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第一章 落とされたもの
第12話 防衛
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「アート君達も大変だね。休みにこんなことになって」
フィアさんが僕らのことを気遣ってくれる。
「そうですね。孤児院にも行こうと思ったんだけど、時間無くなっちゃったな~」
「孤児院?」
「はい。僕は孤児院で育ったのでお土産を持っていこうと思ってたんですけどね」
首を傾げるフィアさんに答えるとスティナさんがなぜか涙を浮かべてる。
「孤児院で育って、今はそんなに立派になって~、お母さんは嬉しいよ~」
「お前はお母さんじゃない!」
「痛!」
泣きながら抱き着いてくるスティナさんをユラさんがはたく。面白いお姉さんたちだな~。
「それはさておき、アート君達はポーションを卸してくれたんだね。ありがと~。使わせてもらうね~」
気を取り直してスティナさんがお礼を言ってくれる。
「いえ、町を守ってくれる皆さんに少しでも力になれるなら安いです。皆さんも頑張ってください」
みんなを応援して声をあげる。スティナさん達だけじゃなくて列に並んでいる人も親指を立てて答えてくれた。
「でも正直今回は気が楽なんだよね」
「え? なんでですか?」
「魔物の群れがゴブリンらしいからね」
スティナさんはそう言って微笑む。
魔物にもランクがあるからそれで敵の強さが分かる。ゴブリンは最低ランクのEランク。子供でも勝てると言われている魔物だからみんな楽観的なんだよな。
「じゃあ安心なんですね」
「うん。怪我もしないかもしれないけど、ポーションは使うから」
「は、はい。怪我がないことは良いことですね」
スティナさんの言葉に戸惑いながら返事をする。
「スティナが馬鹿だからアート君も困っちゃってるよ」
「ふふ、面白いね」
ユラさんとフィアさんは僕の様子を見て面白がってる。いいコンビだな。
「では、僕らはこれで」
「あら? アート君?」
「え? あっ、エマさん」
そろそろお店に戻ろうと思って声をあげるとエマさんが声をかけてきた。司祭様も一緒だ、どうしたんだろう?
「どうしたんですか?」
「私と司祭様は回復魔法がつかえるからね。防衛戦をする際は要請が来るのよ」
魔物の群れが来ることはなかったから知らなかった。でも、そうなると孤児院はどうなってるんだろ?
「孤児院には誰がいるんですか?」
「誰もいないわ。でも大丈夫よ。みんな寝ているから」
「そうなんですか……」
寝てるって言ってもお昼寝とかそういったものだよな。心配だから僕らが行ったほうがいいかもな。
「エマさん、僕らは用事終わったので孤児院に行こうと思うんですけど」
「え? いいの? じゃあ、司祭様」
「ん、分かった」
エマさんも本当は心配だったみたいで声をあげると司祭様から鍵を手渡された。
「アート君ありがとう。子供達をお願いね」
「ありがとうアート」
エマさんと司祭様がお礼を言ってくれる。頷いて答えると二人はそのまま城壁上へと向かった。
「ハチミツ菓子を持っていけますね」
「うん、よかった」
「みんなとハチミツ菓子食べれる~」
シエルさんとイーマちゃんと共に孤児院に向かうことにした。今日中にハチミツ菓子をあげれるのはよかったな。
「シスターどこ~?」
教会、孤児院の前につくと女の子が建物の外に出ていた。確かあの子の名前は、
「ルーちゃん」
「!? あ~アートお兄ちゃんだ~」
一年程一緒に暮らしていた子だから僕のことを覚えていたみたい。他の子達も変わりないかな。
「エマさんが仕事に行っちゃったから代わりに来たんだ」
「え~、シスターいないってこと~……。お姉ちゃん達はだ~れ?」
エマさんが帰らないことを教えるとすぐにシエルさん達へと視線を向けるルーちゃん。シエルさんは彼女の背丈にあわせて座ると頭を撫でてあげてる。
「私はシエル。こっちはイーマ、よろしくね」
