テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 神様からの贈り物

第二十話 ギルドも大騒ぎ

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 ギルドに入るとみんな慌ただしく走っていた、受付嬢さん達もみんなあっちにいったりこっちにいったりと忙しそうだ。

「あの、すいませ~ん」

「ちょっと今は忙しいのよ。後にして」

 ウーナさんではない受付嬢さんに声をかけたんだけど、取り付く島もない状態で冷たくあしらわれた。

「無駄だぜ。今は東の森のドラゴンでギルドもてんやわんや、そこらじゅうのギルドからAランク以上の冒険者を集めてんだ。ドルドランの町以上に高ランクの冒険者が集まってるところなんてないのにな」

 さっき、僕を押しのけてきたパニッシャーさんが話しかけてきた。馴れ馴れしく話しかけてきてるけどなんでだろう。

「オークの討伐依頼が完了したから報告したいんだけどな・・」

「ほ~お前、オークを倒せるのか。どうりで・・・」

 パニッシャーさんが顎に手を当てて僕を下から上まで見てきた。身長が僕よりも高いから視線が目立つな~。

「何か用なんですか?」

「おっ? 嬢ちゃんはこいつのこれか?」

 シーナがパニッシャーさんを睨みつけて言い放った。パニッシャーさんは小指を立てて言って来ているのをシーナは頷いて答えてる。何だか恥ずかしいけど、僕もシーナとは良い仲だと思ってるので何も言わないよ。

「ははは、そんな怒るなよ。な~に、俺が本気で押しのけたのに、ちょっとのけぞっただけだったのが気になったんだが、オークを倒せるんだったら納得だ。俺はAランク冒険者、死神パニッシャーで有名なザクロだ。よろしくな」

「あっ、はい・・」

 ギルド前で押しのけたのはテストみたいなものだったのかな? そんなに強くなかったように感じたけどな~。
 僕はザクロさんが差し出してきた手を握って握手を交わした。第一印象は最悪だったけど、いい人みたいだ。だけど、自分で通り名を名乗るのはどうかと思うよ僕は。

「それにしても運が悪かったな。こんなに忙しいんじゃ報告なんて無理だろう」

 ザクロさんが受付嬢を指さした。休まず走り回っていて見ているこっちが目が回りそうだよ。

「その内、緊急招集されるだろう。どうだ? 一緒に」

「いえ、僕らはお酒とか」

「絶対に行きません」

「ははは、嫌われちまったか」

 酒場を指さして一緒に飲もうと言ってきたザクロさんにシーナがアッカンべーとハッキリと断っていた。僕も断るつもりだったからいいんだけど、もうちょっと波風立てないようにね~。

「あっ! アレク君! シーナちゃん!」

「「ウーナさん?」」

 凄い焦った様子でウーナさんが僕らに駆けてきた。涙目で今にも泣きだしてしまいそう。

「よかった。よかったよ~」

「ど、どうしたんですか!?」

 ウーナさんが僕を抱きしめて泣き出してしまった。シーナが凄い顔しているので早く解いてください。

「東の森に依頼で向かったから心配していたのよ。複数の炎も確認されていたし」

 僕を揺さぶりながら勢いよく話してくるウーナさん。僕はグワングワンと頭が揺れて気持ち悪い。

「お前達東の森にいたのか! よく無事だったな。ドラゴンは鼻もいいから、見える範囲にいたらすぐに見つけられちまうんだぞ」

 ザクロさんが驚き戸惑っています。みんなの視線が僕らに集まるのを感じて僕は額に汗を感じた。ドラゴンって感知能力も凄いんだね。だから、あの時気付かれたのか~。

「ははは、運が良かったんですよ。ゴブリンが上から落ちてきてそれを切り付けたら血がドバっとついてしまって臭くなっちゃって、それが功を称したみたいですね」

 僕の言い訳が言い終わるとシーンと静寂が流れた。

「ゴブリンの血・・・」

「そうです、ゴブリンの血が・・」

 ごくりと息を飲んでザクロさんの疑問に答える。僕とザクロさんの声がギルドに響き渡った。

「なんだ、そうか~。そりゃ運がいいな~」

「ゴブリンの血はくっせえからな~」

 ギルドの吹き抜けの二階席からそんな声が聞こえてきた。やっぱり、凄い注目を得ていたようです。

「ふ~ん・・・ゴブリンの血ね~」

「ははは、そうなんですよ~・・・」

 何か勘づいているザクロさんが薄目で僕を見据えた。

「まあ、いいや。今はドラゴンだからな。姉ちゃん、エールだ。今のうちに飲んどく」

 ザクロさんは気にせずに併設されている酒場の席に座ってエールを頼んでいた。

 僕らはウーナさんに促されて受付に座る。

「私は分かってるからね。報告して」

「はい・・」

 僕らは観念したように俯いて椅子に座った。流石にウーナさんは騙せないみたいです。

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