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第一章 落とされたもの
第3話 商売
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「おはようアート君。見事に準備は出来ているね」
「はい! ポーションが沢山あったので冒険者さん向けの道具屋にしようと思って」
「うんうん。前評判通り、アート君は勤勉でとてもいい子だ」
落とし物バッグを手に入れて次の日。店頭や商品棚にポーションをたくさん並べた。グランドさんがやってきて、僕を褒めてくれる。
「では開店しますよ!」
「はい!」
初めての営業はグランドさんも一緒にやってくれる。普通に僕一人に任せるなんておかしいもんな。
「ふむ、と言ってもお客さんはいないですね」
「は、はい」
別に開店記念とか特別な知らせを町に流しているわけでもないから待っている人もいない。流れてくる人が入ってくるのを待つしかないな。
「気長に待ちましょう。因みにお店の売り上げの3割をアート君の取り分となりますから頑張りましょうね」
「ええ!? 3割ですか? それはもらいすぎじゃ?」
「いいんですよ。勤勉なあなたへの正当な報酬です」
グランドさんは凄く僕を高く買ってくれてるみたいだ。グランドさんはいい人だから役に立ちたいな。そう思うと落とし物バッグを手に入れたことを黙っておくのはなんだか悪いな。
「あのグランドさん」
「ん? どうしたんだいアート君? おっと、お客さんだ。さあ、アート君接客をお願いしますよ」
落とし物バッグのことを言おうと口ごもる。すると、お店にお客さんが入ってきた。僕はすぐにお客さんの元へ駆け寄る。
軽鎧を着てるお姉さんがポーションを眺めてる。
「銀貨1枚か~。高いな~」
お姉さんは僕と同じようにポーションが高いと思ってるみたい。Eランクのポーションは切り傷が少し治るくらいの効力だからな~。あんまり多用したくないよね。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
「あ、少しポーションをね。でも、高くて……」
お姉さんに声をかけると困った表情になって行く。銀貨1枚はお姉さんにとっても高価なものみたいだな。
「もう少し安くならないかな~。例えば大銅貨50枚くらいに。そうすれば銀貨で2本買えるでしょ?」
「ん~。じゃあ、こうしましょう。今日、このお店は初めて開店したんです」
「え? そうだったの?」
初めて開店したの知らなかったみたいだ。少し宣伝不足じゃないのかな、グランドさん。
「なのでですね。初めてのお客様がお姉さんなんです」
「そうなの?」
「はい。なので特別に大銅貨50枚で1本。銀貨を出してくれるなら2本で売りますよ」
「え!? いいの?」
「はい」
お店の初めてのお客さんって言うのもあるけど、僕の初めてのお客さんでもある。おまけしても罰は当たらないとおもう。
「じゃ! 銀貨1枚で2本!」
「はい。確かにいただきます。ではポーションを2本」
銀貨1枚を受け取ってポーションを手渡す。
「やった~、ありがとうね。私スティナ。戦士でパーティーを組んでるんだ。あなたは?」
「僕はアートって言います。よろしくお願いしますね」
「ふふ、よろしくね。今度からこのお店を使うね。ありがとう。またね」
自己紹介をしあうと彼女は頬を赤く染めて頭を撫でてくれた。
「アート君は接客の才能があるようですね」
「そうですか?」
「はい。初期投資はとても良い接客ですよ。それと初めてのお客様と言うのを意識させるのもとてもいいです。特別感が出ますからこのお店を御贔屓にしてくれます」
グランドさんが褒めてくれる。知らなかったけど、そう言うものなのかな?
「おや、早速、冒険者のお客様がやってきましたよ。次も頑張ってください」
「はい!」
お客さんがたくさん入ってくる。スティナさんが出ていってポーションを腰に差していたから宣伝になったのかもしれない。
「ポーションください!」
「はい! 今日は特別サービスで銀貨1枚で2本うりますよ~」
「え!? じゃあ銀貨1枚!」
「はい。ありがとうございま~す」
すべてのお客さんに結局2本売りのサービスをすることにした。グランドさんが用意してくれてたポーション以外にもたくさんあるから、いくらでもサービス出来ちゃう。
楽しい接客をしているとあっという間に夕方になる。夕日が窓から差し込んでくるまでわからなかった。お昼を食べるのも忘れてたよ。お腹すいた。
「またのお越しをお待ちしております……。アート君あなたは素晴らしい」
「グランドさん?」
お腹を摩っているとグランドさんが抱きしめてくる。流石に恥ずかしいので照れているとグランドさんは僕を放して椅子に腰かけた。
「今日一日、見させていただきましたよ。あなたにならこのお店を任せられるでしょう」
「ええ!? これから一人でやるんですか?」
「はい。元々その予定でしたでしょう? 話しましたよね」
た、確かにそう言っていたけど、別の人もいるものだと思っていたよ。流石に8歳の少年にお店を任せるなんて普通はやらない。
「あなたの責任感の高さは信頼をおけます。一人でダメならば人を用意することも出来ますが、あてがあるならその方でもいいですよ。アート君が推薦するのでしたら信頼における人物でしょう」
今日の仕事量を考えると一人じゃ無理だ。地下からポーションを持ってくる間にお客さんを一人にしてしまう。盗んでくださいと言っているようなものだもん。人か……。
「分かりました。やってみます」
「では明日から任せましたよ」
グランドさんは僕の返事を聞くと椅子からゆっくりと立ち上がってニッコリと微笑む。
改めて考えると8歳の僕にお店を任せるなんておかしな人だよな。ただのいい人じゃ説明つかないよな~。
