61 / 79
第二章 学校
第61話 ゴルグィードとインク
しおりを挟む
「ここでいいの? ゴルグィード」
「そのようじゃよ、インク」
アイ達が買い物をしている時、ゴルグィード校長は仲間のインクと共に黒き光の集まる砦に到着していた。ゴルグィードと一緒にいるインク、アイに服を見繕ったインクは旧知の友。
エルフであるインクはとても若く見えるがゴルグィードと同い年。
二人は空を飛び、砦を見下ろす。
砦は所々に松明が灯されている。
打ち捨てられたような砦であるが誰かがいるのは明白、二人は用心しながら入り込んでいった。
「!?」
「だれだ……」
「黙っておれ」
石造りの通路を進んでいると黒いローブ姿の二人の魔法使いが警戒して立っていたがインクとゴルグィードの手によって息絶えていく。インクの高速のレイピアの突きとゴルグィードの透明な刃は並大抵の魔法使いでは対処できないだろう。
更に十人ほどの黒き光の魔法使いと思われる者達を屠って地下に進んでいく。表から見える砦はあくまでもおまけだったようだ。
地下へと続く道には松明が点々と設置してあり、怪しさをかもし出している。
「インク、ストップじゃ」
「どうしたんだゴルグィード?」
地下に下っているとゴルグィードが歩みを止めた。インクは首を傾げて疑問を投げかけた。
「どうやら、罠だったようじゃ。引き返すぞ」
「行き止まりか……」
ゴルグィードは歩きながら、地下を調べていた。風魔法と土魔法によるサーチの魔法だ。風魔法でやるだけでも正確な情報が得られるがゴルグィードは更に土魔法を要して正確性を上げていた。
それによる情報では地下には魔法使いが五十人以上配置されていて、入り込んだら生き埋めになるようになっていたようだ。仲間もろとも生き埋めにする算段、それだけゴルグィードの事を強敵だと理解しているのだろう。
二人は大きくため息をついて地上へと歩き始めた。早めに分かっていなかったら大変なことになっていた。二人は安堵してため息をついたのだが、それはすぐに別の理由に切り替わるのだった。
「流石はゴルグィード」
「もうばれたか」
引き返す二人の前に四人の文字付の黒服が現れた。狭い通路に四人、逃げられない。
「フォッフォッフォ、なるほどの~」
「挟み撃ちか」
気が付くと地下へと続く道にも二人の文字付の黒服が現れていた。
「インクはそっちを、儂は四人相手じゃ」
「私がそっちでもいいんですよ。もう、老体なんですから」
「フォッフォッフォ、まだまだ、インクには負けんて」
「言ってなさい。行きますよ!」
砦まで響き渡る苛烈な戦闘音。
それぞれの敵へと魔法を放ち、剣や杖がぶつかり、音を奏でる。
ゴルグィードは四人を押し戻して砦から脱出。空へと飛び出して四人を見下ろした。
「名前を知らないまま始末するのもなんだからの~。自己紹介してもらおうかの」
ゴルグィードは余裕綽々と言いのける。四人は歯ぎしりをして、名乗らずにそれぞれの魔法を放つ。
放ち終わると空を飛びゴルグィードを追うが一人、また一人と撃ち落されていった。
「役立たず共が!」
「フォッフォッフォ、仲間にそんなこと言っちゃいかんぞ」
「仲間だ~? そんなお綺麗なもんじゃねえよ。この世界を壊したくて集まっただけの腐れ縁よ」
「そりゃ残念じゃな。お前たちのようなもんにも補えあう友が居ると思っとったんじゃが」
「死ね、爺」
最後の生き残りの強面の男がゴルグィードへと氷の刃を振り下ろした。ゴルグィードは真っ二つに裂けて霧散していく。
「幻術か! どこだ!」
「ここじゃよ」
「!?」
男は声に反応して氷の刃を横なぎに払った。刃は地面に落ちて、男はその刃を見据えて目を閉じた。
かすり傷すら付けられずに四人の魔法使いは絶命していった。
暴虐の魔法使いは歳をとっても強かった。
「文字ありでこれでは肩慣らしにもならんの~。インクももう終わったじゃろうて」
ゴルグィードは退屈と言わんばかりに大きなため息をついて砦に戻った。
砦に着くと戦闘音が聞こえてくる。予想を覆られたゴルグィードは速度を上げて地下への道へと急ぐ。戦闘音が大きくなってくる。
地下を大きく進んでいくと大きな広間にたどり着いた。
「ゴルグィード!」
「無事じゃったかインク」
インクが無事だった事に安堵したゴルグィード。しかし、おかしい、インクは歴戦の魔法戦士。この程度の魔法使いに後れを取るはずがない。
「奴らは上位の土魔法使いのようです」
地下で土魔法とは厄介な、とゴルグィードはうつむいた。
「我らはあの四人のようにはいかんぞ」
「何を言って居る。終わりじゃよ」
「なに!?」
広間の天井から光が差し込んできた。それは大きく太くなり二人の男へと降り注いでいく。
「な、これは光魔法の[サテライトジャベリン]! こんな深くまでくるはずは! バケモノ……」
予め魔力をためていたゴルグィードの光のやりが地を貫き二人を貫いた。
「ふむ、インクは怠けていたんじゃな。あんな二人にやられるとはの~」
「……お前と違って精霊は一体何だよ。まったく、バケモノと一緒にするな」
「フォッフォッフォ、若いままのエルフにバケモノと言われてしまったわい。とりあえず、六人もの幹部を屠れば奴らも動けんじゃろう」
十人の幹部のうち、六人始末された黒き光。ゴルグィードは安心するのだった。
「おっと、この地下はあやつらのマナで作られておったか」
「崩れだしたな」
地揺れが始まり、地下が崩れだした。二人は光の槍で開いた大きな穴で外へと飛び出した。
こうして、黒き光は大きなダメージを追ったのだったがそれはまた新たな攻撃を誘発するものとなる。
「そのようじゃよ、インク」
アイ達が買い物をしている時、ゴルグィード校長は仲間のインクと共に黒き光の集まる砦に到着していた。ゴルグィードと一緒にいるインク、アイに服を見繕ったインクは旧知の友。
エルフであるインクはとても若く見えるがゴルグィードと同い年。
二人は空を飛び、砦を見下ろす。
砦は所々に松明が灯されている。
打ち捨てられたような砦であるが誰かがいるのは明白、二人は用心しながら入り込んでいった。
「!?」
「だれだ……」
「黙っておれ」
石造りの通路を進んでいると黒いローブ姿の二人の魔法使いが警戒して立っていたがインクとゴルグィードの手によって息絶えていく。インクの高速のレイピアの突きとゴルグィードの透明な刃は並大抵の魔法使いでは対処できないだろう。
更に十人ほどの黒き光の魔法使いと思われる者達を屠って地下に進んでいく。表から見える砦はあくまでもおまけだったようだ。
地下へと続く道には松明が点々と設置してあり、怪しさをかもし出している。
「インク、ストップじゃ」
「どうしたんだゴルグィード?」
地下に下っているとゴルグィードが歩みを止めた。インクは首を傾げて疑問を投げかけた。
「どうやら、罠だったようじゃ。引き返すぞ」
「行き止まりか……」
ゴルグィードは歩きながら、地下を調べていた。風魔法と土魔法によるサーチの魔法だ。風魔法でやるだけでも正確な情報が得られるがゴルグィードは更に土魔法を要して正確性を上げていた。
それによる情報では地下には魔法使いが五十人以上配置されていて、入り込んだら生き埋めになるようになっていたようだ。仲間もろとも生き埋めにする算段、それだけゴルグィードの事を強敵だと理解しているのだろう。
二人は大きくため息をついて地上へと歩き始めた。早めに分かっていなかったら大変なことになっていた。二人は安堵してため息をついたのだが、それはすぐに別の理由に切り替わるのだった。
「流石はゴルグィード」
「もうばれたか」
引き返す二人の前に四人の文字付の黒服が現れた。狭い通路に四人、逃げられない。
「フォッフォッフォ、なるほどの~」
「挟み撃ちか」
気が付くと地下へと続く道にも二人の文字付の黒服が現れていた。
「インクはそっちを、儂は四人相手じゃ」
「私がそっちでもいいんですよ。もう、老体なんですから」
「フォッフォッフォ、まだまだ、インクには負けんて」
「言ってなさい。行きますよ!」
砦まで響き渡る苛烈な戦闘音。
それぞれの敵へと魔法を放ち、剣や杖がぶつかり、音を奏でる。
ゴルグィードは四人を押し戻して砦から脱出。空へと飛び出して四人を見下ろした。
「名前を知らないまま始末するのもなんだからの~。自己紹介してもらおうかの」
ゴルグィードは余裕綽々と言いのける。四人は歯ぎしりをして、名乗らずにそれぞれの魔法を放つ。
放ち終わると空を飛びゴルグィードを追うが一人、また一人と撃ち落されていった。
「役立たず共が!」
「フォッフォッフォ、仲間にそんなこと言っちゃいかんぞ」
「仲間だ~? そんなお綺麗なもんじゃねえよ。この世界を壊したくて集まっただけの腐れ縁よ」
「そりゃ残念じゃな。お前たちのようなもんにも補えあう友が居ると思っとったんじゃが」
「死ね、爺」
最後の生き残りの強面の男がゴルグィードへと氷の刃を振り下ろした。ゴルグィードは真っ二つに裂けて霧散していく。
「幻術か! どこだ!」
「ここじゃよ」
「!?」
男は声に反応して氷の刃を横なぎに払った。刃は地面に落ちて、男はその刃を見据えて目を閉じた。
かすり傷すら付けられずに四人の魔法使いは絶命していった。
暴虐の魔法使いは歳をとっても強かった。
「文字ありでこれでは肩慣らしにもならんの~。インクももう終わったじゃろうて」
ゴルグィードは退屈と言わんばかりに大きなため息をついて砦に戻った。
砦に着くと戦闘音が聞こえてくる。予想を覆られたゴルグィードは速度を上げて地下への道へと急ぐ。戦闘音が大きくなってくる。
地下を大きく進んでいくと大きな広間にたどり着いた。
「ゴルグィード!」
「無事じゃったかインク」
インクが無事だった事に安堵したゴルグィード。しかし、おかしい、インクは歴戦の魔法戦士。この程度の魔法使いに後れを取るはずがない。
「奴らは上位の土魔法使いのようです」
地下で土魔法とは厄介な、とゴルグィードはうつむいた。
「我らはあの四人のようにはいかんぞ」
「何を言って居る。終わりじゃよ」
「なに!?」
広間の天井から光が差し込んできた。それは大きく太くなり二人の男へと降り注いでいく。
「な、これは光魔法の[サテライトジャベリン]! こんな深くまでくるはずは! バケモノ……」
予め魔力をためていたゴルグィードの光のやりが地を貫き二人を貫いた。
「ふむ、インクは怠けていたんじゃな。あんな二人にやられるとはの~」
「……お前と違って精霊は一体何だよ。まったく、バケモノと一緒にするな」
「フォッフォッフォ、若いままのエルフにバケモノと言われてしまったわい。とりあえず、六人もの幹部を屠れば奴らも動けんじゃろう」
十人の幹部のうち、六人始末された黒き光。ゴルグィードは安心するのだった。
「おっと、この地下はあやつらのマナで作られておったか」
「崩れだしたな」
地揺れが始まり、地下が崩れだした。二人は光の槍で開いた大きな穴で外へと飛び出した。
こうして、黒き光は大きなダメージを追ったのだったがそれはまた新たな攻撃を誘発するものとなる。
11
あなたにおすすめの小説
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる