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第12話 雪国の日々
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新たな人間に龍は遠吠えを上げる。カレンがやってきた夜。寝静まった夜に龍の声が聞こえてくる。
龍は歓迎しているつもり。だが、カレンは龍を感じて外へと飛び出す。凍てつく吹雪が彼女を襲う。
今まで戦ってきた敵よりも強力な自然の猛威。扉を開けて一歩出ただけで襲い掛かってくる雪。足に積もっていく雪に顔を青ざめさせる彼女は扉を閉めた。
龍の歓迎の声と風の拒絶の声が村を襲う。朝がやってきてもそれは止まらず、屋根まで雪が積もった。こんな日は稀、村の人々は口々にそう言って昼からの雪かきに勤しむ。
「ハァハァ……。こりゃ堪えるね」
カレンも雪かきを手伝う。朝食を食べていてもすぐにお腹が空いてしまう程の労働。呆れて声をもらすと村の人々へと視線を向ける。
息を切らせることもなく、楽しそうに話しながら雪かきをしてる。5歳くらいの少女もいて、つらさで声を上げている人は誰一人としていない。愚痴をこぼした自分を恥ずかしく思うカレンは体が熱くなる程恥ずかしくなった。
「落とすよ~」
家の屋根からそんな声が聞こえてくる。ビートがピョンピョンと跳ねて屋根から雪を落とす。カレンは不意に落ちてきた雪に濡れる。『歓迎されてる』と雪まみれの顔で呟くカレンは、ここにいることを後悔した。
どんな魔物との戦いも楽しんでできる彼女だったが、雪かきは退屈と重労働の二重苦だ。もっとも彼女の嫌うところ。もちろん、誰かの為になることならば喜んでするほど優しいカレン。退屈さえなければ我慢できる。しかし、退屈は毒だ。おかされたら彼女の復讐心が死んでしまう。積もる雪に座ると一息つくカレン。そして、剣を手に取る。
「ビート。剣をもちな」
カレンは退屈と戦うことにした。ビートは元気に答えて家から剣を持ってくる。彼の背中のリュックも元気に彼を温める。
森の氷の葉っぱが光を落とす場所で訓練が始まる。カレンは鞘に納めたままの剣。ビートは抜き身にして剣を構える。ヤル気のない構えにカレンは首を傾げた。
『ビートは剣を持ちたくないの?』カレンはビートに質問した。そうすると彼もまた首を傾げる。なんで持っているのか理解していないビートは答えることが出来なかった。
ラトスの気まぐれ? そう感じたカレンは大きなため息をつく。そして、告げる。
「剣は自分の守りたいものを守るための物だ。”シーナさんを守るため”でいいんだよ。ラトスは知らん、自分で守れるだろ」
ラトスのことをけっ! と言わんばかりに吐き捨てるカレンにビートはクスッと笑う。
ビートはラトスと同じように優しかった。だが、剣は荒々しい。無邪気と言えば聞こえはいいが、重たいものを振り回す赤子は脅威でしかなかった。
『訓練されてるのはどっちだ』カレンはビートの剣を受けて心の中でそう思った。6歳の子供の剣の重さじゃない。下手に鍔迫り合いをしたら剣が折れる。受け流す、受け流す、くしくもラトスのような動きになっていくカレン。まさに訓練……自分の訓練になっているように感じて苦笑いがこぼれる。
「大体わかった」
カレンは冷や汗を拭って声を上げる。カレンは天才だった。ラトスの動きを学んでビートの剣圧を簡単に避けれるようになっていく。そんな彼女にビートは無邪気に大喜びし始める。『ラトスみたい』っと、その言葉にカレンは頬を膨らませる。改めて他者から言われると恥ずかしかったカレンは大きく落ち込む。
ラトスの真似っこ。カレンはそう感じてうなだれる。自分の目指す強さとは真逆の強さ。舞踊ともいえるような動きを真似してしまった。真似をしたということは強さを感じてしまったと同義、そう感じたカレンは悔しさをにじませる。それと同時にビートの強さに疑問を持った。
「ビート。その背中の荷物は何なんだ?」
カレンは最初から気になっていたリュックを指さす。”友達”と答えていた彼に改めて聞くと彼は再度ニッコリと微笑んで友達と答えた。
見せてもらってもいい? と聞きたくなった彼女だったが、怖さを感じて口を紡ぐ。この村は何かがおかしい。なぜかそう思った彼女は声をあげられなかった。
「ただの白い岩よ」
そんな疑問を払しょくしてくれたのはシーナだった。ただ温かいだけの岩、シーナはそう言って森に現れた。いつの間にか夕食時になっていたようで、彼女は二人を呼ぶためにやってきた。
カレンの戸惑いを払しょくするためにリュックを開けて見せるシーナ。真っ白な岩……いや、卵だろ、とカレンは苦笑いを浮かべる。
「卵なら割れるでしょ? でも全然割れないんだから。ほんとよ」
カレンの心の声に答えるシーナ。シーナも思ったことなので察して話す。ビートの剣で叩いて見せるシーナ。中々強くたたいているように見える。それを見てカレンは剣を振り上げる。雪の地面に置かれたドラゴンの卵。振り下ろされたカレンの剣がドラゴンの卵を雪へと押し込んでいく。そして、割れる。
「わ、私の剣!?」
