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第一章 神様からの贈り物
第三話 村最後の夜
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「アレクと一緒でよかった~」
「一緒って?」
「ふふ、この世界でたった一つのギフトだよ~」
シーナはそう言ってほほ笑んだ。シーナは巫女で僕は裁縫のギフト。この世界でただ一つのギフトだ。そんなものを僕が貰ってよかったのかな?
「ちょっと、アレクは嬉しくないの?」
「え? あ~そりゃ嬉しいよ。だってこの世界に一つのギフトだもん」
「そっちじゃなくて~、も~(私と一緒が嬉しくないのかな・・)」
「え?」
シーナは頬を膨らませて怒り出した。小声で呟いていたけど聞こえなかったな~そっちじゃないって何のことだろう?
「「ただいま~」」
「おかえりなさい、どうだった?」
「えへへ~」
僕らはシーナの家に帰ってきた。明日にはこの村を出るから、特別に今日はシーナの家で夕食をごちそうになる事になった。僕らはシーナの両親にギフトの話をすると二人して喜んでくれた。
「凄いじゃないのアレク」
「シーナも巫女なんて、まるで母さんみたいだ」
シーナのお母さんは僕の頭を撫でて、お父さんはシーナを抱き上げて喜んでいる。シーナもとても嬉しそうで僕も頬が緩む。やっぱり、自分の事のように喜んでくれる存在っていいな~。
「しかし・・・明日で二人が旅立つのは寂しいな~」
「そうね~」
そういって二人は悲しそうな顔になっていった。
「ちょっと二人とも、旅立ちは笑顔で見送ってくれないと旅立てないでしょ~」
「ははは、すまんすまん」
シーナはおじさんのおでこを突いた。
「懐かしいわね~。私もあなたのおじいちゃんにそういったのよ」
「へ~、お父さん達の子供時代か~。聞かせて~」
「そうね~。じゃあ夕食を食べながら話そうかしら。ジンが私に告白した事とか~」
「おい、アイリ。告白はお前から」
シーナ達はそう言って机に食器を並べていく。仲のいい家族ってなんでこんなに心が温まるのだろうか。
「アレク、こっちに来なさい」
「そうよ。あなたも私たちの子供なんだから」
「・・はい」
「アレク。泣いているの?」
シーナ達を見ていると不意にジンさんから言葉が投げかけられた。僕も家族と言ってくれたことに驚いて涙が出るとシーナが抱きしめてくれた。
「ジンの言う通り。二人とも私達の家族よ」
「ああ、二人は誰にも渡さないぞ~」
「ジン、茶化さないで」
「茶化してないさ。本当に誰にも渡さんぞ。嫌なことがあったらすぐに帰ってきていいんだからな」
アイリさんとジンさんは僕とシーナを一緒に抱きしめてほほ笑んだ。とても温かい家族の火、僕はとても幸せだ。
この後、僕らは温かい夕食を食べながらジンさんとアイリさんの馴れ初めを聞いた。
何度も言い合いになったけど、とても楽しそうに話す二人。二人の話には僕の父さんと母さんも出てきて、二人も仲が良かったことが分かった。それに、とっても強かったんだってさ。ギルドから直接依頼が来るほどの実力者で二人が居なかったらこの村は守れなかったんだってさ。僕も二人みたいな人を守れる存在になれるかな。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様」
「それじゃ」
夕食を食べ終えたので僕は自分の家に帰ろうと椅子から立ち上がる。
「ちょっとアレク。今日は泊っていってよ。いいでしょ? 父さん母さん」
「え?」
シーナがそう言って僕の手を引いた。ジンさんもアイリさんもクスクス笑って頷いている。
「決まり!」
「ちょ! 泊まるって言っても部屋は二つしかないじゃないか」
ジンさんとアイリさんは二人で一部屋。あとはシーナの部屋しかない。
「だから、私の部屋で寝ればいいんだよ。小さいころ一緒に良く寝たでしょ?」
「いやいや、あの頃は」
「懐かしいな~。寂しくてアレクが泣いちゃって、泣きやんで寝るまで母さんに慰めてもらってたっけ~」
「そんなこと・・・あるけど・・」
あの時はすみませんでしたアイリさん。
「いいのよ。また寂しくて胸に顔をうずめても」
「ちゃ、茶化さないでください!」
アイリさんがそう言って胸をポヨンポヨンさせている。ほらっジンさんが睨んでますって。
「うむ、アイリの胸はいいものだ」
睨んでいると思ったら納得していただけでした。
「私だって大きくなるもん」
自分の胸を触ってそう言うシーナ。同い年の子と比べると十分大きいので大丈夫だよシーナ。
「というわけで僕は・・・」
「だ~め! この村最後の夜なんだよ~。色々話したい事もあるんだから~」
逃げようと思ったら腕に抱き着かれて引っ張られる、柔らかい胸が腕に当たる~。
ギフトのせいか彼女の力が強くなっているような気がする、抵抗できません。
チクチクチクチク
「アレク~、早く寝ようよ~」
「うん、あと少しね~」
早速、僕は裁縫ギフトを使用してみることにした。
「あと3個程作るからそれからね~」
「え~、そんなに?」
「何があるかわからないからね。一応作っておくんだよ」
裁縫ギフトは凄い力を秘めていた。僕は食事後に数個手袋を作ったんだ。簡単な皮で出来た手袋、手の形に切った動物の皮を張り合わせただけの簡単な物で、今10個程製作して、職業を付与してみたんだ。使う時が楽しみ。
「終わった~」
「えっ? もう?」
シーナは驚いて聞き返してきた。簡単と言っても縫うわけだから普通は30分はかかるはずだよね。僕も速度が上がってるって実感はある。
僕はあくびをして、シーナのベッドにもぐりこむ。
「えへへ、アレクと一緒~」
「昔みたいだね」
僕の両親が死んでしまった後、ジンさんとアイリさんに救われた。
シーナとはその後、何年か一緒に寝ていたんだ。流石に恥ずかしくなってやめるようになったけどね。
「お休みシーナ」
「おやすみなさいアレク」
僕の背に頭をこすり付けてシーナは寝息をたてていった。
「明日楽しみだね」
「ん? ああ、そうだね」
寝息をたてたと思ったらシーナがしゃべりかけてきた。どうやら、長い夜になりそうです。
「一緒って?」
「ふふ、この世界でたった一つのギフトだよ~」
シーナはそう言ってほほ笑んだ。シーナは巫女で僕は裁縫のギフト。この世界でただ一つのギフトだ。そんなものを僕が貰ってよかったのかな?
「ちょっと、アレクは嬉しくないの?」
「え? あ~そりゃ嬉しいよ。だってこの世界に一つのギフトだもん」
「そっちじゃなくて~、も~(私と一緒が嬉しくないのかな・・)」
「え?」
シーナは頬を膨らませて怒り出した。小声で呟いていたけど聞こえなかったな~そっちじゃないって何のことだろう?
「「ただいま~」」
「おかえりなさい、どうだった?」
「えへへ~」
僕らはシーナの家に帰ってきた。明日にはこの村を出るから、特別に今日はシーナの家で夕食をごちそうになる事になった。僕らはシーナの両親にギフトの話をすると二人して喜んでくれた。
「凄いじゃないのアレク」
「シーナも巫女なんて、まるで母さんみたいだ」
シーナのお母さんは僕の頭を撫でて、お父さんはシーナを抱き上げて喜んでいる。シーナもとても嬉しそうで僕も頬が緩む。やっぱり、自分の事のように喜んでくれる存在っていいな~。
「しかし・・・明日で二人が旅立つのは寂しいな~」
「そうね~」
そういって二人は悲しそうな顔になっていった。
「ちょっと二人とも、旅立ちは笑顔で見送ってくれないと旅立てないでしょ~」
「ははは、すまんすまん」
シーナはおじさんのおでこを突いた。
「懐かしいわね~。私もあなたのおじいちゃんにそういったのよ」
「へ~、お父さん達の子供時代か~。聞かせて~」
「そうね~。じゃあ夕食を食べながら話そうかしら。ジンが私に告白した事とか~」
「おい、アイリ。告白はお前から」
シーナ達はそう言って机に食器を並べていく。仲のいい家族ってなんでこんなに心が温まるのだろうか。
「アレク、こっちに来なさい」
「そうよ。あなたも私たちの子供なんだから」
「・・はい」
「アレク。泣いているの?」
シーナ達を見ていると不意にジンさんから言葉が投げかけられた。僕も家族と言ってくれたことに驚いて涙が出るとシーナが抱きしめてくれた。
「ジンの言う通り。二人とも私達の家族よ」
「ああ、二人は誰にも渡さないぞ~」
「ジン、茶化さないで」
「茶化してないさ。本当に誰にも渡さんぞ。嫌なことがあったらすぐに帰ってきていいんだからな」
アイリさんとジンさんは僕とシーナを一緒に抱きしめてほほ笑んだ。とても温かい家族の火、僕はとても幸せだ。
この後、僕らは温かい夕食を食べながらジンさんとアイリさんの馴れ初めを聞いた。
何度も言い合いになったけど、とても楽しそうに話す二人。二人の話には僕の父さんと母さんも出てきて、二人も仲が良かったことが分かった。それに、とっても強かったんだってさ。ギルドから直接依頼が来るほどの実力者で二人が居なかったらこの村は守れなかったんだってさ。僕も二人みたいな人を守れる存在になれるかな。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様」
「それじゃ」
夕食を食べ終えたので僕は自分の家に帰ろうと椅子から立ち上がる。
「ちょっとアレク。今日は泊っていってよ。いいでしょ? 父さん母さん」
「え?」
シーナがそう言って僕の手を引いた。ジンさんもアイリさんもクスクス笑って頷いている。
「決まり!」
「ちょ! 泊まるって言っても部屋は二つしかないじゃないか」
ジンさんとアイリさんは二人で一部屋。あとはシーナの部屋しかない。
「だから、私の部屋で寝ればいいんだよ。小さいころ一緒に良く寝たでしょ?」
「いやいや、あの頃は」
「懐かしいな~。寂しくてアレクが泣いちゃって、泣きやんで寝るまで母さんに慰めてもらってたっけ~」
「そんなこと・・・あるけど・・」
あの時はすみませんでしたアイリさん。
「いいのよ。また寂しくて胸に顔をうずめても」
「ちゃ、茶化さないでください!」
アイリさんがそう言って胸をポヨンポヨンさせている。ほらっジンさんが睨んでますって。
「うむ、アイリの胸はいいものだ」
睨んでいると思ったら納得していただけでした。
「私だって大きくなるもん」
自分の胸を触ってそう言うシーナ。同い年の子と比べると十分大きいので大丈夫だよシーナ。
「というわけで僕は・・・」
「だ~め! この村最後の夜なんだよ~。色々話したい事もあるんだから~」
逃げようと思ったら腕に抱き着かれて引っ張られる、柔らかい胸が腕に当たる~。
ギフトのせいか彼女の力が強くなっているような気がする、抵抗できません。
チクチクチクチク
「アレク~、早く寝ようよ~」
「うん、あと少しね~」
早速、僕は裁縫ギフトを使用してみることにした。
「あと3個程作るからそれからね~」
「え~、そんなに?」
「何があるかわからないからね。一応作っておくんだよ」
裁縫ギフトは凄い力を秘めていた。僕は食事後に数個手袋を作ったんだ。簡単な皮で出来た手袋、手の形に切った動物の皮を張り合わせただけの簡単な物で、今10個程製作して、職業を付与してみたんだ。使う時が楽しみ。
「終わった~」
「えっ? もう?」
シーナは驚いて聞き返してきた。簡単と言っても縫うわけだから普通は30分はかかるはずだよね。僕も速度が上がってるって実感はある。
僕はあくびをして、シーナのベッドにもぐりこむ。
「えへへ、アレクと一緒~」
「昔みたいだね」
僕の両親が死んでしまった後、ジンさんとアイリさんに救われた。
シーナとはその後、何年か一緒に寝ていたんだ。流石に恥ずかしくなってやめるようになったけどね。
「お休みシーナ」
「おやすみなさいアレク」
僕の背に頭をこすり付けてシーナは寝息をたてていった。
「明日楽しみだね」
「ん? ああ、そうだね」
寝息をたてたと思ったらシーナがしゃべりかけてきた。どうやら、長い夜になりそうです。
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