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第1章 新たな始まり
第5話 ライリーとエンリャ
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「ふぅ~、終わった終わった」
掃除を終えるとレッグスが声をあげる。彼はソファーに座るとそのまま寝っ転がる。
「もう暗くなっちゃったね。屋根の補修は明日ね」
「ああ、余ってる藁があればいいんだが」
エミの声にレッグスが答える。
天井を見るとところどころ隙間が見える。村の家は全部空ぶき屋根。雪が降ることもある地域なんだろうな。
「余ってる藁? そんなものはない」
引っ越してきてから次の日。
余ってる藁をもらおうと村の人達に声をかける。レッグスとエミが僕を抱いて回ってるんだけど、いい返事をもらえない。
「あの藁は?」
「あれは余ってるんじゃない。使う人が決まっているものだ」
明らかに余っている藁の束が置かれている。
レッグスが指摘すると突っぱねてくる。
「どうやら嫌われてるみたいだな」
「そうみたいね。子供の頃にいなかった人ばかりになっているし。よそ者扱いされているみたいね」
レッグスの呟きにエミも同意する。
二人がいた時にいた人はいないみたいだな。
「おい、うちの藁を使えよ」
二人が残念そうに俯いていると後ろから声をかけられる。
振り向くと若い青年が立っていた。
「うちは建てたばかりだ。替えようの藁はいらないからな」
ニッコリと微笑んで言ってくれる青年。二人は嬉しくなって握手を求める。快く答えた青年は【ライリー】と名乗った。
「ありがとうライリー。俺はレッグス」
「私はエミよ。この子はアキラ」
握手を交わしながら自己紹介をする。
ライリーは僕の頭もなでてくれて、優しい人だというのがわかった。
「レッグスとエミ……やっぱりそうか」
ライリーは二人の名前を呟くと頷く。不思議に思って
「いや、うちのばあちゃんが二人の名前をしっててな。それで懐かしがっててな。ばあちゃんの名前はエンリャっていうんだけど」
ライリーの話を聞くと二人は大きく頷く。
「エンリャさんか。元気なのか?」
「ああ、元気も元気。まあ、家の外の椅子に腰かけてるから声をかけてやってくれよ」
ライリーは一緒に藁を運んでくれて補修まで手伝ってくれた。本当にいい人だ。
快くした二人はライリーの家に昼食を作りに行ってエンリャさんと共に食事を楽しんだ。
一人でも知っている人がいてくれると心強いな。
「ははは、あのレッグスがエミと結婚して子供と一緒に帰ってくるとはね~。なんだか嬉しいよ。それに引き換え私の娘は……」
昼食を楽しんで話をしているとエンリャさんが涙を流す。
「……ばあちゃん。その話はいいだろ?」
「よかないよ。あんたを残して男と遊びに行ったっきり帰ってこないじゃないか。碌な娘じゃないよあの子は」
ライリーはいたたまれない様子で声を上げるとエンリャさんはかまわずに愚痴をこぼす。
彼女の娘さんは碌でもない子になったみたいだな。
「なんかごめんな。ばあちゃんの愚痴聞いてもらっちゃって」
「はは、エンリャさんは遠慮してたんだろ。ライリーに愚痴をこぼすわけにもいかないだろうからな」
確かにろくでもないことをされている本人に愚痴るわけにも行かないもんな。
「はぁ~、話を聞いてくれてありがとね。最近は話を聞いてくれる人もいなくてね」
「え? 村の人達は?」
「てんでダメさ。人の心がないものばかりだ。二人の両親がいたころが懐かしいよ」
エンリャさんはそう言って俯く。
藁も分けてくれなかったしね。あまりいい人たちじゃない感じはしたな~。
レッグスとエミの両親はいい人だったみたいだな。
「ふふ、私の両親は迫害されてましたけどね。エンリャさんにはよくしてもらっていたけど」
エミがそう答えると顔を赤くさせるエンリャさん。エミは迫害されていたのを楽しく話せるんだな。強い人だ。
「じゃあ、そろそろ」
話を終えて席を立つ二人。僕を抱き上げると家を出る。
「またいつでも来ておくれよ。困ったことがあったらライリーを頼るように。この子はあのこの子とは思えないほどいい子だからね」
「ああ、任せてくれ」
見送ってくれるエンリャさんとライリー。二人は信頼しあっている様子。
レッグスとエミの二人にも信頼できる友達ができたみたいだ。よかった。
「バブバブ……」
ライリーの家から帰ってきて夜になった。二人が眠る中、僕はベビーベッドを脱走して家の外にやってきた。
家は村の端、木で作られた柵がすぐ近くにある。そこを越えればすぐに森ってわけ。人目を避けるにはちょうどいい。ここで魔石の実験ができるぞ。
柵をひょいっと飛び越え、森に入ってしばらく進む。すると湖が現れた。湖には普通の動物が水飲みに来てる。平和な風景だな。
でも、そんな平和な湖に魔物が現れる。動物達は逃げ惑う。
魔物は緑色の肌の小人だ。ゴブリンってやつかな。
一番有名な魔物、ゴブリンの魔石も多少は実験の足しになるかな。
ということで魔物を倒してみることにする。
「バブバブ……」
魔法の勉強はさんざんした。僕は大きな岩を魔法で作り出す。因みにこの岩を凄い速度で撃ちだす魔法もあるんだけど、それはまだ練習していないのでやめておく。MPがもしもなくなったら気絶してしまうらしいからね。