そう、割れたのは彼女の剣……。割れなければただの岩、ドラゴンの卵はケラケラ笑うように雪の中で揺れる。
龍は歓迎しているつもり。だが、カレンは龍を感じて外へと飛び出す。凍てつく吹雪が彼女を襲う。
今まで戦ってきた敵よりも強力な自然の猛威。扉を開けて一歩出ただけで襲い掛かってくる雪。足に積もっていく雪に顔を青ざめさせる彼女は扉を閉めた。
龍の歓迎の声と風の拒絶の声が村を襲う。朝がやってきてもそれは止まらず、屋根まで雪が積もった。こんな日は稀、村の人々は口々にそう言って昼からの雪かきに勤しむ。
「ハァハァ……。こりゃ堪えるね」
カレンも雪かきを手伝う。朝食を食べていてもすぐにお腹が空いてしまう程の労働。呆れて声をもらすと村の人々へと視線を向ける。
息を切らせることもなく、楽しそうに話しながら雪かきをしてる。5歳くらいの少女もいて、つらさで声を上げている人は誰一人としていない。愚痴をこぼした自分を恥ずかしく思うカレンは体が熱くなる程恥ずかしくなった。
「落とすよ~」
家の屋根からそんな声が聞こえてくる。ビートがピョンピョンと跳ねて屋根から雪を落とす。カレンは不意に落ちてきた雪に濡れる。『歓迎されてる』と雪まみれの顔で呟くカレンは、ここにいることを後悔した。
どんな魔物との戦いも楽しんでできる彼女だったが、雪かきは退屈と重労働の二重苦だ。もっとも彼女の嫌うところ。もちろん、誰かの為になることならば喜んでするほど優しいカレン。退屈さえなければ我慢できる。しかし、退屈は毒だ。おかされたら彼女の復讐心が死んでしまう。積もる雪に座ると一息つくカレン。そして、剣を手に取る。
「ビート。剣をもちな」
カレンは退屈と戦うことにした。ビートは元気に答えて家から剣を持ってくる。彼の背中のリュックも元気に彼を温める。
森の氷の葉っぱが光を落とす場所で訓練が始まる。カレンは鞘に納めたままの剣。ビートは抜き身にして剣を構える。ヤル気のない構えにカレンは首を傾げた。
『ビートは剣を持ちたくないの?』カレンはビートに質問した。そうすると彼もまた首を傾げる。なんで持っているのか理解していないビートは答えることが出来なかった。
ラトスの気まぐれ? そう感じたカレンは大きなため息をつく。そして、告げる。
「剣は自分の守りたいものを守るための物だ。”シーナさんを守るため”でいいんだよ。ラトスは知らん、自分で守れるだろ」
ラトスのことをけっ! と言わんばかりに吐き捨てるカレンにビートはクスッと笑う。
ビートはラトスと同じように優しかった。だが、剣は荒々しい。無邪気と言えば聞こえはいいが、重たいものを振り回す赤子は脅威でしかなかった。
『訓練されてるのはどっちだ』カレンはビートの剣を受けて心の中でそう思った。6歳の子供の剣の重さじゃない。下手に鍔迫り合いをしたら剣が折れる。受け流す、受け流す、くしくもラトスのような動きになっていくカレン。まさに訓練……自分の訓練になっているように感じて苦笑いがこぼれる。
「大体わかった」
カレンは冷や汗を拭って声を上げる。カレンは天才だった。ラトスの動きを学んでビートの剣圧を簡単に避けれるようになっていく。そんな彼女にビートは無邪気に大喜びし始める。『ラトスみたい』っと、その言葉にカレンは頬を膨らませる。改めて他者から言われると恥ずかしかったカレンは大きく落ち込む。
ラトスの真似っこ。カレンはそう感じてうなだれる。自分の目指す強さとは真逆の強さ。舞踊ともいえるような動きを真似してしまった。真似をしたということは強さを感じてしまったと同義、そう感じたカレンは悔しさをにじませる。それと同時にビートの強さに疑問を持った。
「ビート。その背中の荷物は何なんだ?」
カレンは最初から気になっていたリュックを指さす。”友達”と答えていた彼に改めて聞くと彼は再度ニッコリと微笑んで友達と答えた。
見せてもらってもいい? と聞きたくなった彼女だったが、怖さを感じて口を紡ぐ。この村は何かがおかしい。なぜかそう思った彼女は声をあげられなかった。
「ただの白い岩よ」
そんな疑問を払しょくしてくれたのはシーナだった。ただ温かいだけの岩、シーナはそう言って森に現れた。いつの間にか夕食時になっていたようで、彼女は二人を呼ぶためにやってきた。
カレンの戸惑いを払しょくするためにリュックを開けて見せるシーナ。真っ白な岩……いや、卵だろ、とカレンは苦笑いを浮かべる。
「卵なら割れるでしょ? でも全然割れないんだから。ほんとよ」
カレンの心の声に答えるシーナ。シーナも思ったことなので察して話す。ビートの剣で叩いて見せるシーナ。中々強くたたいているように見える。それを見てカレンは剣を振り上げる。雪の地面に置かれたドラゴンの卵。振り下ろされたカレンの剣がドラゴンの卵を雪へと押し込んでいく。そして、割れる。
「わ、私の剣!?」
そう、割れたのは彼女の剣……。割れなければただの岩、ドラゴンの卵はケラケラ笑うように雪の中で揺れる。
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