13 / 22
第13話 夢追いかけて
しおりを挟む
龍は高笑いを上げる。風と共に新たな人間の失態を笑う。雪が降り吹雪となる。ゴ~っと音を立てる程の吹雪。龍の笑い声と風の笑い声が重なるとそんな音を奏でる。
村の人々は家の中で静かに笑い声が止むのを待った。その後の雪かきのことを考えると楽しくてしょうがない様子。
そんな中、カレンはため息をつく。自分の唯一の剣をみつめて涙を流す。どんな魔物との戦いも一緒に戦ってくれた剣。無理させていたのか、それともビートのドラゴンの卵が固かったのか。
どちらにしても軽率だった。まさか、剣が折れてしまうなんて、カレンは大きなため息で家の中に悲しみを溢れさせる。
「ハァ~~~~~~」
吹雪が止み、村の人々と共に雪かきが始まる。楽しそうにしているみんなと違い、カレンは大きなため息をついて白い息を吐いた。白い息の輝く光もまたカレンを笑っていた。雪もまた彼女を笑うのだろう。
そんな中でも彼女はけなげにビートの指導を始める。剣を振る彼に彼女は後ろから体の動きを教える。
「ビートは力が有り余ってる。もっと流麗に動けばいいんだよ。一撃を考えずにとにかく早く剣を振って当てることを考えるんだ」
まるで自分に言うかのようにそういうカレン。ビートを教えている間に自分の戦い方の無駄に気が付いていく。教えることで教わることがある。それに気が付いた時、遠くで見ていたラトスと目が合う。
カレンに足りないところがあると感じていたラトスは、彼女のためにもなると思って指導を頼んでいた。カレンはそれに気が付いて顔を赤くさせる。
自分が一流だと思っていた。そんな彼女は恥ずかしくて指導に熱を出していく。
「……」
ビートが剣を振る横で彼女は折れた剣を前において瞑想に入る。冷たい風が吹きかけられる。彼女はそれを受け入れて瞑想する。剣がなくても心の中で振れる。剣が折れてかえって鋭敏になった感覚があった。心穏やかに受け入れる感覚。
大地が銀色から緑となり、淡い赤い色に変わる。再度銀世界となるまでカレンは指導と瞑想を続けた。
雪山の龍と風が彼女を受け入れ始めた時、出立の時となった。
「世話になったね。楽しかったよ」
カレンはそう言ってニッコリと笑う。
彼女はビートの成長を見届けて折れた剣を置いて雪山を降りることにした。そんな剣しかプレゼントできなくてごめんな、そう言って7歳となったビートの頭を撫でる。
師匠! そう呼ぶビートを涙目で撫でる。これ以上ここにいたらもどれなくなってしまう。自分の成長を外で試したい、その二つの感情が彼女の中でぶつかり合い、成長が勝った。
悲しいけれど、彼女は目的を持ってる。この世界の魔物をすべて駆逐するという目的が。こんな……楽しくて嬉しいが沢山の雪山でぬくぬくしている時間はなかった。
カレンは大きなため息をついて家の扉を開く。さっきまで風も雪もふっていなかった。まるで彼女を行かせまいとしているかのような吹雪。でも、彼女は逃げない。
「じゃあね」
カレンはそう言って走り出す。吹雪の中、雪山を降りる。ツィーダの町へと颯爽と去っていく。それを見送るビートは涙を流した。『師匠泣いてた』師匠は僕と同じで悲しいんだ、そう思った彼は更に悲しくなってラトスを見つめる。
見つめられたラトスは首を横に振る。『まだダメだよ』そう言ってビートの頭を撫でる。ツィーダで冒険者になった。だけど、まだ一人で町に降りることはできない。
「危険だからね」
ラトスは悲しい表情で告げる。
危険、ビートが危険。ビートは純粋だ。ビートは単純だ。これだけ綺麗な原石、狙うものが現れる。ドラゴンの卵も同意して跳ねる。
しかし、危険なのは狙うもの達もそうだ。ビートと関わることですべてを失うだろう。彼の逆鱗に触れるであろう者達はすべて。それが貴族や王族だった時、国が変わるほどのことが起きてしまう。
ラトスはそう思って彼を一人で行かせるわけには行かなかった。ビートが喜ぶならそれでもいいじゃないか、心の中でそうも思った。だが、人が悲しむとビートが悲しむ、すべてがビートに牙をむいているように感じてしまったラトスだった。
考えるのをやめてビートを自由にするのを諦めたラトス。彼は臆病者か? いや違う、彼は間違いなくビートの父親だった。
「ビート、薬草はわかるかい?」
カレンが帰ってからの日常は少し変わった。朝起きて小枝を集めた後、素振りを一時間程こなしてラトスとの薬草探しが始まる。
ビートが傷つけてしまう人がいる。それならば治してしまえばいい。そう思ったラトスは薬づくりを教えることにした。
毎日新しい薬を作ってビートに教える。その作業がすべて新鮮で楽しくてしょうがないビート。僕もあのツィーダのレッシーさんに薬を卸ろせる日が来るのか~、と夢見てるビート。
町に降りる日を毎日指折り数えている。その姿が可愛らしくてしょうがないラトスは決心する。ビートが僕の知識をすべて持った時、それが彼を見送る時だなっと。
村の人々は家の中で静かに笑い声が止むのを待った。その後の雪かきのことを考えると楽しくてしょうがない様子。
そんな中、カレンはため息をつく。自分の唯一の剣をみつめて涙を流す。どんな魔物との戦いも一緒に戦ってくれた剣。無理させていたのか、それともビートのドラゴンの卵が固かったのか。
どちらにしても軽率だった。まさか、剣が折れてしまうなんて、カレンは大きなため息で家の中に悲しみを溢れさせる。
「ハァ~~~~~~」
吹雪が止み、村の人々と共に雪かきが始まる。楽しそうにしているみんなと違い、カレンは大きなため息をついて白い息を吐いた。白い息の輝く光もまたカレンを笑っていた。雪もまた彼女を笑うのだろう。
そんな中でも彼女はけなげにビートの指導を始める。剣を振る彼に彼女は後ろから体の動きを教える。
「ビートは力が有り余ってる。もっと流麗に動けばいいんだよ。一撃を考えずにとにかく早く剣を振って当てることを考えるんだ」
まるで自分に言うかのようにそういうカレン。ビートを教えている間に自分の戦い方の無駄に気が付いていく。教えることで教わることがある。それに気が付いた時、遠くで見ていたラトスと目が合う。
カレンに足りないところがあると感じていたラトスは、彼女のためにもなると思って指導を頼んでいた。カレンはそれに気が付いて顔を赤くさせる。
自分が一流だと思っていた。そんな彼女は恥ずかしくて指導に熱を出していく。
「……」
ビートが剣を振る横で彼女は折れた剣を前において瞑想に入る。冷たい風が吹きかけられる。彼女はそれを受け入れて瞑想する。剣がなくても心の中で振れる。剣が折れてかえって鋭敏になった感覚があった。心穏やかに受け入れる感覚。
大地が銀色から緑となり、淡い赤い色に変わる。再度銀世界となるまでカレンは指導と瞑想を続けた。
雪山の龍と風が彼女を受け入れ始めた時、出立の時となった。
