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第一章 神様からの贈り物

第六話 ドルドランの町

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「うわ~! ・・・でっかいな~」

 初めての野営から一週間、僕らは街道を歩いて大きな町の見える所まで着いた。町は大きな壁に覆われていてとても大きいのが伺える。
 ドルドランという町で、僕らの村に来た行商のおじさんとかから聞いたことはあったけどこんなに大きいとは思わなかった。遠目で見ると1キロはありそうな壁で四方が囲まれている。僕らの町の10倍じゃ効かないほどの大きさだね。

「何だか緊張するね」

 街道を歩きながら町の門へと歩いていると近づいてくる町にシーナは口を開いた。さっきまで楽しみとか面白そうとか言っていたのに。

「大丈夫だよ。行商のおじさんが言っていただろ。みんないい人だって」

「でもでも、中には嫌な奴もいるって」

「そりゃどこにでもいるよ。臨機応変に対応すれば大丈夫だよ」

 シーナは急に怖がって抱き着いてきた。大きな町を見て緊張してしまったんだな。
 僕は頭を撫でながら大丈夫だと言うと彼女は頷いて、手を握ってきた。彼女の手は柔らかくてとても温かい。

 僕も内心緊張しているけど、シーナの手前、男らしく堂々とするように頑張っています。

「次の人、前へ」

 門の前では複数の馬車や人が並んでいる。門を入る為の検査の順番待ちの列だ。犯罪者とかを入れないようにするための検査だね。

「おっ? 子供だけで旅かい?」

「はい」

「そりゃ大変だな。それじゃこの水晶に手をかざしてくれるか?」

 衛兵さんは机の上にある水晶を指さした。まずは僕から手をかざした。

「よし、じゃあ、次は嬢ちゃんだ」

「はい」

 僕が手をかざすと水晶が青く光った。それを見て衛兵さんがシーナを見て声をかけた。

「二人とも大丈夫だな。町は初めてか?」

 衛兵さんは僕らを門の方へと案内しながら話す。衛兵さんのかわりに別の衛兵さんが交代した。

「はい、初めてで」

「やっぱりそうか。俺はハンス。この町生まれだ。困ったことがあったら何でも言ってくれ」

「はい! ありがとうございます」

 ハンスさんは優しく笑って、手を差し出してくれた。僕はその手を握って握手を交わす。

「僕はアレクです。こっちはシーナ。早速なんですけど冒険者ギルドはどこですか?」

「ギルドか、ギルドなら町の中央にあるぞ。商人ギルドと向かい合わせにあるが茶色い建物が冒険者ギルドだ。商人ギルドは白いから間違わないようにな」

 僕はハンスさんに自己紹介をして、早速ギルドの場所を聞く。
 ハンスさんは町の中央を指刺して話してくれた。ギルドは町の中央にあるみたい。

「ありがとうございます」

「おう、気を付けてな」

「はい!」

 僕とシーナはハンスさんにお礼を言って町の中へと入っていく。ハンスさんは笑顔で手を振ってくれてとてもいい人なのが伺えた。

「いい人だったね」

「そうだね」

 町に来て初めての人がハンスさんでよかったよ。シーナの緊張が和らいでニコニコしてる。

 僕らは町の道路を真っ直ぐ歩いて行く。道路は馬車が三台通れるほどの大きさでレンガ造り。道路の端に屋台が立っているので通れないけどそれでも二台は馬車が通れてすれ違えれる広さ。屋台の値段を見ると行商のおじさん達の値段よりも安い、やっぱり、町の方が物価が安いんだな~。

「まだ見えないね」

「うん、中央の広場は噴水があるって言われたけど見えないね」

 まっすぐ歩いているから間違えることはないと思うんだけど、中々着かない。

 歩いている間に屋台のリンゴなんかを買った。他にも野営に使えそうな布とかも買っておいたよ。野営で困った事は結界のおかげでなかったけど、寒いとか暑い事はあるかもしれないからね、備えあれば患いなしってやつです。

「あれかな?」

 買い食いしながら進んでいるとキョロキョロと周りを見ていたシーナが指さした。塔のような噴水が見えてきた。それほど大きな噴水ではないけど、綺麗な水が噴き出ている。
 その広場の左右にそれぞれ、白と茶色の建物が見える。ハンスさんが言っていたように白が商人ギルドで茶色が冒険者ギルド。

「じゃあ、入ろうか」

「う、うん」

 僕らは冒険者登録をする為に冒険者ギルドに入っていく。シーナは再度緊張してしまっているようで僕の腕に抱きついた。不安が頭をよぎったんだろうな。
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