そして、作り出した岩をゴブリンへと落とす。動物を狩ろうとしていたゴブリンは岩に気づかずに岩の下敷きになって動かなくなる。すると霧散して魔石を残した。ゴブリンは弱いな~。
掃除を終えるとレッグスが声をあげる。彼はソファーに座るとそのまま寝っ転がる。
「もう暗くなっちゃったね。屋根の補修は明日ね」
「ああ、余ってる藁があればいいんだが」
エミの声にレッグスが答える。
天井を見るとところどころ隙間が見える。村の家は全部空ぶき屋根。雪が降ることもある地域なんだろうな。
「余ってる藁? そんなものはない」
引っ越してきてから次の日。
余ってる藁をもらおうと村の人達に声をかける。レッグスとエミが僕を抱いて回ってるんだけど、いい返事をもらえない。
「あの藁は?」
「あれは余ってるんじゃない。使う人が決まっているものだ」
明らかに余っている藁の束が置かれている。
レッグスが指摘すると突っぱねてくる。
「どうやら嫌われてるみたいだな」
「そうみたいね。子供の頃にいなかった人ばかりになっているし。よそ者扱いされているみたいね」
レッグスの呟きにエミも同意する。
二人がいた時にいた人はいないみたいだな。
「おい、うちの藁を使えよ」
二人が残念そうに俯いていると後ろから声をかけられる。
振り向くと若い青年が立っていた。
「うちは建てたばかりだ。替えようの藁はいらないからな」
ニッコリと微笑んで言ってくれる青年。二人は嬉しくなって握手を求める。快く答えた青年は【ライリー】と名乗った。
「ありがとうライリー。俺はレッグス」
「私はエミよ。この子はアキラ」
握手を交わしながら自己紹介をする。
ライリーは僕の頭もなでてくれて、優しい人だというのがわかった。
「レッグスとエミ……やっぱりそうか」
ライリーは二人の名前を呟くと頷く。不思議に思って
「いや、うちのばあちゃんが二人の名前をしっててな。それで懐かしがっててな。ばあちゃんの名前はエンリャっていうんだけど」
ライリーの話を聞くと二人は大きく頷く。
「エンリャさんか。元気なのか?」
「ああ、元気も元気。まあ、家の外の椅子に腰かけてるから声をかけてやってくれよ」
ライリーは一緒に藁を運んでくれて補修まで手伝ってくれた。本当にいい人だ。
快くした二人はライリーの家に昼食を作りに行ってエンリャさんと共に食事を楽しんだ。
一人でも知っている人がいてくれると心強いな。
「ははは、あのレッグスがエミと結婚して子供と一緒に帰ってくるとはね~。なんだか嬉しいよ。それに引き換え私の娘は……」
昼食を楽しんで話をしているとエンリャさんが涙を流す。
「……ばあちゃん。その話はいいだろ?」
「よかないよ。あんたを残して男と遊びに行ったっきり帰ってこないじゃないか。碌な娘じゃないよあの子は」
ライリーはいたたまれない様子で声を上げるとエンリャさんはかまわずに愚痴をこぼす。
彼女の娘さんは碌でもない子になったみたいだな。
「なんかごめんな。ばあちゃんの愚痴聞いてもらっちゃって」
「はは、エンリャさんは遠慮してたんだろ。ライリーに愚痴をこぼすわけにもいかないだろうからな」
確かにろくでもないことをされている本人に愚痴るわけにも行かないもんな。
「はぁ~、話を聞いてくれてありがとね。最近は話を聞いてくれる人もいなくてね」
「え? 村の人達は?」
「てんでダメさ。人の心がないものばかりだ。二人の両親がいたころが懐かしいよ」
エンリャさんはそう言って俯く。
藁も分けてくれなかったしね。あまりいい人たちじゃない感じはしたな~。
レッグスとエミの両親はいい人だったみたいだな。
「ふふ、私の両親は迫害されてましたけどね。エンリャさんにはよくしてもらっていたけど」
エミがそう答えると顔を赤くさせるエンリャさん。エミは迫害されていたのを楽しく話せるんだな。強い人だ。
「じゃあ、そろそろ」
話を終えて席を立つ二人。僕を抱き上げると家を出る。
「またいつでも来ておくれよ。困ったことがあったらライリーを頼るように。この子はあのこの子とは思えないほどいい子だからね」
「ああ、任せてくれ」
見送ってくれるエンリャさんとライリー。二人は信頼しあっている様子。
レッグスとエミの二人にも信頼できる友達ができたみたいだ。よかった。
「バブバブ……」
ライリーの家から帰ってきて夜になった。二人が眠る中、僕はベビーベッドを脱走して家の外にやってきた。
家は村の端、木で作られた柵がすぐ近くにある。そこを越えればすぐに森ってわけ。人目を避けるにはちょうどいい。ここで魔石の実験ができるぞ。
柵をひょいっと飛び越え、森に入ってしばらく進む。すると湖が現れた。湖には普通の動物が水飲みに来てる。平和な風景だな。
でも、そんな平和な湖に魔物が現れる。動物達は逃げ惑う。
魔物は緑色の肌の小人だ。ゴブリンってやつかな。
一番有名な魔物、ゴブリンの魔石も多少は実験の足しになるかな。
ということで魔物を倒してみることにする。
「バブバブ……」
魔法の勉強はさんざんした。僕は大きな岩を魔法で作り出す。因みにこの岩を凄い速度で撃ちだす魔法もあるんだけど、それはまだ練習していないのでやめておく。MPがもしもなくなったら気絶してしまうらしいからね。
そして、作り出した岩をゴブリンへと落とす。動物を狩ろうとしていたゴブリンは岩に気づかずに岩の下敷きになって動かなくなる。すると霧散して魔石を残した。ゴブリンは弱いな~。
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