グ~! グランドさんのことを考えていたらお腹が鳴る。
「そうだった! お腹空いてたんだった。すぐに何か食べよう。それから人を探さないと」
「はい! ポーションが沢山あったので冒険者さん向けの道具屋にしようと思って」
「うんうん。前評判通り、アート君は勤勉でとてもいい子だ」
落とし物バッグを手に入れて次の日。店頭や商品棚にポーションをたくさん並べた。グランドさんがやってきて、僕を褒めてくれる。
「では開店しますよ!」
「はい!」
初めての営業はグランドさんも一緒にやってくれる。普通に僕一人に任せるなんておかしいもんな。
「ふむ、と言ってもお客さんはいないですね」
「は、はい」
別に開店記念とか特別な知らせを町に流しているわけでもないから待っている人もいない。流れてくる人が入ってくるのを待つしかないな。
「気長に待ちましょう。因みにお店の売り上げの3割をアート君の取り分となりますから頑張りましょうね」
「ええ!? 3割ですか? それはもらいすぎじゃ?」
「いいんですよ。勤勉なあなたへの正当な報酬です」
グランドさんは凄く僕を高く買ってくれてるみたいだ。グランドさんはいい人だから役に立ちたいな。そう思うと落とし物バッグを手に入れたことを黙っておくのはなんだか悪いな。
「あのグランドさん」
「ん? どうしたんだいアート君? おっと、お客さんだ。さあ、アート君接客をお願いしますよ」
落とし物バッグのことを言おうと口ごもる。すると、お店にお客さんが入ってきた。僕はすぐにお客さんの元へ駆け寄る。
軽鎧を着てるお姉さんがポーションを眺めてる。
「銀貨1枚か~。高いな~」
お姉さんは僕と同じようにポーションが高いと思ってるみたい。Eランクのポーションは切り傷が少し治るくらいの効力だからな~。あんまり多用したくないよね。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
「あ、少しポーションをね。でも、高くて……」
お姉さんに声をかけると困った表情になって行く。銀貨1枚はお姉さんにとっても高価なものみたいだな。
「もう少し安くならないかな~。例えば大銅貨50枚くらいに。そうすれば銀貨で2本買えるでしょ?」
「ん~。じゃあ、こうしましょう。今日、このお店は初めて開店したんです」
「え? そうだったの?」
初めて開店したの知らなかったみたいだ。少し宣伝不足じゃないのかな、グランドさん。
「なのでですね。初めてのお客様がお姉さんなんです」
「そうなの?」
「はい。なので特別に大銅貨50枚で1本。銀貨を出してくれるなら2本で売りますよ」
「え!? いいの?」
「はい」
お店の初めてのお客さんって言うのもあるけど、僕の初めてのお客さんでもある。おまけしても罰は当たらないとおもう。
「じゃ! 銀貨1枚で2本!」
「はい。確かにいただきます。ではポーションを2本」
銀貨1枚を受け取ってポーションを手渡す。
「やった~、ありがとうね。私スティナ。戦士でパーティーを組んでるんだ。あなたは?」
「僕はアートって言います。よろしくお願いしますね」
「ふふ、よろしくね。今度からこのお店を使うね。ありがとう。またね」
自己紹介をしあうと彼女は頬を赤く染めて頭を撫でてくれた。
「アート君は接客の才能があるようですね」
「そうですか?」
「はい。初期投資はとても良い接客ですよ。それと初めてのお客様と言うのを意識させるのもとてもいいです。特別感が出ますからこのお店を御贔屓にしてくれます」
グランドさんが褒めてくれる。知らなかったけど、そう言うものなのかな?
「おや、早速、冒険者のお客様がやってきましたよ。次も頑張ってください」
「はい!」
お客さんがたくさん入ってくる。スティナさんが出ていってポーションを腰に差していたから宣伝になったのかもしれない。
「ポーションください!」
「はい! 今日は特別サービスで銀貨1枚で2本うりますよ~」
「え!? じゃあ銀貨1枚!」
「はい。ありがとうございま~す」
すべてのお客さんに結局2本売りのサービスをすることにした。グランドさんが用意してくれてたポーション以外にもたくさんあるから、いくらでもサービス出来ちゃう。
楽しい接客をしているとあっという間に夕方になる。夕日が窓から差し込んでくるまでわからなかった。お昼を食べるのも忘れてたよ。お腹すいた。
「またのお越しをお待ちしております……。アート君あなたは素晴らしい」
「グランドさん?」
お腹を摩っているとグランドさんが抱きしめてくる。流石に恥ずかしいので照れているとグランドさんは僕を放して椅子に腰かけた。
「今日一日、見させていただきましたよ。あなたにならこのお店を任せられるでしょう」
「ええ!? これから一人でやるんですか?」
「はい。元々その予定でしたでしょう? 話しましたよね」
た、確かにそう言っていたけど、別の人もいるものだと思っていたよ。流石に8歳の少年にお店を任せるなんて普通はやらない。
「あなたの責任感の高さは信頼をおけます。一人でダメならば人を用意することも出来ますが、あてがあるならその方でもいいですよ。アート君が推薦するのでしたら信頼における人物でしょう」
今日の仕事量を考えると一人じゃ無理だ。地下からポーションを持ってくる間にお客さんを一人にしてしまう。盗んでくださいと言っているようなものだもん。人か……。
「分かりました。やってみます」
「では明日から任せましたよ」
グランドさんは僕の返事を聞くと椅子からゆっくりと立ち上がってニッコリと微笑む。
改めて考えると8歳の僕にお店を任せるなんておかしな人だよな。ただのいい人じゃ説明つかないよな~。
グ~! グランドさんのことを考えていたらお腹が鳴る。
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