界の神ではないけど、こっちの世界の神だよ」
お人形さんは神様みたいなの、凄いの。
「おっと、アイーラちゃんの話は終わったみたいだね。アイちゃん、諦めずに頑張ってね。応援しているよ」
「アイーラちゃんなの?」
「そうだよ。彼女はウテナの子で命を無くした存在。彼女の存在の器にアイちゃんを上書きして、この世界に転移させたんだ」
「あう。何だかよく分からないの」
「とにかく、アイーラちゃんのおかげでアイちゃんは両親に会えるって事さ」
「会えるの! アイーラちゃんありがとうなの!」
「彼女は君であって君でない存在。その言葉も彼女に届いているよ。そろそろ限界、また、力が溜まったらアイちゃんとお話させてもらうね。またね」
「あ、プラクちゃん行っちゃうの?」
「ブラクちゃんって僕の事? 嬉しいな」
真っ白な世界が遠くなっていって光の星が横を通って行くの。真っ白なお人形さん、プラクちゃんが一瞬、微笑んだように見えて遠ざかっていったの。とっても優しい笑顔だったの。
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