「よろしくねルーちゃん」
「うん! 一緒に遊ぼ、イーマちゃん!」
やっぱり子供は子供同士、ルーちゃんはイーマちゃんと手を握り合って孤児院に入って行った。
「子供同士はすぐに仲良くなれるね」
「はい。イーマも同年代と遊ぶのは初めてだと思うので、嬉しいんだと思います」
イーマちゃんが楽しそうにしていたのを見てシエルさんが微笑む。そういう彼女も嬉しそうにしてる。
「みんな~、アートお兄ちゃんが来たよ~」
『わ~!』
孤児院に入ると子供達が迎えてくれた。
「みんな、ハチミツ菓子を買ってきたよ~」
「ハチミツ菓子好き~!」
ハチミツ菓子を取り出して机に並べるとルーちゃんを皮切りにみんな群がっていく。
「ふふ、頬についてるわよ」
「あ、ありがと~」
シエルさんに頬を拭ってもらう男の子。彼女は綺麗な人だから緊張してる様子。
「シエルお姉ちゃんはアートお兄ちゃんのな~に?」
「へ?」
急にルーちゃんが声をあげた。子供達も興味津々と目を輝かせている。
「アートお兄ちゃんは私の家族だよ~。だからシエルお姉ちゃんとも家族~」
「ええ~!? それって結婚してるってこと~。凄~い」
イーマちゃんがハチミツ菓子を食べながら答えるとルーちゃんが驚いて声をあげた。
否定しようにも子供達は聞く耳を持ってくれない。
「結婚なんて8歳じゃ無理なのに。ねぇシエルさん」
「そ、そうですね」
子供達の反応が面白いからシエルさんに話すと彼女は頬を赤く染めてそっぽを向いた。
彼女はあんまりこういう話題は嫌いなのかな?
「エマさんは今日帰ってこないから、僕らと一緒に寝ようね」
『は~い』
面倒を見ると言っても孤児院の生活はそれほど複雑じゃない。子供と言っても自分のことはちゃんとできる子達だから、危険なことをさせないようにするくらいしか仕事はないんだよな。
みんなで一緒に寝室に行ってベッドに横たわる。男の子は僕の周りに、女の子はシエルさんの周りに寝っ転がっていく。ベッドはみんな引っ付けてしまっているから大きなベッドみたいになってる。引っ付いてくる子供達はとても温かいな。
フィアさんが僕らのことを気遣ってくれる。
「そうですね。孤児院にも行こうと思ったんだけど、時間無くなっちゃったな~」
「孤児院?」
「はい。僕は孤児院で育ったのでお土産を持っていこうと思ってたんですけどね」
首を傾げるフィアさんに答えるとスティナさんがなぜか涙を浮かべてる。
「孤児院で育って、今はそんなに立派になって~、お母さんは嬉しいよ~」
「お前はお母さんじゃない!」
「痛!」
泣きながら抱き着いてくるスティナさんをユラさんがはたく。面白いお姉さんたちだな~。
「それはさておき、アート君達はポーションを卸してくれたんだね。ありがと~。使わせてもらうね~」
気を取り直してスティナさんがお礼を言ってくれる。
「いえ、町を守ってくれる皆さんに少しでも力になれるなら安いです。皆さんも頑張ってください」
みんなを応援して声をあげる。スティナさん達だけじゃなくて列に並んでいる人も親指を立てて答えてくれた。
「でも正直今回は気が楽なんだよね」
「え? なんでですか?」
「魔物の群れがゴブリンらしいからね」
スティナさんはそう言って微笑む。
魔物にもランクがあるからそれで敵の強さが分かる。ゴブリンは最低ランクのEランク。子供でも勝てると言われている魔物だからみんな楽観的なんだよな。
「じゃあ安心なんですね」
「うん。怪我もしないかもしれないけど、ポーションは使うから」
「は、はい。怪我がないことは良いことですね」
スティナさんの言葉に戸惑いながら返事をする。
「スティナが馬鹿だからアート君も困っちゃってるよ」
「ふふ、面白いね」
ユラさんとフィアさんは僕の様子を見て面白がってる。いいコンビだな。
「では、僕らはこれで」
「あら? アート君?」
「え? あっ、エマさん」
そろそろお店に戻ろうと思って声をあげるとエマさんが声をかけてきた。司祭様も一緒だ、どうしたんだろう?
「どうしたんですか?」
「私と司祭様は回復魔法がつかえるからね。防衛戦をする際は要請が来るのよ」
魔物の群れが来ることはなかったから知らなかった。でも、そうなると孤児院はどうなってるんだろ?
「孤児院には誰がいるんですか?」
「誰もいないわ。でも大丈夫よ。みんな寝ているから」
「そうなんですか……」
寝てるって言ってもお昼寝とかそういったものだよな。心配だから僕らが行ったほうがいいかもな。
「エマさん、僕らは用事終わったので孤児院に行こうと思うんですけど」
「え? いいの? じゃあ、司祭様」
「ん、分かった」
エマさんも本当は心配だったみたいで声をあげると司祭様から鍵を手渡された。
「アート君ありがとう。子供達をお願いね」
「ありがとうアート」
エマさんと司祭様がお礼を言ってくれる。頷いて答えると二人はそのまま城壁上へと向かった。
「ハチミツ菓子を持っていけますね」
「うん、よかった」
「みんなとハチミツ菓子食べれる~」
シエルさんとイーマちゃんと共に孤児院に向かうことにした。今日中にハチミツ菓子をあげれるのはよかったな。
「シスターどこ~?」
教会、孤児院の前につくと女の子が建物の外に出ていた。確かあの子の名前は、
「ルーちゃん」
「!? あ~アートお兄ちゃんだ~」
一年程一緒に暮らしていた子だから僕のことを覚えていたみたい。他の子達も変わりないかな。
「エマさんが仕事に行っちゃったから代わりに来たんだ」
「え~、シスターいないってこと~……。お姉ちゃん達はだ~れ?」
エマさんが帰らないことを教えるとすぐにシエルさん達へと視線を向けるルーちゃん。シエルさんは彼女の背丈にあわせて座ると頭を撫でてあげてる。
「私はシエル。こっちはイーマ、よろしくね」
「よろしくねルーちゃん」
「うん! 一緒に遊ぼ、イーマちゃん!」
やっぱり子供は子供同士、ルーちゃんはイーマちゃんと手を握り合って孤児院に入って行った。
「子供同士はすぐに仲良くなれるね」
「はい。イーマも同年代と遊ぶのは初めてだと思うので、嬉しいんだと思います」
イーマちゃんが楽しそうにしていたのを見てシエルさんが微笑む。そういう彼女も嬉しそうにしてる。
「みんな~、アートお兄ちゃんが来たよ~」
『わ~!』
孤児院に入ると子供達が迎えてくれた。
「みんな、ハチミツ菓子を買ってきたよ~」
「ハチミツ菓子好き~!」
ハチミツ菓子を取り出して机に並べるとルーちゃんを皮切りにみんな群がっていく。
「ふふ、頬についてるわよ」
「あ、ありがと~」
シエルさんに頬を拭ってもらう男の子。彼女は綺麗な人だから緊張してる様子。
「シエルお姉ちゃんはアートお兄ちゃんのな~に?」
「へ?」
急にルーちゃんが声をあげた。子供達も興味津々と目を輝かせている。
「アートお兄ちゃんは私の家族だよ~。だからシエルお姉ちゃんとも家族~」
「ええ~!? それって結婚してるってこと~。凄~い」
イーマちゃんがハチミツ菓子を食べながら答えるとルーちゃんが驚いて声をあげた。
否定しようにも子供達は聞く耳を持ってくれない。
「結婚なんて8歳じゃ無理なのに。ねぇシエルさん」
「そ、そうですね」
子供達の反応が面白いからシエルさんに話すと彼女は頬を赤く染めてそっぽを向いた。
彼女はあんまりこういう話題は嫌いなのかな?
「エマさんは今日帰ってこないから、僕らと一緒に寝ようね」
『は~い』
面倒を見ると言っても孤児院の生活はそれほど複雑じゃない。子供と言っても自分のことはちゃんとできる子達だから、危険なことをさせないようにするくらいしか仕事はないんだよな。
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