「世話になったね。楽しかったよ」
カレンはそう言ってニッコリと笑う。
彼女はビートの成長を見届けて折れた剣を置いて雪山を降りることにした。そんな剣しかプレゼントできなくてごめんな、そう言って7歳となったビートの頭を撫でる。
師匠! そう呼ぶビートを涙目で撫でる。これ以上ここにいたらもどれなくなってしまう。自分の成長を外で試したい、その二つの感情が彼女の中でぶつかり合い、成長が勝った。
悲しいけれど、彼女は目的を持ってる。この世界の魔物をすべて駆逐するという目的が。こんな……楽しくて嬉しいが沢山の雪山でぬくぬくしている時間はなかった。
カレンは大きなため息をついて家の扉を開く。さっきまで風も雪もふっていなかった。まるで彼女を行かせまいとしているかのような吹雪。でも、彼女は逃げない。
「じゃあね」
カレンはそう言って走り出す。吹雪の中、雪山を降りる。ツィーダの町へと颯爽と去っていく。それを見送るビートは涙を流した。『師匠泣いてた』師匠は僕と同じで悲しいんだ、そう思った彼は更に悲しくなってラトスを見つめる。
見つめられたラトスは首を横に振る。『まだダメだよ』そう言ってビートの頭を撫でる。ツィーダで冒険者になった。だけど、まだ一人で町に降りることはできない。
「危険だからね」
ラトスは悲しい表情で告げる。
危険、ビートが危険。ビートは純粋だ。ビートは単純だ。これだけ綺麗な原石、狙うものが現れる。ドラゴンの卵も同意して跳ねる。
しかし、危険なのは狙うもの達もそうだ。ビートと関わることですべてを失うだろう。彼の逆鱗に触れるであろう者達はすべて。それが貴族や王族だった時、国が変わるほどのことが起きてしまう。
ラトスはそう思って彼を一人で行かせるわけには行かなかった。ビートが喜ぶならそれでもいいじゃないか、心の中でそうも思った。だが、人が悲しむとビートが悲しむ、すべてがビートに牙をむいているように感じてしまったラトスだった。
考えるのをやめてビートを自由にするのを諦めたラトス。彼は臆病者か? いや違う、彼は間違いなくビートの父親だった。
「ビート、薬草はわかるかい?」
カレンが帰ってからの日常は少し変わった。朝起きて小枝を集めた後、素振りを一時間程こなしてラトスとの薬草探しが始まる。
ビートが傷つけてしまう人がいる。それならば治してしまえばいい。そう思ったラトスは薬づくりを教えることにした。
毎日新しい薬を作ってビートに教える。その作業がすべて新鮮で楽しくてしょうがないビート。僕もあのツィーダのレッシーさんに薬を卸ろせる日が来るのか~、と夢見てるビート。
町に降りる日を毎日指折り数えている。その姿が可愛らしくてしょうがないラトスは決心する。ビートが僕の知識をすべて持った時、それが彼を見送る時だなっと。
13
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」
チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。
だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。
魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。
だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。
追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。
訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。
そして助けた少女は、実は王国の姫!?
「もう面倒ごとはごめんだ」
そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない
戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――!
現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、
中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。
怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として
荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。
だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、
貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。
『良領主様』――いや、『天才王子』と。
領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、
引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい!
「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく!
――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚!
こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています
是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~
Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。
三男。継承権は遠い。期待もされない。
——最高じゃないか。
「今度こそ、のんびり生きよう」
兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。
静かに暮らすつもりだった。
だが、彼には「構造把握」という能力があった。
物事の問題点が、図解のように見える力。
井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。
作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。
気づけば——領地が勝手に発展していた。
「俺ののんびりライフ、どこ行った……」
これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる